ルナスタウンにて
ヒロは、興奮気味に【ウサギ人間がいた事件】を報告していた。
『ヒメに言われたからさ、こんななーんも無い砂漠星だけど、一応探ってみっかとか思って渋々広域に目をやってみたんだよ。そしたらさ、確かに予想通り、ここら一帯には魔素脈や魔素クリ鉱脈くらいしか無くてさ、あ~やっぱここは魔素クリの収穫地でしかないんだな~なんて思いつつ、裏側まで視野を広げてみたんだよ。そしたらさ、なんと、居たんだよ! ウサギ人間が♪』
『えぇ~~ホントにぃ~? てか【ウサギ人間】てよく分かんないんですけど~』
『ピキュピキュ~。ヒロさん、今自首するならまだ不起訴の目も残っているのでピキュ~』
『いや、ホントなんだって! マジなんだって! ルナースの裏側にウサギ人間がたくさん居たんだって!』
『まぁ確かにぃ~、昔からルナースの裏には何かある的なファンタジー話は後をたたないけどさぁ~。にわかには信じがたい話よねぇ~』
『ガチなんだって! ガッチガチのガチ! しかもさ、魔物とか魔神って感じじゃないんだよ! 暮らしてるの! フツーに町があってウサギ人間が生活してるんだって! あ、ちょっと待って、今見せてやるから』
ヒロはしばらくフガフガ唸った後、ヒメとウルにスクリーンを見せた。
『ほら見てみろよ! これで信じるしかなくなったぞ!』
■ルナ泉ラビ子[るないずみ・らびこ]
人間[ラビットル]の女性。年齢17歳。ルナスタウン中野区東中野3丁目在住。ルナスタウン立ラビヶ丘高等学校の2年生。
ラビヶ丘高2年B組のムードメーカーで、ラビ式古武術部のキャプテン。実家はラビ式波動術宗家。負けず嫌いでがんばり屋。好物はルナスグレートバイソンの焼き肉。嫌いな食べ物はルナス鬼ナメクジのくさや。将来の夢はテラース人の殲滅と母なるテラースの奪還。現在彼氏募集中。
『な、なんてふざけた星なの……』
『確かによく見ると、どーでもいい情報に紛れて物騒な文言が不気味に光を放ってるな~』
『ピキュ~。個人情報ダダ漏れなのでピキュ~』
『ねぇ、この子がヒロの推しなの?』
『んなわけないだろ~。その、ルナスタウンって言うらしい町の観察を始めようとしてたらさ、コイツがたまたま近くを通りかかったから“第一町人発見♪”ってノリでデータ表示させてもらったってだけだよ~。なんか、“よぉ~~し! 今日もラビ三高の奴ら、ギッタギタのボッコボコにしてやるぜぇ~~♪”とか叫んで腕ぶん回してたから目立ってたしな~』
『ふぅ~ん。……じゃなくて! こんな変なキャラだけ単体で見せられちゃったから、ますます混乱しちゃってるわよ。一体何なの? ラビットルって何なの? ルナスタウンって真空なの? 空気あるの? なんでこんなヘンテコな名前なの? ヒロ、情報が足りなさすぎるわ。10分あげるから、がんばって総合的に情報収集してきてちょうだいよ!』
『う~~ん。まぁもぉ既にルナースの裏側探索は進んでるからいいけどね~。10分あればそこそこの情報量にはなると思うし待ってて~』
『あ~~い♪ 待ってるわよ~』
『ピキュピキュ~♪』
10分後。
ヒロは約束通り、ルナース裏側情報をそこそこ集め、ヒメとウルに報告した。
■ルナースの[テラースから見て]裏側には【ラビットル】という種族の人間が住んでいる。
■【ラビットル】は【獣人】ではなく、独立した種【ラビットル】らしい。
■【ラビットル】は先天的に魔法能力に優れており、人間の中では最も高ステ値に成長するっぽい。
■【ラビットル】は外見はほぼヒトと同じだが、確認したラビットル全員漏れなく体毛が白で虹彩色[瞳]は真紅である。耳はヒトと同じく頭部の真横に付いているが、頭頂部付近の毛髪の中からウサギの耳に似た形の【バニバニ】という2本のツノ的な感覚器官が立っており、どーもこの器官が魔法能力の成長や効率に影響しているっぽい。
■【バニバニ】のサイズは20cmほどで毛に覆われていて柔らかく、ピクピクピョコピョコと動いていて、普段は頭髪に隠れて馴染んでいるが、魔力感知や魔力放出の際、あと興奮状態では立ち上がりブルブルとバニるらしい。ちなみに【バニバニ】は動物の尻尾以上に敏感らしいバニ。
■【ラビットル】の居住エリアは【ルナスタウン】という町オンリーっぽい。
■【ルナスタウン】はとても大きく、直径15キロほどの円に近いすり鉢状である。これはクレーターをそのまま利用しているっぽい。
■【ルナスタウン】には、どうやら町ごと包み込む結界っつーか、半透明のドーム状の蓋がしてあって、町の中には空気がある。そしてその蓋っぽいものや中の空気は、千人規模の専属部隊が交代制で魔法と魔道具を駆使して維持しているっぽい。
■【ルナスタウン】の人口は多分十万人くらいっぽい。
■【ラビットル】は、昔々のそのまた昔にはテラースに住んでいたらしいが、種としての迫害に遭い、命からがらルナースへと逃げ延びたらしい。ちなみにそのとき【ラビットル】を月まで逃したのは、数匹の特殊能力を持つ心優しきスライミーだったらしい。そのため、全ての【ラビットル】は、スライミーを祀る【スラスラ教】の信徒であるらしい。
■【ラビットル】は迫害された経緯からテラースに住む全人類を憎んでおり、【スラスラ教】の経典【スラ世記】の第1章第1節は【テラース人は皆殺し。いつか奪還!母なる故郷】から始まるっぽい。
■【ラビットル】の個人名は調べた限り例外なく【ルナ○ラビ□】というテンプレで統一されている。例:ルナ崎ラビ也 ルナ林ラビ美 など。
■【ラビットル】界の個人名や地名や団体名や文化そのものには前出のスライミー達とこの世界の創造神が深く関わっているらしいが、詳細は不明。
■【ラビットル】は【ルナスタウン】に3つあるダンジョンの魔物を主食として生きて来たが、ここ数百年で農業や畜産業も発展しており、飢えに苦しんだりはしていないっぽい。
■文明はテラースより進んでおり、魔力と太陽光を利用した魔道具による電力供給が達成されているっぽい。
■文化・教育水準も高いっぽく、識字率はほぼ百パーセントっぽい。
『こんな感じかな……疲れたぜ~』
『ヒロ~、10分ちょいでの仕事にしては上出来レベルよ~。すごいすご~~い♪』
『ピキュピキュ~! かな~りラビットルについて分かったのでピキュ!』
『な、ホントに居ただろ? ウサギ人間♪』
『それにしても、謎が謎呼ぶ奇奇怪怪でけったい極まりない奴らね~』
『でも凄いのでピキュ! 真空のルナース面で都市を作り上げてしまってるなんて、リスペクトなのでピキュ~♪』
『確かに、こんな悪環境で大昔から文明を築いてきたってのは感服するよなぁ。ただ、悪環境だからこそ、外敵に見つかることも狙われることもなく、今まで地道にやってこられたのかも知れないけどねー』
『外敵も何も、生物が居ないんだもんねぇ。天空都市ランピンタンなんかよりも人里離れてるわ~』
『ピキュ~! それではルナスタウンにレッツらゴ~なのでピキュピキュ~♪』
『……いや、ウルさん、その件についてはちょっと慎重に考えよう』
『ピキュ!?』
『そぉね~。アイツらは【テラース人は皆殺し】ってキャッチフレーズ掲げちゃってる種族な訳だしね~』
『オマケに【ラビラビ】とかゆーもふもふアンテナが頭に生えててさ、魔法感知能力人類最強っぽいしなぁ。今俺たちがいるのはルナスタウンのほぼ真裏で、直線距離でも3500kmほどは離れてる場所だろ? リアルタイムのルナスタウンをざっと見渡してみても、ここに居る俺たちのことは、どーやらまだ察知されていないみたいなんだけど、これが、どんどん近付いて行った時にどーなるか、なんだよなぁ』
『エドの時は、警戒してたほどの感知能力をシノビもサムライも持ってなかったから助かったけどね~。ラビットル軍団だと、そーはいかないかも知れないわね~』
『もし、エド同様に、さほど感知されなかったとしてもだぞ、今回は俺の【見た目】が完全に【ヒト】だろ? どー見ても【ラビットル】じゃないだろ? 町に紛れ込んで“ちゅい~~す♪”なんてノリで歩いてたら、一発で取り囲まれるに決まってるよな~』
『ピキュ~。確かに八方塞がりなのでピキュ~。ルナスタウン観光は諦めるしかないのでピキュ~』
『ねぇヒロ、あなた、【変身】とか出来ないの?』
『……あのね、俺のスキル構成はヒメも知ってるだろ? 数多の物語の中の異世界転生者がよりどりみどりのスキルや魔法を乱用してキャッキャ言ってる中、俺なんてほぼ【インベントリ】と【スコープ】だけでのうのうとここまで生きてきたモブ野郎なんだよ。そもそも【町歩き観光】ってテーマが重要でなけりゃ、今だって別に【変身の必要性】なんて皆無でしょ~に』
『えぇ~~!? そんな寂しいこと言わないでよぉ~。ヒメ町歩き観光したぁいぃ~~。ヒロとウルちゃんとひーたんとで【ぶらり観光】しぃ~たぁ~いぃ~~。スヤスヤねんね中のハナちゃんだってきっとしぃ~たぁ~いぃ~はぁ~ずぅ~~』
『ウルも散歩番組みたいなことしたいのでピキュ~~~』
『いやいやいや、無いものねだりの愛ウォンチュ~にも程があるって~。無理なものは無理なんだからさぁ、諦めてくれよ~~』
ピロン
ヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れた。そこには
《もうありますよ♡♡ (*´∀`*)ノシ 》
と書かれており、その後、♡♡のみが暫く消えなかった。
『え?』
『……あ! ヒロ、ステータス確認してみて!』
『おいおい、嘘だろ~』
名前:ヒロ
種族:人間[ヒト]
pt:9585
Lv:5006[135up]
HP:20000 + 12613
HP自動回復:1秒10%回復
MP:145000 + 13141【倍リング + STB効果:1043730】
MP自動回復:1秒100%回復【ネクタール効果】
STR:20000 + 13053
VIT:20000 + 15345
AGI:40000 + 16501
INT:40000 + 15925
DEX:40000 + 14801
LUK:2350 + 13187
魔法:【温度変化】【湿度変化】【光量変化】【硬度変化】【質量変化】【治癒力変化】【錬金】【トレース】【物質変化】
スキル:【ショートカット】【インベントリ(ヒメのなんだからね!)】【スコープ[SKB]】【必要経験値固定】【迷彩】【メモ】【アイテムドロップ[アルロライエのセンスで]】【召喚】【スキルバフ】【ステータスバフ】【変身[NEW!]】
『【変身[NEW!]】キターーー♪ やったねヒロ! これで観光できるよっ♪』
『いや待て待て! なんでレベル上がってるんだよ~』
『……そ、それについてはピキュ~。ウルの分体が…… さきほど、つい、はぐれオリハルコンスライミーを……』
『ああぁ~、その仕様すっかり忘れてたよ! ウルさん分体がゲットした経験値って俺にも入ってくるんだったね~♪ あ! てーことは、これまでのダンジョン狩りの後のレベルチェックの時も、実は世界中でウルさんがリアルタイムに稼いでる経験値が混ざってたってことなのか~。レベルアップ音をオフにしてるから全然気付いてなかったよ~。ウルさん、今までお礼も言わずにごめんね~。いつも助けられてるんだね~。サンキュ!』
『ピキュ~! そー言ってもらえるとウルも、うれし★はずかし★あかよろし★なのでピキュピキュ~♪』
『てーことはよ、この【変身】のスキルは、アルロライエちゃんが無条件にプレゼントしてくれたんじゃなくて、例えば、レベル5000の習得スキルだったってこと?』
ピロン
ヒロのスクリーンにテキストのみのダイアログボックスが現れた。そこには
《そーなんです♡ ٩(*╹▽╹*) 》
と書かれていた。
『す、すごい偶然だよ! たまたま欲しかったスキルがさ、たまたまレベルアップ習得でゲットできちゃうなんて、ヒメ、俺って、めっっっちゃ運がいいのかも♪』
『(んなわけないでしょ~。この鈍感オタンコナスはどこまで本気で言ってんのかしら……)……そ、そうね、奇跡の偶然よね! ヒロあなた、やっぱり何かすごい星の下に生まれてきたんじゃない? 例えばブラックホールとか』
『いやぁ~参った♪ ウルさん、これで町歩き観光、出来るかもよ!』
『ピキュピキュ~♪ ちなみに新スキル【変身】の詳細はいかに、なのでピキュ~?』
『おっと、そーだそーだ。【変身】の詳細は、っと』
■変身
スキル保持者が過去に情報を取得したことのある生物に変身できる。
変身できるのは、外見とそれに伴う体組織だけで、ステータスについては何ら変化しない。また、変身した生物の持つ種族固有のスキルや特殊能力、魔法技能も習得できない。
一種の生物につき情報取得サンプルが多いほど変身の自由度も増す。
変身後の生物が、スキル保持者の脳を主とする重要器官の性能を物理的に維持できない形状やサイズの場合は、変身そのものが自動キャンセルされる。例:ミジンコなど
変身には制限時間も代償となるステ値も無く、オンとオフのみである。
変身は、生物としての様々な矛盾や不合理性のリミットを超えた神業であるため、担当神の苦労は甚大なものとなるが、そこは腕に覚えのある美しい女神が上手い具合に処理するので、気にせず自由に楽しく発動すればよい。
『スキルもアレだな、高レベルになってくると説明がフランクだな♪』
『……そ、そうねぇ(アルロライエちゃん……よね……これ書いてんの)』
『ピキュ! ミジンコが無理なのは分かったのでピキュ! でも人間種である【ラビットル】なら楽勝に違いないのでピキュ~♪』
『よし、無理っぽかったら自動キャンセル機能が効くみたいだし、気軽にいってみよう!』
『ヒロちょっと待って。【情報取得サンプルが多いほど変身の自由度も増す】ってことは、今のままだとあなた、ルナ泉ラビ子ちゃんをベースに変身することになっちゃうんじゃない?』
『おーっと、危ないトコだぜ~。危うくクラスのムードメーカーな女子高生になるとこだったわ。そんじゃまず、大量の個人情報を集めてみっか~♪』
ヒロは【スコープ[SKB]】をフル乱用して、自分と似たような背格好と年齢っぽい【ラビットル】男性2千人分ほどの個体情報を2分ほどで集めた。
『よし、こんくらい集めればいーだろ♪ 行くぜ! ラビットル男性に変身!』
イメージし【変身】を発動すると、ヒロの体が一瞬で【ラビットル男性】へと変化する。そしてスクリーンに【全男性サンプルの平均的ラビットルに変身しました。調整しますか?】というメッセージが表示され、ディテール調整の選択肢が表示された。
『めんどくせーから2千人の平均値でいいや♪ これでオッケーで~す』
するとスクリーンの上部に【変身中】という小さな文字が現れ、変身が完了した。
『変身完了したっぽいぞ♪ どぉ?』
ヒロはスコープで自らを眺めつつ、ヒメとウルに感想をたずねる。
『い~んじゃない? 確かに白髪でウサ耳みたいのが生えてて目が真っ赤だけど、思ったほど変な感じしないわね~♪』
『まぁな~。何しろ背格好がヒトそっくりだからさ、パーツは違えど遠目の立ち姿なんかヒトそのものって感じだもん』
『ピキュ~! 白髪赤目のヒロさんカックイーのでピキュ~♪』
『顔つきもどことなくヒロっぽいわよねぇ~♪ 忖度があったような気がするわ~』
『俺も変身しておいてなんだけど、しっくり来てるんだよね~。なんか、【俺感】をできるだけ残しつつラビットルに変身したって感じ?』
『ピッキュ~! これで問題は解決したのでピキュ~♪ ルナスタウンへ行けるのでピキュ~!』
『そーだな、行ってみっか♪ ルナスタウンに!』
『やったぁ~~♪』
『ピッキュピキュ~♪』
ヒロはスコープでルナースの真裏にあるルナスタウンの中心部近くにインベントリをイメージし、ハナランドへと移動した。
『おおぉ、瞬く間にルナスタウンの中心市街地……と、重なった亜空間、ハナランドに到着だ♪』
『なんか、ヒロのスコープ距離が伸びるに連れ、不思議な現象よね~』
『まぁこれもある種の瞬間移動みたいなもんだよな~。なんつーか、俺のスコープが届く範囲まで、ずーーーーっとインベントリが繋がってる、みたいな感覚だよ』
『ようは今、ヒロは、6万キロ先くらいまでなら瞬間移動ができるってことなのか~』
『そうそう。あくまでもハナランドに、だけどね。6万キロ以内の範囲なら、何かに干渉するのも、何処へ行くのも一瞬だな~』
『もうぶっ壊れスペックね~。てか、私は神だしインベントリの持ち主だからさ、このハナランドからも実世界の様相は確認できるけど、ヒロは外のルナスタウンの景色とか……あ、もちろん見えてるのか……』
『それはもちろん見えてるよ。実世界からインベントリの中を確認できるように、ハナランドがあるインベントリの中からも実世界は確認できるし、狩りもできる。ただ、そーするとハナランド内の状況は視界から消えるけどね~』
『あ~、そりゃそーか。遠くを見てる時、近くがおろそかになる、みたいなものなのね~』
『そうそう。いくらスコープで6万キロ先が見えると言っても、同時に世界中のあれこれを視認できるわけじゃないんだよ』
『ピキュ! そんな時こそ、ヒロさんの実体はウルとひーたんが守るのでピキュ!』
『そーなんだよね~。ウルさんとヒロリエルが居てくれるからこそ、俺はいつでもどこでもスコープを飛ばしまくれてるんだよ。重ね重ね感謝してるよ! 二人とも♪』
『ピキュピキュ~♪』
『チチサマまかせるのです!♪』
『ちなみにウルちゃんも、ここからルナスタウンの様子とか見えてるの?』
『ウルもヒロさんとの【絆】強化によって見られるのでピキュ~♪ ただ、ルナスタウンにはまだウル分体が居ないので、ウルワープによる特攻ができないのでピキュ~。なのでヒロさん、ウルの分体をルナスタウンに排出してほしいのでピキュ~♪ ちょっと偵察してくるのでピキュ~♪』
『ウルさんもう行くの? 気をつけてよ~。って、そんな心配必要ないか♪ ウルさん、もし完全透明体でも察知されるような事があったらすぐに逃げてくるんだよ、【ウルさんワープ】でシュバッとね♪』
『了解なのでピキュ~♪ すでにさっきまで居た表側の灰色砂漠には【表ルナース担当】のウル分体が駐在し始めてるのでピキュ! あとはこのルナスタウンでバレずに行動できて居続けられれば、【ルナスタウン担当】の駐在ウル分体も誕生するのでピキュ! さすればヒロさんは、もうルナースへの行き来も楽ちんなのでピキュ~♪』
『お~そっかー、テラースの未踏の地にウルさんをバラ撒きまくったあの作戦を、今、宇宙を舞台にやってるよーな感じだね~』
『そーなのでピキュ! 未踏の地、まずそこに、ウルを投下せよ、なのでピキュ~♪ それではヒロさんヨロシクお願いするのでピキュ!』
『よっしゃ! ハナランド、左カタパルトオンッ! ウルさん発進!』
『ウル、行きまぁーーす!なのでピキュ~!』
ウルはヒロの意識によってルナスタウンに投下され、嬉しそうにポインポインと弾みながら町並みの中に消えていった。
◇
『ウルちゃん、無事に長期潜入できるといいねぇ~』
『大丈夫だと思うぞ~。完全透明状態だし、ボディサイズも極力小さめの小指の爪クラスで行ったみたいだから』
『ピキュ~♪ 今のところ誰もウル分体に意識を向けることは無いようなのでピキュ~』
『ヒロはウルちゃんが完全透明状態でも大きさとか形とか分かるんだね~』
『それもまた【熟成された絆】の賜物っつーか、多分俺だけが分かるんじゃないかな~。ね、ウルさん♪』
『ピキュピキュ~♪』
『ざーんねーんでした~。わたしも分かるも~~ん。ね、ウルちゃん♪』
『ピキュピキュ~♪』
『おっと、こりゃ一本取られたな。さすが神~♪』
『わたしには何でもお見通しよ~♪』
『実はひーたんも分かるのです♪』
『ピキュピキュ~♪』
『ありゃ~、全然俺だけじゃなかったわ~。さすがみんな家族だな♪』
『えへへへ~~♪』
『ピキュピキュ~♪』
『なのです♪』
◇
『さてと、こっちもそろそろ町に紛れ込むかー』
『やったぁ~~! ついにルナスタウンの町歩き観光だぁ~♪』
ヒロはやや慎重に、ルナスタウンの人通りの少ない裏路地に自らを排出すると、何食わぬ顔で表通りに歩き出した。
◇
『……分かってた事とは言え、なんかやっぱ異国情緒が全然無いなー』
『そ~ねぇ。テラースのどこかの町って言われても違和感無いわよね~』
『服にしてもさ、なんかこ~、ピッチピチの銀色全身スーツみたいなの着てるイメージだったけど、実際は誰も彼もがスーツだの制服だのパーカーだのトレーナーだのTシャツだのボタンシャツだのを普通に着てるしさ、俺の普段着てる【普通の服フルセット:肌触りの良い衣類コレクション】なんて、振り返ればどこかにそっくりな奴がカウントできるってくらいにゴロゴロ居るもんな~』
『実際はヒロの着てるのだけ【S7級神レア衣類】だけどね~。ただ見た目が一緒だから、すっかり溶け込んでるわよ~♪』
『逆に特徴的な部分って言えば、やっぱ、資源としての木材が少ないみたいだよなー。石やらコンクリートっぽい素材の建物ばっかりだ』
『ま~町の外は見渡す限り灰色の砂と石ばっかりだもんね~』
『それでもこんな辺境の荒野で、空気と水を長いあいだ安定供給させてて、町の郊外では草木も定着させてるみたいだから、ラビットル達はすごい種族だよ』
『ピキュ! 重力や昼夜の変化も広域魔法で作り出してるみたいなのでピキュ!』
『おーー、そぉ言えば、ルナースの重力ってテラースより弱いはずだよな。日照間隔もまるで違ってた筈だし。環境寄せすぎだろ、テラースに……』
『それがピキュ、どーやらラビットルは、いつかテラースを奪還した際に、すぐ馴染めるよう、無理をしてでもテラースそっくりの環境を作り上げて維持しているみたいなのでピキュ~』
『……あ~、例の【皆殺し&奪還】ってやつな~。恐ろしい執念だぜ~』
『でもそー考えるとさ、ラビットルの人達が【テラース様式だと信じて作り上げてる町並みとか文化とか固有名詞】ってさ、【テラース】っていうより、【地球】、それも徹底的に【日本】チック過ぎない?』
『……ヒメ、ついにルナスタウン最大の禁断の謎に辿り着いてしまったようだな……』
『えっ!? ヒロ、なんか思い当たる節でもあるの? 例えば【タイムワープを習得した未来のヒロが大昔のラビットル迫害事件に遭遇して、彼らをルナースへと逃し、ルナスタウンの建設に自分の故郷の文化様式を存分に投影させつつ協力し、物資やノウハウを提供しまくった結果、こんなクレーターコロニーみたいな町が今も安定して維持できている。ただ、ヒロは表に出たがらないタイプだから、表向きの影武者を担当してたのが何人かのウルちゃんたちだった。だからラビットル達はずっとスライミーを神と崇めている】とか?』
『ピキュ~!! めっちゃあるあるテイストのお話なのでピキュ~♪』
『いや、テキトーにそれっぽい返事してみただけだ。思い当たる節なんてなんもねぇ。ごめんよ。ただな、ヒメの言う仮説は多分有り得ないぞ』
『え~、そんなこと分かんないじゃな~い。【未来のヒロが】って言ってるんだしさ~』
『俺はそもそもタイムトラベル的な現象を微塵も信じてない。過去に飛んで何かを変えたい欲望は誰にでもありそうなもんだが、タイムパラドックスは覆せない。たとえ僅かながらに可能性としてありえる【分岐ルートのパラレルワールドが生まれて、過去の改変が別世界で成立する】っていう【並行世界分岐説】が実現できるとしても、俺はその新しく出来た世界に行ってしまってるんだから、この世界はその瞬間から【俺が消えちゃった世界】として進んでいくことになる。それってつまり、この世界で俺を頼りにしてくれる人や大切に思ってる人、その全てを放り出して死ぬことと変わらないんだよ。事実上の【この世界での自殺】だ。そんな、【関わっては気に入らないからって別の並行世界を分岐生成させては飛び移っていくような自殺の繰り返し&放棄した世界の増殖】なんて、俺の美学に反する。自分にとっては【もう要らなくなった世界】だったとしても、実際はなんら変わらない【世界】だからね。だから、たとえ数多の分岐の果てに【自分に都合のいい最高の並行世界】へ辿り着けたとしても、そこに至るまでに【自分の存在を消してしまった世界】が山積みされているのなら、そんなタイムトラベルもパラレルワールドの生成も全くやる意味がない。そんなの空想ごっこと変わらない。だったらわざわざタイムトラベルなんてするほどのことじゃない……って思ってるんだ。まぁちょっと感情的になっちゃって話が本題からズレたけどさ、結局、過去を改変する意思があろうと無かろうと、タイムトラベルによる過去への介入は、その時点で介入者、つまりここで言う【俺】とともに新しい分岐世界へと進んでしまうわけだから、【この世界にルナスタウンが存在してるってこと】が【俺がタイムトラベルしてルナスタウン設立に関わっていないこと】の証明になってしまうんだよ。【並行世界分岐説】が正しいのなら、ルナスタウンは別の分岐世界にあるはずだ。だからヒメの言うファンタジーなあるある話は無理筋だと思うんだよな~』
『(めんどくさっ!)……そ、そ~言えば、わたしも昔、小学校の【全世界神摂理】の授業で【時間は一方向にしか流れまへんねん】って習ったことあるかも~。忘れてたわ。だからヒロ、もうこの話はおしまいね♡ てへ♪』
『…………』
『ピキュ~。ウルは何だか悲しいのでピキュ~。だってピキュ、ヒロさんの言うタイムトラベルの矛盾が絶対覆せないのだとすればピキュよ、銅鑼への門、バク転ザフューチャー、大麻ボカン、石野ゲート、時をかける症状、鈴春U2、ラウド族の美しき夢想家、などなど、数多くの名作を楽しむにあたって疑念が生じてしまうのでピキュ~。楽しめないのでピキュ~。破綻ピキュ~。瓦解ピキュ~』
『ウルさん、鈴春U2とラウド族の美しき夢想家に関しては、自分も含めた世界まるごとがタイムループするって話だったんじゃなかったっけ? だったら理論的な破綻はしてないと思うよ♪ (まぁ、世界の全てがタイムループしてるっつってんのに特定の人物だけが違和感とともにそのループに勘付いてループから抜け出すことに成功するってーのも結局は【並行世界分岐説】と似たよーなもんだとは思うけどなぁ)』
『そ、そうなのでピキュか!? なら、鈴春U2とラウド族の美しき夢想家だけでもリアリティが担保できたのでピキュ~! これは朗報ピッキュ~~♪』
『いや、リアリティなんて無いっしょ』
『な、なんでピキュか!?』
『だって、あれ、アニメだよ? あんなこと現実に起こるわけないじゃないか♪』
『………………ヒ、ヒロ…………』
『ピキ、……ピキュ~~~。ウルのタマシイがアキバダンジョンの奥深くの細道にまで舞い戻って、もはや追跡不能なのでピキュ~~~!!』
『ヒロ~~、あなた、異世界転生者の分際で創作物と現実の云々語っちゃダメでしょ~。あと【リアリティ】と【現実】だと意味違うと思うし。ウルちゃんに謝りなさいよね~』
『ご、ごめん。確かにそうだな~。ウルさん、つい勢いにまかせて身も蓋もないメタメタなこと言ってごめんね~。言い過ぎたよ~。さぁ、これからも夢と現実、ゴチャ混ぜにして楽しくやって行こうぜ♪ キラ~ン★』
『……ヒメさん、ヒロさん、もういいのでピキュ。ウルは今、大人の階段を登り始めてしまったのでピキュ。そうピキュ。ウルももう現実を直視しなければならない年頃なのでピキュ。【永遠に続く夏休み】なんて、そんなもの、そんなもの、ただただ暑くて暇なだけなのでピキュ! どーせ永遠に続くのなら、【春夏秋冬休み】がいーに決まってるのでピキューー! フォーシーズンズの馬鹿馬鹿バカンスなのでピキュアーーーー!!』
『だ、大丈夫かウルさん、とても大人の階段の住人とは思えない様相なんだけど……』
『ウルちゃん、気を確かに!』
『ピキュ~~~~。銅鑼ちゃ~~~ん、戸棚におやつのコロッケ牛丼チョコ媚ラーメンケチャップリンゴわたあめドーナツカレーどら焼きがあるから食べてい~わよ~~なのでピキュ~~~~♪ はぁ~~~いママさぁ~~~~ん♪ ノービス太くぅ~~~~ん、有刺鉄線アヤトリとデザートイーグルの実弾射撃はそれくらいにしておやつだよぉ~~~~~♪♪♪』
『……だめだ。しばらくそっとしておこう』
『休養も必要よね。ゆっくり休みなさい、ウルちゃん……』
『ピキュ~~。高速回転するいきなり団子が空から大群で飛来してくるのでピキュ~~♪♪ さぁ無垢なるセーラー服少女のみんなぁ~~手をつないで輪になって廃ビルの屋上でナニモノカをお迎えするのでピキュ~~~♪♪ 不思議な鏡の国でありんすよ~~~~♪♪』
その後しばらくのあいだ、ウルのタマシイが現実に戻ってくることは無かった。
◇
『……結局、【ラビットル文化が日本っぽすぎる問題】については、分からずじまいだわね~』
『そーだな~。でも、きっと大した理由じゃないと思うぞ。例えばアルロライエちゃんのちょっとした気まぐれ……とかな♪』
ピッ……
『ん? ヒメ今、“ピッチャー返しは根性で捕るしかねぇ”とか何とか言った?』
『言ってない言ってない。どー考えても答えは分かりそーなもんだけど、敢えて言うわ。わたしは何も言ってない』
『そ~かぁ? 何か聞こえた気がしたんだけどなぁ。ま、いっか! ウダウタ考えるのはやめにして、どんどんルナスタウンの町歩き観光しようぜ♪』
その後、ヒロ達は、ルナスタウンの中心地【新宿】に狙いを定め、ただただぶらぶらと観光して回った。
ルナスタウン都庁の展望室でわいわい。
新宿スラ草寺の仲見世通りで人形焼をもぐもぐ。
新宿ルナスツリーの展望室でやんややんや。
新宿アメ横でフルーツ串をシャクシャク。
新宿重いで横丁でルナスクジラの串カツをむしゃむしゃ。
新宿ムーンシャイン60の展望室と摩族館でキャッキャ。
新宿歌舞伎者町の奥のバッティングセンターでカッキーン。
新宿花スラ神社参拝&ゴールド街見物。
新宿竹下通りでレインボータピオカクレープワタアメパンケーキをぱっくん。
スラスラ教総本山スラスラ院スラスラ堂の参拝コースをウロウロ。
新宿月島でルナスオオトカゲチーズキムチ納豆ネギだくもんじゃをハフハフ。
新宿金スラ寺、新宿スラ大仏像、新宿スラ観音像の見物。
新宿猿田スタジオで【ルナ田ラビ義アワー笑っていいんだぜ】の観覧。
新宿出ずにランドで絶叫マシン体験。
特に誰からも警戒されることもなく、買い食いと名所観光を繰り返すこと3時間。
ヒロ達の新宿観光は、とても3時間で回りきれる内容とは思えないくらい、濃密で凝縮された体験となった。
『ヒロ~、もぉ~サイコーだったわ~♪ ヒメまた来た~い♡』
『ん~。東京をある程度知ってる俺としては違和感甚だしいシーンも多々あったけどな~。まぁ、それも含めて新鮮で楽しかったよ♪』
『各地の食べ歩きも美味しかったね~。わたし最初の人形焼でさ、も~我慢出来なくて、ヒロの感覚神経に前宙返り8回転半抱え型で飛び込んでしがみついちゃったもんね~。ビックリしたでしょ♪』
『ヒメがどんな技で俺の感覚神経に飛び込んで来たのかは見えてないから気にならないんだけどさ、勢いが凄いのだけは伝わってきたよ~。これからも感覚が欲しい時は勝手にいつでも飛び込んできてね♪』
『エへへ~ありがと♪ それでさ、人形焼って言ってもさ、凡庸な人形焼、操り人形焼、泥人形焼、呪いの人形焼、世紀末館の蝋人形焼、五寸釘付き藁人形焼、いろいろあって迷っちゃったよね~♪』
『その中でヒメが何で【呪いの人形焼】を選んだのかは謎だけど、味は問題なく美味しかったよね。中の餡が深紅でトロッとしててさ。鉄の味がちょっとしたのは気になったけど……』
『あの、噛んだ瞬間ゾクッと来る感じがたまんなかったよね~。あ、これアタリだ! って思ったもん♪』
『まぁ、そーだったかな……』
『あとさ、【笑っていいんだぜ】ってライブイベントあったでしょ? あのゲスト、【るなっしー】って言ったっけ? あいつ馬鹿で元気でおもしろかったわよね~。ヒロの脳内シナンプルス抱えて笑っちゃったわよ~♪』
『おいおい、腹が無いからって俺の脳内シナンプルス抱えるなよな。変な伝達経路できちゃったらどーすんだよ』
『あとさ、スラ大仏像とスラ観音像は可笑しかったね~。超巨大なでっぷりしたスライミーとスラ~っと背の高いスライミー、2体並んでるんだもん。寺もあるし神社もあるし、総本山にはクリスタル教チックな装飾もあるし、もうスラスラ教ってスライミーさえ祀っておければ何だっていいって感じよね~』
『まぁ、日本の元々の信仰自体が、八百万の神であったり、地域其々の土着的な信心だったりしてた訳だからなぁ。組織的で統一的でシステマチックになったのは中国風仏教が伝来してからなんじゃなかったっけ? だからまぁ、そもそも論で言えば、日本人にとっての神は【全てのもののあはれに宿る】わけだから、何だっていーんじゃないの?』
『…………懐かしいな。あの頃』
『……あ、そっか。ヒメは大昔の日本の女神だったんだよね?』
『まーね~。でもわたしって、当時としては珍しい【異教複数神の混じったハイブリッド】だったからさ、小学校時代とか、結構イジメられたなぁ…… 美人すぎる……とか 綺麗すぎる……とか 神々しすぎる……とか』
『……ま、まぁ何だ。ヒメの出自がどーであれさ、今はもう誰からも後ろ指さされたりしない居場所を見つけたんだしさ、何も気にすんなよ♡』
『っ!! ……っつ、あ、…………ありがとう ね、ヒロ♡』
『さーてと、ルナスタウン観光もたっぷり堪能したし、これ以上歩いてもこのあたりから先は郊外の住宅地が続くだけみたいだし、そろそろヒロシティに戻るとすっか♪』
『あれ? ルナスタウンにはダンジョンが3つあるって言ってなかったっけ?』
『あぁ、うん。あるにはあるんだけどさ、3つともラビットルが途中までとは言え攻略してるんだよ。食料や資源確保のためにねー。だから、最深部とかはまだまだ全然手付かずではあるんだけど、今後のことも考えて、ここのダンジョンには手を出さないでおくことにしたよ♪』
『さっすが経験値王~、余裕ねぇ~。スラスラ神もきっと喜んでくださってるわよ♪』
『“ピキュピキュピキュ~”ってな♪』
『あはは♪ きっとそんな明るい神に決まってるわよね~♪』
『……ピ、ピキュ~~~』
『おおぉ、ウルさん! もう大丈夫なの?』
『ピキュ~。恥ずかしながらこのウル、たった今、正気を取り戻してこの【現実という本来の居場所】に戻ってきたのでアリマス(敬礼)なのでピキュ~』
『それは良かったよ~! ウルさんが会話に参加してないと、やっぱ寂しいもんな♪』
『ウルちゃん、心の奥のヒダの隙間の闇の先の開かずの部屋の万年床からついに復活できたのね! 凄い精神力よ!』
『ピキュ! 結局、退屈で寂しいだけだったのでピキュ! ヒロさんたちとのおしゃべりが恋しくて恋しくてたまらなかったのでピキュ~♡』
『じゃあすぐに戻ってくれば良かったじゃないか~♪』
『戻ろうかと思ったピキュが、ヒロさんが楽しそうに禍禍しい人形焼を食べてヒメさんと盛り上がっていたピキュから、……遠慮したのでピキュ』
『それってすんげー序盤だろ? 何だよ遠慮なんて~、水臭いな~。これからはいつでも飛び込んで来ればいいんだよ~♪』
『そ~よウルちゃん、きっとウルちゃんやさしいから、私とヒロに気をつかってくれたのよね? ありがとね♪』
『ピッキュ~~~!! もうウルは【永遠の夏休み】にも【タイムパラドックス】にも【二次元の魔窟】にも惑わされないのでピキュ~~!! ずっとみんなと一緒に楽しい現実を生きるのでピキュ~~! もののあはれを解脱するのでピキュ~~!!』
『……まだちょっと本調子じゃないみたいだけど、ま、いっか♪』
『ウルちゃんおかえり♪ これからも楽しくやろうね~♪』
『ピキュピキュピキュ~~!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます