母の墓標




 ラビ子が【ヒロのガイドでテラース各地のダンジョン巡りをし続ける修行】を開始してから何日かが経った。

 その間もヒロシティでの休憩時間はラビ子にとって有意義極まりない骨休めとなり、日増しに住民との親睦は深まっていった。

 元難民の獣人たち、ゴズ軍団、テラース商会の面々も打ち解け合っているようで、その潤滑油としての役割は、ハナや獣人の子どもたちが存分に担っていた。

 また、ロデニロから相談された【孤児院】の建設も相談から五分後には完了し、これから【世界各都市に散らばっているテラース商会の仲間たち】が状況に応じて【行き場のない孤児】を拾ってくるという事になった。そしてその流れで“だったら孤児だけじゃなくヤバい状況に置かれてる人みんな対象にしちゃえばいいんじゃね?”というヒロの提案から【少しずつ町民を増やしていこう計画】が実行されることとなった。

 一方、ロデニロ率いる【テラース商会】の業績は、開業して間もないにもかかわらず、世界各地で上客や取引先業者を捕まえ始めているようで、ヒロが納品し続けている【F~Aランクの魔物の素材各種】には注文が殺到しているとのことだった。特に【アンゼス共和国】の【コロンバ領ポゴダ】と【ブランジール領レオジャーノ】の店舗には【ドワーフラボ】から大量の魔晶の発注が入ったようで、ロデニロの【隠そうとしているのに溢れ出てしまっているホクホク顔】はヒロリエルを終始気持ち悪がらせていた。

 そんな中、ヒロを驚かせたのは、元難民獣人の数組の家族から寄せられた【学校を作って欲しい】というリクエストだった。最初は“学校なんて無い方が楽でいいっしょ~”と言って渋っていたヒロだったが、“もっといろんなことを知りたい”“もっと何でも教えて欲しい”というプリミティブな欲求を浴びた結果、“んじゃあ当面の間、【大浴場★ハナの湯】と【大食堂★ウルウル亭】と【大会議場★ヒロビロ】と【大作業場★ゴズテック】と【大プール★パシャリエル】と【中央広場】は【ぜんぶ学校でもある】ってことにするから老若男女にかかわらず、学びたい奴も教えたい奴もみんな集えばいいよ。あ、ただし、学びたくない奴や教えたくない奴まで巻き込むんじゃねーぞ~。ウルさん通信で町民全員に言っとくね~”という大雑把な決定事項を通達して話は一旦終了した。


 ユーロピア帝国の最新情報はと言うと、現状特に大きな進展はなく、突然神隠しのように起こった【最新鋭の船や鉄道や列車の消失】によるパニックは収まるどころか拡大しており、当然犯人探しまたは原因究明の声が各地で巻き起こってはいるものの、何の手がかりもヒントも得られないまま、ただただ紛糾していた。そして各都市から放たれた【伝書魔物】や【伝書兵】はことごとくウルにより適切に処理されていったため、今日も【伝書魔物】は自然に帰り、【伝書兵】は【恥辱の丘】に全裸で放置されている。ユーロピア帝国上層部が落ち着きを取り戻すのはまだまだ先のことになるようだ。

 そして、マンバタン島では、飛ばした【伝書魔鳥】が一羽たりとも戻ってこない事態を危惧したローグサッド辺境伯によって、第二陣がユーロピア帝国に向け放たれたものの、当然のことながらウルの活躍によって文書は回収され、伝書筒に潜んでいた【ロンギヌス毒カマドウマ改】は【ロンギヌス毒カマドウマ】に戻され、魔物たちは人の手の届かない大自然に帰されたのだった。


 以上が【ヒロのガイドでテラース各地のダンジョン巡りをし続けるラビ子の修行】の合間に起こっていた出来事の一部抜粋である。


 そして現在、ヒロファミリーの面々は、ハナランドにてささやかな打ち上げパーティーを開いていた。





『え~~、ラビ子の【まぁ、ある程度許せる範囲のレベルアップ成功】を祝して、かんぱ~~~い!』


『なに言ってんのよヒロ! ラビ子ちゃんチョベリグがんばってたじゃないの! かんぱ~~~い!』


『ピッキュピキュ~♪ ラビ子さん大幅なレベルアップおめでとうなのでピキュ~♪ かんぱいピキュ~~~!』


『ラビ子っちにしてはよくやったのです♪ でもひーたんの特訓にはまだまだ実力不足なのです! かんぱいなのです~~~!』


《ラビ子さん、ヒロ様からの免許皆伝おめ♪ です。かんぱいですですぅ~~~!》


『お、おう。なんだか照れくせ~な♪ でもみんなありがとう! みんなのおかげで強くなれたし、プーから【ガンマ挑戦の許可】も貰えた。こんな日が来るなんて、あたしは…… グスッ』


『おいおいおいおい~、ラビ子ぉ~、なに泣いてんだよ~♪ まだオマエの修行は終わってねーし、ガンマダンジョンだってこれから潜るんだぜ? なぁ~に【我が生涯に一片の悔い無し顔】してんだよ~。間違ってもその右手、天に向かって突き上げたりすんなよ~。ラー油王が許しても俺は許さねぇぞぉ~♪』


『う、うるせー! からかうな! あたしは嬉しくてしょーがねぇーんだよっ! こんなに…… こんなに強くなってるって実感したことは…… 今まで一度も、無かったから……』


『ま、そりゃそーだな。十七歳まで十年以上も対人の模擬戦と自己鍛錬だけでコツコツとレベル89まで上げてきたオマエが、いきなりギリギリ倒せるかどうかってくらいの強い魔物を次から次へとあてがわれるなんて、【はったい粉に砂糖少しだけ入れてお湯で練ったヤツしか食ったことがないゴブリンが、いきなりザッハトルテやらティラミスやらいちごのミルフィーユやらを次々と食わされるよーなもん】だもんな~。びっくりしただろ♪』


『あたしはゴブリンじゃねー! プーのバカ! ……もっと、まっすぐに褒めてくれたっていいじゃねぇかよぉ』


『まぁまぁ、そーかわいく拗ねんなよラビ子。ほれ、そろそろ鍋が仕上がってきたぞ~。食って驚くなよ~、俺の豚味噌白菜鍋は極上だぞ♪』


『わ、わかったよ。いただきま~す』


『てゆーかヒロさ、【豚味噌白菜鍋】ってなんか順番ヘンじゃない? 【豚と白菜の味噌鍋】でしょ? 【豚味噌白菜鍋】って言われるとさ、なんか【豚から抽出した味噌で味付けした白菜だけの鍋】っぽく聞こえない?』


『ピキュ~。実はウルもヒメさんと同じ思いだったのでピキュ~』

『ハハサマに同意なのです!』

《正確に言えば【グレートボアと白菜の味噌鍋】ですが【豚味噌白菜鍋】でもアルはギリギリストライクゾーンですぅ♡》


『いや別にどーだもいーだろ、そんなこと。見りゃ分かるし、食えばもっと分かるんだからよ~』


『プ、プーーー! うめぇ! うめぇぞ! こんなうめぇ鍋は食ったことがねぇよ♪ やっぱオマエは神レベルなんだな! くぅぅぅ~~、体の芯まで染みて来やがるぜぇ~♪ 改めて思うよ! プーの弟子になって良かったぜ!!(モグモグ)』


『そ、そうか。まさかそんなに喜んでくれるとは…… よし! ならどんどん食え食え~♪ おかわりはいっくらでもあるからな~!』


『いやっほ~~い! 腹いっぱい食うぞぉ~~♪(モグモグ)』


 こうしてヒロ渾身の【豚味噌白菜鍋パーティー】はラビ子絶賛の中幕を開けた。





『しかし何だな。決してラビ子を軽んじて言う訳じゃないんだが【フツーに魔物倒してレベル上げするの】って、なかなか上がらないモンなんだな(モグモグ)』


『それはアンタが異常な上げ方してきたってだけなの! アンタ以外の人類の中ならラビ子ちゃんは世界ランカーよ? オマケにこんなにかわいいし。よく考えたらラビ子ちゃんてば麗しのJKなのよ~? こんなにかわいい才能の塊みたいなJK弟子に貰っといて、よくもまぁ【オレちょっと不満】みたいな顔できるわね。死になさい!』


『うっく。ヒメ、神による“死ね”発言は洒落にならんぞ。もっと加護加護しく接してくれ(モグモグ)』


『しかしピキュ~、ダンジョンコースに切り替わってからのラビ子さんの成長っぷりは凄まじかったのでピキュ~』


『確かにねぇ~。ヒロが勝手に焦れて、途中にボーナスステージ何回も盛り込んでたしね~』


『おっ、ヒメさん、アレだろ? なんか【ブリブリなんちゃら】ってヤツだろ? あいつ相手の無限戦闘は拍子抜けするほどイージーだったぜ~(モグモグ)(ゴックン)その割にはスゲー勢いでレベル上がったしな。よくわかんねー魔物だったな~(モグモグ)』


『ヒロなんて最初の狩りでブリブリ百万体もインベントリ送りにしてたしねー。今思えば無茶苦茶よ。……ねぇねぇラビ子ちゃん、結局いちばん強かった魔物って何だったの?』


『ん~~、そーだな~。いちばん“やべぇ”って思ったのは…… やっぱ【イセ・ダンジョン】の【人間みてーな四人組】とか、あと【宙来】ってやつかな。イセのやつはとにかく動きが読めねぇし速ぇし頑丈だしで一瞬【死】がよぎったぜ。まぁ、何とかなったけどな♪(モグモグ)』


『その【なんとかなった】のもハナの【仁愛】のおかげなんだぞ~。2秒で完全回復できる体だからこそ反撃できたんだからな。オマエ、何回か攻撃食らってただろ?(モグモグ)』


『確かにプーの言うとおりだ。S8級相手の戦闘では何回か肉がえぐれたりしたしな。ただまぁ、不思議と“もうだめだ”ってまでは思わなかったな~。こんな言い方したらプーは怒るかも知れねーけどさ、腕の一部が削られても、なんか…… 楽しかった、んだよ。命をかけた戦闘に興奮してたのかも知れない。これってさ、良くないことなのかな?(モグモグ)』


『何言ってんだよラビ子。生物の生きる過程に良いも悪いも無ぇだろ~。オマエが興奮してエクスタシー感じたんなら、それはそれでいーじゃねーか♪ もっと感じろ感じろ~。もっと悶えろ~♪(モグモグ)』


『んなっ! あたしは快感の絶頂で昇天して白目剥いて噴射したなんて一言も言ってねーじゃねーか! 人をどっかのお漏らし女神みたいに言うんじゃねーよ! 恥ずかしいだろ!(モグモグ)』


《   ( ゚Д゚)   》


『(ゴックン)…………で、でもまぁ、ブリブリタイム何回か挟んだら、もう見てて安心って感じになってたからな。成長したんだよ(モグモグ)』


『まぁ、初見の時は手こずったけど、ブリブリ大虐殺でレベル上がってからの二度目以降は何とかなったよ。動きのパターンが分かれば対処できるしな♪(モグモグ)』


『ラビ子、オマエがもっともっと強くなってからの話だけどな、いつかヒロリエルと手合わせしてもらってみ♪ どれだけパターンが分かっていよーが圧倒的な速度の前では何も出来ずひれ伏すしか無いって現実を叩き込んでくれるからさ♪(モグモグ)』


『あぁ、いつかヒロリっちに相手してもらえるように、今は全力で強くなってみせるよ♪(モグモグ)(ゴックン) あとさ、最後の方で運良くドロップしたこの【すべらんシューズ】って靴、これのおかげで飛躍的に戦闘が楽になったんだ♪ この靴を手に入れるまではさ、全力で動き出す時や全速から止まる時のズサーッと滑る感じが悩みの種だったんだよ。それがさ、この靴履いてるだけでビシビシ動けるしビシビシ止まれる。こんな便利なアイテムがドロップするなんて、やっぱダンジョンって夢があるよな!♪(モグモグ)』


 説明しよう! それは【アルロライエ&ヒロの共同開発プロジェクト】によって【トレースや錬金や物質変化魔法系の才能がまるっきり無かったためヒロのように力点に固定物質フレームを瞬間生成する神業が生涯できそうにないラビ子】のために数多のトライアンドエラーを経て開発された【靴そのものにフレーム技術を搭載し装着者の意識とリンクすることで運動時の瞬間的な座標固定のオンオフを実現させ、パワーロスを限りなくゼロにまで近付けた、まさに神アイテム】なのだ!


『だな♪ ダンジョンの魔物はレベル高ぇからか、時々すんげーアイテム落としたりするんだぞ~。良かったな、ラビ子♪(モグモグ)』


『あぁ♪ でもプーが“おいラビ子! 今なんかドロップしたぞ! そのへん良く見てみろ!”って注意してくれなかったらさ、あたし気付かなかったぜ~。何しろ【アイテムドロップ】なんて初めてだったしさ、そんなラッキーなことがあるなんて知らなかったからよ、あの時はマジで助かったぜ~。プーはやっぱすげーよ♪ あんな激しい戦闘の最中でもちゃんと見ててくれるんだからなぁ。ありがとな、プー!(モグモグ)』


『(ゴックン)いや、礼には及ばん。師匠として当然の指摘をしたまでのことだ。ぬは~はっは~(モグモグ)』


(ヒロってば何だかんだ言ってラビ子ちゃんのことがかわいくてしかたないのねぇ~♪)


『よっしゃーー! 【すべらんシューズ】で倍増したあたしの実力をガンマダンジョンにぶつけてやるぞぉぉーーー!♪(モグモグ)』


『おぅ、その意気だぜラビ子♪ ごちそうさま~』


『あたしも腹いっぱいだ! ごっちそーさまーっ♪』


『いやぁ~食った食った~。あ、そーいやラビ子のステ値、まだ最終確認してなかったな~。どれどれ?』


 ヒロはグループスクリーンにラビ子のステータスを表示させた。





名前:ルナ泉ラビ子

種族:人間[ラビットル]


Lv:42203

HP:126699

HP自動回復:1秒55%回復【仁愛効果】

MP:175473


STR:すんごいつよい

VIT:すんごいつよい

AGI:すんごいつよい

INT:すんごいつよい

DEX:すんごいつよい

LUK:すごいつよい


魔法:【ハッ】


固有スキル:【ラビラビ通信&感知&開放&大開放】


固有体質:MP全快時間【27分】





『やったーー! 【すんごいつよい】ばっかりだぜ! プー! これってあたしがすんごく強くなったってことなんだよな!?』


『ま、まぁそーだろ~な。しかしオマエ、よくこんな抽象的な表記で能力を実感して喜べるなぁ~。感心するぜ~』


『ピキュ~。結局魔法は【ハッ】だけになってしまったのでピキュ~』


『なっはっは~~♪ めんどくせーからよ、なんでも【ハッ】だ♪』


《スキル無しでのMP全快時間【27分】はラビットル種最短であり、当然人類史上最短です♪》


『すごいわねぇ~ラビ子ちゃん♪ あなたヒロなんかより全然才能あると思うわよ~』


『ふん。俺は無能を自覚している【無能自覚人間】だ。【無自覚人間】と一緒にしないでくれ。立派な【無能自覚人間】なだけに【才能】なんて生まれた時から諦めてるぜ。ただ【運】は我ながらすげーって思ってるけどな♪』


『まぁわたしにインストールされちゃった時点で【持ってる】わよねぇ~【運】♪』


『昔から【運は実力のすべて】って言うしな~。ま、そ~褒めちぎるな、照れるぜ♪ ヒメよ』


『……あんたホント、しあわせなやつよね~』


『ピキュピキュ~』


『なぁプー、もし良かったらさ、みんなのステータスも見せてくれよ♪ 今後の目標にしたいしさ♪』


『あ~、別にいいぞ~』






名前:ヒロ

種族:人間[ヒト]


Lv:神3

HP:神2 + 神1

HP自動回復:1秒55%回復【仁愛効果】

MP:神20 + 神1【倍リング + STB効果:神205】

MP自動回復:1秒100%回復【アルロライエ効果】


STR:神1 + 神1

VIT:神1 + 神1

AGI:神2 + 神1

INT:神2 + 神1

DEX:神2 + 神1

LUK:神1 + 神1


魔法:【なんでも変化】【錬金】【トレース】


スキル:【神スコープ[SKB]ほぼ無限】【インベントリ(ヒメのなんだからね!)】【必要経験値固定】【迷彩】【ショートカット】【メモ】【アイテムドロップ[アルロライエのセンスで]】【召喚】【スキルバフ】【ステータスバフ】【変身】


亜空間プレミアムオプション:【埋設リンク型転移ゲート 未知MAX:大体500光年】






名前:ハナ

種族:神獣イデア[幼獣]


Lv:神1

HP:神1

MP:神1


STR:神1

VIT:神1

AGI:神1

INT:神1

DEX:神1

LUK:神1


固有スキル:【忠誠】【仁愛】【智伝】【義憤】【礼拝】【光線】【滅界】【破神[NEW!]】






名前:ウル

種族:無限のヒロニウムスライミー


Lv:神1

HP:神1

HP自動回復:1秒55%回復【仁愛効果】

MP:神1


STR:神1

VIT:神1

AGI:神1

INT:神1

DEX:神1

LUK:神1


固有スキル:【神速移動&変形&変質&変色&飛行&分裂&合体&通信&転移】


固有技:神速攻撃各種&防御各種&吸収 ヒロニウムメイデン


固有体質:体内に複数の亜空間収納ポケットを持つ[性能と数は栄養状態による]






『なんだよこりゃ!? ……や、やべぇ。話には聞いてたけど、ぜ、全員【神数値】になってやがる!』


『すげーだろ~♪ ハナやウルさんの表記がひらがなばっかなのが嫌でさ、スッキリ神数値になるように調整用のレベル上げしたんだぜ♪』


『ぜ、ぜんいん…… 家族全員…… 神数値』


『まぁオマエもガンマ攻略したら観念して俺やウルさんの経験値シェアしとけ♪ ハナなんて【魔物を一度も倒したこと無いのに神レベル】なんだぞ? 遠慮とかズルとか自分の力でとか考えずに、それもまた実力とか才能だと思っとけよ♪』


『あ、あぁ、考えとく。ようは【朝飯時のちゃぶだい中央の刺身盛り】みたいなモンだと思えばい~んだよな。それよか【夕飯時のちゃぶだい中央の漬物盛り】くらいに思っとけばいいってことなのか? 難しいぜ。テラースのフィロソフィーってやつは……』


『……まぁそー悩むな。俺まで頭が痛くなってくる。それよりハナがまた新しいスキルおぼえてるな~』




■破神[はしん]

神獣イデアが神レベルになると発現する固有スキル。

神獣イデアが気に入らない神を消すことができる。[回数や消し具合はイデアの気分による]

神獣イデアはその瞬間、消した神の全能力を追加ボーナスとして手に入れる。

※神獣イデアが幼獣の期間は【保護者パスワード設定】により使用制限可能




『やっぱ【ハナ最強説】が最有力だな~。【神も一目置く神獣】くらいに思ってたけど、ついに【神が恐れて逃げ出す神獣】になっちゃったよ。ヒメ~、アルロライエ~、プレッシャーに負けんなよ~♪』


『わ、わわわわたしは【神】って言っても、ヒヒヒロの脳内居候ニートでひひひ引きこもりのかかかかわいそうなかかかか弱いおおお乙女だからかかかかかんけーないもんね~~~♪』


《   ( TДT)   》


『わかりやすい女神様たちなのでピキュ~~』





『さ~~てと、そんじゃラビ子、どーする? ガンマダンジョン行くか?』


『おう! モチ行くぜ!』


『よしっ! それじゃあガンマダンジョンに』


《あのヒロ様、》


『ぬえ? ん? どーしたの? アルロライエちゃん』


《一応お伝えしておきますが、そろそろガンズシティのみなさんの去就をセンタルス役場に報告する予定の時期になります》


『………………あーーーーー! 完全に忘れてた! アルロライエちゃん、今ってセンタルス時間でどんくらいなの?』


《はい。創生歴660133年5月22日です。ヒロ様が役場でゴズ軍団のみなさんの自由を購入してから18日ほど経過しています》


『18日かぁ。片道十日ほどって考えれば、まだ二~三日の猶予はあるな~。っつーか特に“何日に戻る”なんて約束はしてなかった気もするしなぁ……。 よしっ、まずはガンマ攻略だ! 今のラビ子なら二日もあれば攻略できるだろ♪ センタルスへはそのあと向かおう! アルロライエちゃん、細やかな気遣いありがとーな! これからも何かあったら教えてねん♪』


《はうん♡ そんな…… 細やかな気遣いのできるオマエからアンナコトやコンナコトまで何でもかんでも手取り足取り組んず解れつ教えて欲しいいんだぜ♡ だなんて…… 光栄ですぅ~~~♡》


『プー、なんか用事があるんならガンマはそのあとでい~ぞ? あたしこそタイムリミットがある訳じゃねぇんだしさ……』


『だいじょ~ぶだってラビ子~。オマエは気にせずガンマに集中してろ~♪ センタルスの用事なんて一週間後でも大した問題にはならねーからよ♪ さぁ、予定は決まった! ガンマダンジョンへ、れっつらゴォォオーーー!!』


『よ、よっしゃぁあーーーー!!』





 ルナスタウン・ルナスダンジョン・ガンマ。


 現在は竪穴工事中の崩落事故のため閉鎖された入り口の地下百メートル付近。

 【第一の底】とされる場所にヒロとラビ子が音もなく現れる。

 その2秒後、レーダー器官により獲物の存在を感知した魔物がヌルヌルと近付いてきた。


『ラビ子、さっそくお出ましだぞ~。気ぃ~抜くなよ♪』


『おうさ!』



■ルナスガンマ底喰[るなすがんまそこばみ][S7級]

ルナスガンマダンジョンに生息する底喰のダンジョン固有種。魔物の中では最も古くから存在する古代種。

骨の無い軟体系の魔物で、体長は広げると10mほどにもなるが、収縮時には10分の1以下にも変化できる。丸い頭部の周囲に蛸のような足が50~100本放射状に生えている。1本の足に吸盤が200個ほど付いており、全ての吸盤の中央には鋭利な歯を持つ口がある。全ての歯は毒腺と繋がっており、毒は固有の麻痺毒で致死率が高い。足の筋肉が発達しており筋力も極めて強い。全身が固有の粘液で覆われており、その粘液にも麻痺毒が大量に含まれている。動きも俊敏で、さらには岩や土の隙間に潜り、体色素を変化させて擬態もする。



『ハッ!!』


 刹那、ラビ子の突き出した右掌から、底喰の全身に突き刺さるような数多の虹色に輝くフレームが放出され、掛け声が言い終わるより早く、ルナスガンマ底喰はダンジョンの壁に無数の肉片となってこべり付いた。


『次、来るぞ!』


『わかってる! ハッ!!』



■ルナスガンマ圧蟲のしかばね[るなすがんまあっちゅうのしかばね][元S8級]



 今度は別の横穴から【ルナスガンマ圧蟲】が襲いかかってきたが、ラビ子の左腕の先に生まれた【虹色に輝く刀剣のような形のフレーム】の数往復によってスパスパと切断され、一瞬で【しかばね化】した。


『毒が飛び散るから殺した後はすぐ避けろよ! その程度じゃ俺の【治癒力変化魔法[毒ならなんでも]】、かけてやんね~ぞ♪』


『うっせー! それくらいあたしも似たよーなの使えるよ!』


『おぉぉ~、いつの間に♪』


 説明しよう! ラビ子は生産系魔法こそまるで素質がないものの、肉体強化系や状態回復系の魔法には極めて親和性が高く、【毒状態回復】に関してもテラースでのダンジョン修行時にヒロがお情けで飲ませてくれた【アルロライエの手作りポーション[全毒浄化]】や【アルロライエの手作りポーション[全状態異常破棄]】の効能そのものを【体で覚える】ことで即座にイメージ化し魔法として会得してしまったのだ! そしてそれらの分類名もやはり【ハッ】なのだ!


『あたしだっていつまでも攻撃だけのバカうさぎじゃねーんだ! 状態回復系くらいはおぼえたぜ!』


『って言ってる間にも次々来るぞ~♪ 魔物は順番待ちなんてしてくれね~ぞ~』


『黙って見てやがれ!! ハッ!!』


 ラビ子はその後も三方から押し寄せる魔物の波を槍や剣のように生成したフレームを駆使し、的確に一体一体葬っていく。

 その動きは途切れること無く流動的で、見惚れるほどに美しく、舞い踊っているかのようにさえ見えた。


『よ~しよし、いいぞラビ子~♪ その調子でどんどん片付けていけ~』


『ねぇヒロ、ラビ子ちゃんのあの剣やら槍やら槌やら鉄球グローブやら大砲やらに形状変化するフレーム魔法ってさ、物質変化じゃないんだよね? てーことはよ、あの虹みたいにキラキラ揺らめいてるフレームの中身は何なの? とても加圧した空気程度には見えないんですけど~』


『ズバリ、んなこた~俺も知らん♪ ラビ子のラビットル的才能なんじゃねーの?』


『……あんた、分かりもしないでよくそんな指導者ヅラできるわねぇ。呆れて感心するわ~』


《アルロライエが一応フォローします。ラビ子さんの攻撃時のフレームの内部ですが、正確には【質量上昇と温度上昇により超超超超加圧された空気】です。レベル上げ前のラビ子さんでしたらどんなに加圧しても無色透明の鬼硬球を鬼レッズチャップマンが鬼ぶん投げた程度の威力しか出せていませんでした。しかし、現在のハイスペックに進化したラビ子さんの能力下では、このルナスガンマダンジョンに漂う空気、つまり【窒素と酸素と魔素と他いろいろ】ですが、それらがラビ子さんのステ値とラビラビブーストにより有り得ないほど超超超超加圧され、全成分が鬼融合し、鬼相転移し、原子配列までが鬼組み変わり、金属に似て非なる鬼新物質に変化してしまったのです。アルはこれを【ラビニウム】と名付けました。【強度の定義】は様々ですがザックリ雑把り言えば【ヒロニウム】に次ぐ、世界で二番目に超鬼つお~い物質です。あ、もちろん錬金ではないのでフレーム解除とともにその現象も無かったことにはなりますが……》


『すごいピキュ! そんな新物質が生まれるほどの超鬼加圧と解除をラビ子さんは秒間何度も繰り返しているのでピキュ~! 侮れないのでピキュ! 侮ったらそこで試合終了なのでピキュ! 足元すくわれるのでピキュ! でもウルには足そのものが無いピキュから足元は永遠にすくわれないのでピキュ~。危なかったのでピキュピキュ~~』


『へぇ~。ラビ子ちゃんてば早くもそんなスゴ技身につけてたんだ~♪ ヒロ~、もう【一人前】って言ってあげてもい~んじゃない?』


『うんにゃりばんばんのっとだぜヒメ。あの程度の加圧なんて俺にもすぐ出来る。まぁ俺にはラビラビが無いから【ラビニウム】とは別の物質になっちゃうだろうけどな。つーかそんなことするより変化魔法で【ヒロニウム】作った方が遥かに速いし威力もある。ラビ子を一人前扱いするのは、あいつの全ステ値が【がちすんごいつよい】になった頃でいいんじゃねぇかな~』


『厳しいのね~師匠さん♪ でもま~ラビ子ちゃん、数日後にはそこまで辿り着いてそ~な気もするけどね~♪』


『まぁな~。滑り出しを見た限りだが、このままの調子で進めば、多分ラビ子は明日にはここガンマを攻略できるだろうしな。想定の範囲内ではあるけど、あいつ良くやってるよ♪』


『“良くやってる”も何も、見たところ彼女の驚異と成り得る魔物はもうこのガンマダンジョンには居ないんじゃないの? ハナちゃんのおかげで疲れ知らずだし、どんどん爆進していってるわよ~』


『ピキュ~。まさに【ウサまっしぐら】なのでピキュ~』


 この時ラビ子は過去に経験したことがない次元の興奮を味わっていた。

 自分の能力に陶酔していた。

 超鬼ゾーンに突入していた。

 それは【己の戦闘性能に不安を抱えながら悶々黙々と鍛錬を繰り返してきた十数年分の暗雲】が霧散し、澄み渡った青い空を手に入れたかのような心持ちだった。実際このときラビ子の脳内では、ドーパミウム、アドレナリオン、エンドルフィーネ等のバフ系物質が大量分泌し、過剰分泌による脳細胞の損傷が一定値になるとハナの【仁愛】によるHP自動回復が起動し、そしてまたバフ物質の効力が上昇するというループが繰り返されており、言い換えれば【肉体の安全を保持したままの無限覚醒】が続いていたのだった。

 そんな【無限覚醒状態】がラビ子の集中力や幸福感や攻撃性を倍増させ、ガンマダンジョンの攻略はヒロの予想を上回るペースで進んでいく。


『ピキュ~! 虹色に輝く変幻自在のラビニウムを放出しまくって疾走するラビ子さんはまるで神話の登場人物みたいなのでピキュ~!』


『ラビ子っちは【戦闘の何たるか】を体で覚えはじめているのです。チチサマには全く備わってない才能なのです!』


『ラビ子ちゃんてば【理性が保てるギリギリの内側でイキまくっちゃってる】って感じね~。器用な子だわ~♪』


《ラビ子さんは野性的な感覚だけでその域に達しています。【泰然自若として理路整然と魔物を大量虐殺せしめんとするヒロ様♡】とは全く別の生物と言っても過言ではないでしょう》


『…………ただなぁ、だからこそ、……そんな状態になっちまってるラビ子だからこそ、俺には危惧していることがあるんだ……』


『え? ヒロ、なに不吉のプロローグみたいな語り出ししてるのよ……』


『ピキュ~。アニメとかだと【バトルジャンキーオーバードーズで自我崩壊したアヘアヘ廃人】爆誕! ……みたいな展開になるのでピキュ~』


『そしてチチサマは【アヘアヘ廃人化したラビ子さん】の口に【硬めのチクワ】を咥えさせ、背中に担いだ【リモ~ア製のリュックベルト付き大型スーツケース】の中に彼女を閉じ込め、【入れ替わり立ち替わり個性的な設定を施された鬼強い敵キャラと色んな確信が持てないままの戦闘を繰り返しては泣いたり笑ったりする旅】に出るのれす! ラマーズ法を超える新時代の呼吸法とかするのれす!』


『そ、そーなのでピキュか!? ヒロさん!』


『ぜんぜん違う。そもそも【リモ~ア製のスーツケース】は海難事故で大海原に放り出されても浸水せずにずっと浮いてるってのが売り文句だったんじゃね? だとしたら密閉率高すぎて中の【チクワ咥えたアヘアヘラビ子】が窒息しちゃうじゃねーか』


『ぐっ…… “細かいことが気になってしまうのが、僕の極悪な性癖♪”が口癖の割に、実は大したことには気付いていないチチサマらしい考察なのです! でも、だからこそヒロリエルは負けないのれす! 【スーツケースの内部には流星4号同様のインベントリ経由空気循環システムが搭載されていた】という設定を言い忘れていただけだったのれすっ!!』


『ピッ、ピッキュ~! 火花散る親子バトルなのでピキュ~。これは【バッキバキ】【スターウォーズマン】【巨人の惑星】【おい辛抱】【キラルラキ】など数多の名作と肩を並べる壮大な親子喧嘩勃発なのでピキュ~!』


『ウルさん、親子喧嘩の名作はギリシャ神話やら日本書紀やら大昔のやつだろ~。世界各地の神話以降の物語はほぼ二次創作物と言っていいんじゃないか? まぁ、だからと言って“名作にあらず”ってわけじゃないけどさ~』


『チチサマ! 目の付け所がのっとばっとなのです! そもそも人間界で言うところの【神】は【原初の二次元キャラ】なのです! 【神】という二次元キャラの誕生は人類史上最も際立ったパラダイムシフトなのれす! ゼロイチの中のゼロイチ、ゼロイチのパイオニアなのれす!』


『まぁまぁ、ウルちゃんもひーたんもヒロもそんなに興奮しないの~♪』


『ヒメぇ~、俺はそんなに興奮してないぞ~』



《ヒロ様、お話を戻しますが、ぜひその【ラビ子さんについて危惧していること】とは何かをお教えください》



『…………あぁ、そのことな。でもオマエら、聞いてもぜってーに引くなよ? あのな、』


『……ごくり』

『……ごくりピキュ』

『……ごくりなのです』

《……ごくり♡》


『強くなるのも負け知らずなのもいいんだけどさ、魔晶まで粉砕しちゃったら勿体ないだろ? それに尽きる。ラビ子にはもっと【冷静と情熱のあいだの冷静寄りのゾーン】で、せめて【魔晶だけは傷付けずに戦闘する】っていう域にまで早く到達してほしい。そーしないと生産的じゃないだろ? モッタイナイモンスターが大群衆でシュプレヒコール上げまくるぞ~。いやマジでマジで』


『『『《……………………》』』』


 この後もヒロによる【魔物との戦闘において最も重要なのは瞬殺することと魔晶を含む素材を出来るだけ高いクオリティで確保することである! という演説めいた釈明】が繰り返されたが、結局誰からのレスポンスを得ることもなく、この場の会話は静かに幕を閉じたのだった。


 そして、ガンマ攻略開始から一日ほどが経過した頃。

 ヒロシティ時間で創生歴660133年5月23日の午後、ヒロファミリーが見守る中、ラビ子はルナスガンマダンジョンを完全攻略した。





 攻略後、ヒロはラビ子からのリクエストに応え、ガンマダンジョンの地表開口部から最下層に至る全てのダンジョン空間を【ヒロ&アルロライエ共同開発プロジェクト】によって生み出された新製品【真究極パテ★無垢トナール改】で埋め尽くし、ガンマダンジョンそのものを【ただの大地】へと還した。

 そして遠慮するラビ子を制し、ガンマ跡地に直径10m高さ100mのヒロニウム製の【円柱棒】を建てる。当初はヒロシティと同じサイズの【巨大棒】を建てようとしたヒロだったが、ルナスタウンの魔法結界ドームの天面が1000mに満たなかったため、仕方なく十分の一サイズとした。


 【円柱棒】最上部


 ラビ子は地上100m地点に出来た直径10mの屋上に立ち、思いを巡らせていた。

 足元には、手書きで【かーちゃんの墓】という文字が彫られている。

 彼女は、生まれ育ったルナスタウンの景色を眺めたり、自らが立つ円柱棒の素材であるヒロニウムに手を当てたりしながら、穏やかな表情で沈黙の時を過ごした。

 そして一時間ほどが経過した時、傍らで黙したまま立っている男に向かい念話を送る。


『いろいろサンキューな、プー』


『あぁ、どーいたしましてだ』


『プーは最高の師匠だぜ』


『いや、オマエはもう俺の弟子でも生徒でもない。只の強者だよ』


『……へへ。でもあたしがプーのことを【師】と想い続けるのは自由だろ?』


『……あぁ、それはラビ子の自由だよ。好きにすればいい』


『そーする♪ な、なんかさ、急にこんなにレベルが上っちまったからか、なんつーか、まだ頭の整理がうまくできねぇんだよ。自分がどーであるべきかなんて…… いまいちわかんねぇや……』


『ま、そんなことは、これからの長い人生の中でおのずとしっくり来るんじゃないかな。のんびりでいいんだよ』


『あ…… そ、そうか。あたしもプーたちと同じ不老人間になってたんだよな。オランダ人もビックリ……だっけ?』


『あぁそうだ。オマエは俺と同じく、下手をすると向こう1万年ほどは死ねないかもしれない。そしてオマエがそんなバケモノになってしまったのは間違いなく俺のせいだよ。そこで弟子卒業の記念にひとつだけ約束させてほしいんだ』


『…………約束?』


『百年先か千年先かもっと先か、もしオマエが【生きつづけること】に絶望したり辟易した時には遠慮なく言ってくれ』


『………………』


『俺がオマエを殺してやるからな』


『………………』


『だから、……それまでは安心して生きろ。俺たちの家族として♪』


 それは【死ぬことが容易ではなくなったラビ子】へのヒロからの【絆の申請】のようなものだった。

 ラビ子はうつむくと、時間をかけてヒロの言葉を何度も噛み締める。

 そして、恥じらいながらもスッと顔を上げ、そして強く放った。


『一生ヨロシクだぜ、プー!』


『おう! オマエが死ぬまで付き合ってやる! 振り落とされんなよぉ~♪』


『あ、あったりめぇ~じゃねーか! どんな未来もギッタギタのボッコボコにしてやるぜぇ~~♪』


 奇しくもそれは、ヒロが初めてラビ子の姿を確認した時と同じ掛け声だった。

 無邪気で幼い言葉遣いとは裏腹に、そこにはひとりの美しいラビットル女性が凛として微笑んでいるのだった。





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