専用




『おいプー! なに神妙な顔して回りくどいこと語ったかと思ったら口半開きにして死んだカエルの目ぇしてんだよ。オマエなんてヘラヘラしてて場当たり的でいい加減でテキトーな奴ってだけだろーが~。そんな御託並べてる暇があったらとっととアルロっちに【リミッターかけまくって低スペックで戦いつつもそれが自然な動きに見える技】とか伝授してもらえよ~♪ オマエがどんなに語ったところで明日からの窮屈な旅は避けて通れね~んだろ~? にっひっひ~♪』


『…………てかさ、ラビ子、オマエは明日からどーするんだ?』


『ん? あたし? あたしは…… ここで留守番♪ ……かな♪』


『いやいや、そんなことは許さんぞ』


『だ、だったら変えるっ。あ、あたしはヒロシティを守り抜く! プー、オマエが留守にするあいだ、ヒロシティの平和はあたしラビ子が守ってみせる! 安心して仕事してこいよなっ♪ 遠洋漁業の乗組員の奥さんってこんな感じなんだろ?』


『ダメだ。ヒロシティの守護はウルさんが町創設以来完璧にこなしてくれているから必要ない。オマエは俺のパーティメンバーとして紹介する! 一緒に来い♪』


『い、いやだぁぁぁああ!! そんなつまんねー旅に同行なんてぜってーしたくねぇぇ!! ヒメさん! 第一妻だろ? 助けてくれよ~』


『ヒロ~、そんな急にラビ子ちゃん誘っても明日から演技して戦うなんて無理なんじゃないの~? まさかあのラビニウムフレーム振り回す訳にはいかないし、素手なんて、女の子なんだし以ての外でしょ?』


『いや、素手でも大丈夫だと思う♪ ラビ子のVITは今や【がちすんごいつよい】なんだぞ? しかもセンタルス・ガンズシティ間に出る魔物なんてせいぜいBランクくらいまでだ。ラビ子がどんなに素手でボッコボコに殴りまくっても拳には傷ひとつ付かね~だろうよ。相手の魔物はグッチャグチャだろうけどな♪ あ、あと【仁愛】効果もあるんだったし~♪』


『でもさ、ヒロが言うところの【ちょっと強めの平均的な冒険者】を演じるんならさ、そんな素手最強で魔物の肉片飛び散らせるラビ子ちゃんは隠さなきゃいけないんじゃない?』


『いやいや、心配ご無用だ。もう準備はできてる♪ アルロライエくん、例のものを発表したまえっ!』


《ハイでやんす博士! たった今完成したでやんす! ("`д´)ゞ 》




■神神槍 ラビランス[ラビ子専用]

S15級武器。色は漆黒。一見地味な黒い槍だが、全て最新のヒロニウムのみで製造されたヒロニウム純度100%の世界最強の槍。槍の中では世界一鋭利で世界一粘りがあり世界一頑丈で世界一硬く世界一凄い。なんなら世界一がちすんごい凄い。神界でも通用する神域の槍。柄の中央に【ラビ子専用】と刻まれている。

刀身:50cm  全長:200cm  重量:9000g

備考:ヒロとアルロライエによる共同開発プロジェクトによって誕生した超ウルトラな絶対的槍。二人はこの槍の製作に当たり、使用者をラビ子ひとりに絞り、【ラビ子専用武器】としての強度や存在感、凄さやラビ子専用武器らしさをゼロから磨き上げ、宇宙規模のレベルにまで到達させることに成功した。




『見てみろラビ子!』


『し、しんしんそうらびらんす…… なっ! なんだって!? ……ラビ子 …………専……用♡』


『ぬはーはっはっは! どうだラビ子! なんと世界にひとつしか無い【ラビ子専用の槍】だぞ~♪ オマエしか持つことが許されない【せ・ん・よ・う】の武器なんだぞ~♪』


《ラビ子さん専用の槍でやんす~♪ 【せ・ん・よ・う】でやんすよ~♪ (*`∀´*) 》


『どうだ~、ラビ子~、気に入ってくれたか~♪』


『ラビ子…… 専用武器…… 世界一…… 宇宙規模…… 』


『どうなんだ~ ラ~ビ~子~~?』


『……さ、さいっこーだぜプー!! あたしのためにこんな、こんな、こんなすげえ専用武器つくってくれたんだなっ! ……な、なぁ、プー、ちょっと持ってみても、いいか?』


 ヒロは爽やかに微笑みながらコクコクと頷き、【神神槍 ラビランス[ラビ子専用]】をラビ子の手に預けた。


『うっひょぉ~~!! なんっつーしっくり感なんだよ! まるであたしのためだけにつくられたみたいだぜっ!』


 ヒロは爽やかに微笑みながらコクコクと頷いた。


『手にしっくりと馴染みやがるぜっ! 重さと言い長さと言い太さと言い、どれもかんっぺきじゃねーかよっ!♪』


 ヒロは爽やかに微笑みながら頷いている。


『これってさ、本当に貰っていいのか?』


 ヒロは爽やかに微笑みながら頷いている。


『いやっほぉ~~~い! サンキューだぜプー! この恩はぜってー返すからな♪ あたしに出来ることがあったら何でも言ってくれ!♪』


 ヒロは不気味に微笑んでラビ子に話しかけた。


『実はラビ子、オマエに頼みがある……』


 こうしてラビ子は翌日からの検査官との旅にヒロのパーティメンバーとして同行することとなった。





 【世界一の自分専用武器】でまんまと釣りあげられたラビ子ではあったが、【神神槍 ラビランス[ラビ子専用]】のスペック自体に嘘はなく、彼女はハナランドの中央でご機嫌に槍を振り回していた。


『プー! ラビランスはさいっこーだよっ! こうやって振り回してるだけでもさ、なんかこぉ~、あたしすげぇ♪ みたいな感情が湧き上がってくるんだぜ!?』


『そーだろそーだろ~。なにしろ【ラビ子専用】だからなっ♪』


『おうさ! ……でだな、できればそのぉ~、あたしに【槍術】を教えてほしいんだが……』


『そんなもん俺が知るわけねーだろ。ヒロリエルにでも習っとけよ~』


『ん? ヒロリっちは【剣術】だろ? しかも【一瞬なやつ】で、一般人にはお披露目できねぇんじゃなかったっけ?』


『ノンノンノンなのです。ひーたんは神界が誇る最先端の特殊生命体なのです! チチサマクラスと戦う時はご存知【ひーたん流瞬殺剣術】を乱用するのですが、このフレームボディには世界中の、そして歴史上の、ありとあらゆる戦闘術がインストールされているのです。素手だろうが剣だろうが槍だろうがけん玉だろうがピコピコハンマーだろうが何でも来い!なのです。ひーたんに扱えない武器など皆無なのれす!』


『おおぉ、そーだったのかよヒロリっち! だったら早速あたしに槍のイロハを教えてくれ! たのむっ!』


『他ならぬラビたんの頼みなのです。ひと肌……ひとフレーム脱いであげるのです。ただラビたん、ひーたんの修行はチチサマのように甘甘のユルユルのガバガバではないので覚悟するのです!』


『わかったぜヒロリっち! よろしくたのまぁー!!』


『つきましてはチチサマ!』


『んへっ? 俺?』


『ひーたんにも【ひーたん専用】の槍をつくるのれす!』


『……ん? ヒロリエル、おまえの【神聖剣エクスカリビュランサー】ってフレームの集合体だから槍形状にも……』


『ひーたんも【ひーたん専用】がほしいのれすっ!!』


『いやだから、そもそも【神聖剣エクスカリビュランサー】ってヒロリエル専用武器なんじゃ……』


『チチサマが丹精込めてひーたんのことを想ってつくるのれす! ラビたんばっかりズルいのれす!』


『…………あぁ、そーゆーことな~』


『ヒロってば何でそんなにニブチン鈍感朴念仁なんだかねぇ~。乙女のひーたんに皆まで言わせちゃうなんて、罪なあんちくしょう、いいえ、死罪なあんちくしょう糞野郎よ。もっと乙女心蹂躙侵略ゲームとかやり込みなさいよねー。あ、そうだ! わたしにもなんか作ってよ~、ヒメ専用のやつ~♪ そうね、【ヒメ専用座椅子】とかがいいわ! ヒメルームでゲームする時に座るからさ♡』


『オマエはそもそも実体が無ぇだろが。俺の脳内に座椅子なんか持ち込むんじゃねーよ』


『ウルは毎日ヒロニウムをいただいてるピキュからそれで充分なのでピキュ~♪』


《ヒロ様、アルに愛を! 【アルロライエ専用ヒロの愛】を! 濃厚でコクが有りまったりと絡みついて痺れるようなやつを!》


『………………』


『チチサマ! アルたんの糞みたいな戯言などゲロ無視でいーのです! はやくひーたんの槍をつくるのれすっ!!』


《  ( ゚Д゚)  》


『あ、あぁ、ヒロリエル、ごめんごめん。てかおまえ、武器の開発にはアルロライエちゃんの協力が不可欠なんだからさ、もう少し気ぃ遣えよ~。口悪いぞぉ~』


《…………ゴホン。いえヒロ様。御息女への自由奔放な教育方針、アルも将来の参考にさせて頂きます。また、こちらこそ父娘の会話に割って入るようなマネをしてしまい反省しておりますペコリメンゴ。そんなこんなでたった今、完成いたしました。ご覧あれ♪》




■神聖槍 ヒロリエボルグニル[ひーたん専用]

S15級武器。色は漆黒。一見地味な黒い槍だが、全て最新のヒロニウムのみで製造されたヒロニウム純度100%の世界最強クラスの槍。世界一クラスがひしめき合うヒロニウム製武器群に属するだけあって、なまら鋭利で、ぶち粘りがあり、もんげー頑丈で、すこだま硬く、ばりめっさ凄い。なんなら超超超鬼がちすんごい凄い。神界でも通用する神域の槍。柄の中央に【ひーたん専用】と刻まれている。

刀身:50cm  全長:200cm  重量:9000g

備考:ヒロとアルロライエによる共同開発プロジェクトによって誕生した超ウルトラな絶対的槍。二人はこの槍の製作に当たり、使用者をヒロリエルひとりに絞り、【ひーたん専用武器】としての強度や存在感、凄さやひーたん専用武器らしさをゼロから磨き上げ、宇宙規模のレベルにまで到達させることに成功した。




『はふぅぅ~~ん♡ ひーたん専用なのれすぅ~~♡』


 ヒロリエルはハナランドの中空に顕現しゆっくり回転しながら浮かぶ【神聖槍 ヒロリエボルグニル[ひーたん専用]】をガシッと掴み、抱きしめながら柄に刻まれた【ひーたん専用】の文字のあたりに頬擦りを繰り返した。


『さっそく修行を始めるのです! チチサマ! ラビたん! 面倒なので二人まとめて剣も槍もおぼえるのです! 明日の朝までぶっ通しなのです! ウェポンマスターにおのれらはなるっ! なのれすっ!』


『いよっしゃぁああ!! ヒロリっち最高だぜっ! まっかせとけっての! ウェポンマスターにあたしはなるっ!!』


『おいおいマジかよぉ~。俺、武器なんて使わねーからほんと、ほどほどの剣技を少々って程度でい~んだってば~』


『チチサマはラビたんの爪の垢を固めて作った垢団子を今すぐ口いっぱいに頬張るのです! そんなだからいつまで経っても【風格ゼロ】なのです! 少しは【戦士】【パラディン】【竜騎士】【侍】【剣聖】などの【ジョブ的魅力】をその身に焼き付け纏うのです!!』


『ヒロリエル~、【無職】をこよなく愛する俺をつかまえて、そんな無理難題ふっかけんなよぉ~。トホホ~』


 ヒロの嘆きはヒロリエルに届くはずもなく、やる気満々のラビ子と無気力なヒロは、翌朝まで延々と【ウェポンマスターロード】を歩まされることとなるのだった。





「フンッ!」


「セイッ!」


「ハッ!」


「トァーーーッ!」


 一夜明け、ハナランドにはラビ子の元気な肉声が響き渡っていた。

 ヒロリエルによる徹夜の特訓が功を奏し、ラビ子は長槍、短槍、長剣、短剣、双剣、槌、棍、盾、大盾、などなど、様々な武器を使いこなせるまでに成長していた。

 その陰には【必要な専用武器を数秒で製造するヒロアル開発プロジェクト】の功績も少なからずあり、インベントリ内の【ラビ子専用武器フォルダ】には純ヒロニウム製の得物が多数保管されていた。

 現在ラビ子は、そのひとつひとつを大事そうにフォルダから取り出しては、ヒロリエル直伝の技の数々を反復確認し、悦に入っている。


『よぉ~し、こんなもんだろ。ヒロリっち師匠、たくさん教えてくれてサンキューだぜっ! いろんな流派の技や術を習うのがこんなに楽しいだなんて思ってもみなかったよ~♪ あたし、それなりに成長しただろ?』


『ラビたんすごいのです! センスのカタマリなのです! 世界で二番目に覚えがいいのです。もうひーたんが教えることは何もないのです! 予定通りウェポンマスターになりやがったのです~♪』


『……その【世界で二番目】ってーのが腹立つんだよなぁ~。どんなにがんばってもプーの方がちょっと先に行っちまうんだもんよ~』


『ふっ。ラビ子よ、そう拗ねるな♪ 俺はウェポンマスター修行の間も【いろんなものの開発&生産】や【世界中で起こっている出来事の軽めの部分的傍観】や【世界中を股にかけた軽めのレベル上げ&資源確保】を同時進行でやってのけてたんだぜ? ラビ子とは違うのだよ、ラビ子とは♪』


『ぐ、ぐふぅ~~。返す言葉もねえ! さすがあたしの第一師匠! まだまだその頂は遠いぜぇ~』


『でもラビたん、習得した技のアレンジ力や進化させるような発想力はラビたんの方が断然上なのです! チチサマは教わったことを会得するのみに終始していたのです。高性能ロボと変わりないのです!』


『いやヒロリエル、それは俺がアレンジや進化をさせようなどとは思わなかったってだけの話だぞ。だってどんなに進化させたところでさ、そんな【一般人が視認できる程度のスゴ技】なんて高レベルな魔物相手にはショボくて使えねぇだろ~? 今日からの【役人同行旅】が終われば技も武器もまとめてインベントリの肥やしフォルダ行き確定だからさ、労力を最小限に抑えてたってだけのことなんだよな~』


『チ、チチサマにはロマンが無さすぎなのです! ひーたんは【合理的最強】を目指すと同時に、その別ルートでは【カックイイ的最強】も極めたい夢見るチューニー剣士でもあるのれす! もっと受けを広く取るのです! 遊び心も時には必要なのですっ!』


『そーだぞプー! 少なくとも第三者が見てる前での強さってんなら【カックイイ】が付帯してねーと意味ねーだろが!』


『おまえら…… 専用武器を手にしてから様子変わってねぇか? まだチューニー熱に侵されてやがんのかよ~』


『チューニー熱は一過性の流行病ではないのです! ひーたんの持っている多次元世界極秘資料集【XXLファイル】によれば、チチサマの元居た世界にて“還暦を迎えてもなおチューニー熱を発症し続ける【スカーレットちゃんちゃんこソルジャー】が大量に確認された”とあるのです。そう! つまり! チチサマこそがチューニー系第三惑星チューニー星のチューニー王国から異世界に舞い降りたチューニー王子その人だったのれすっ!』


『そーだっちゅーにー! プーも自分が本当は何者なのかをいいかげん思い出すんだっちゅーにー!』


『いやいや、そんなの極東の島国限定の症例だろ~。第二次性徴以降に発現する承認欲求やらアイアンメイデンティティなやつの特殊例っつ~の? けどさ、広ぉ~く浅ぁ~い意味で言っちゃえばさ、別に後期高齢者であってもどんな次元の世界であっても、そんなアイコウダイメイデンティティな熱、【人間】であるなら誰でもいつでも発症してるんじゃねぇか? 古くは神話や信仰の最初のトリガーもそーなんだろうし、ラビ子のオヤジさんが作ってるタバコの箱の傘だって同じようなタイプの熱って気がするんだけどな~』


『ど、どうしちまったんだよプー!? オヤジはあの傘で戦ったりなんかしねーぞ! 頭を冷やせっ!』


『いやオマエが頭を冷やせ。……ん~~、まぁ分かったよ~。ようは俺が“パンデモニウムカタストロフィディメンションジャッジメント奥義、冥府朧月!”みたいな技を編み出したりすればいいんだろ?』


『そ、そうだ! いいぞっ! その意気だプー! やればできるじゃねーかよ♪』


『チチサマ! ついにひーたんが切望していた【チチサマ第三の邪輪眼】がぱちくりと開いたのれす! あとは【出会った時はまるで勝てそうになかったけど、チチサマの秘められた能力が派手なエフェクトと叫び声によって発現開花し、瞬間習得したその【パンデモニウムカタストロフィディメンションジャッジメント奥義★冥府朧月】によりギリギリ勝利できるくらいの格上の敵っぽいやつ[ライバルでも可]】の登場を待つばかりなのれすっ!!』


『ヒロリエル~、そんな物語っぽく都合のいい相手なんてそうそう現れないって~。あとアレだろ? そいつ倒しても似たようなシチュエーションが次々と続くんだろ? そんで俺は戦うたびにボロボロになるんだけど【仲間の信頼】やら【沢山の人達の笑顔】やら【ヒロインの祈り】やらを糧にどんどん強くなってくんだろ? で、みんないちいち【叫ぶ】んだろ? で、【勇気と希望と感謝を混ぜたみたいな歌】が流れるんだろ? で、【強さって何?】みたいな暗雲に世界観全体が覆われているにもかかわらず、やめるにやめられない戦いが続いていくんだろ? そんな無限ループご勘弁だし、そんなベタな展開なんて実際には起こったりしないっちゅーにー。あと俺、もうかなり強いっちゅーにー。手遅れだっちゅーにー』


『ピ、ピキュ! だとするならばピキュ、ヒロさんはもう【イヤン・ウォンリーとライオンハート・フォン・ローエングラマラス】や【サクランボ花道とルッコラ楓】や【レイアーム・ローとアー・シャズナブルン】や【茅葺ジョーと力士トール】や【ジョルジョルとデオデオ】や【ケンゴロウとラー油王】や【隅田川コナンと怪盗ギットギト】や【ゴックンとフリーズドライ】や【なるほどザ渦巻とサスケ完全制覇】や【磯の王鰹とナカジーナカジマ】みたいな眩しいほどに火花散るライバルの登場をこの世界に望んではいないということなのでピキュか!?』


『ごめんウルさん、全然望んでないし望む予定もない。あと【磯の王鰹とナカジーナカジマ】はただの友達だし』


『ピキュ~。それはもう残念極まりない未来なのでピキュ~。黙示録なのでピキュ~。アポカリプスにポカリの味はしないのでピキュ~』


『ま、まぁウルさん、強いて言うなら俺の永遠のライバルは【ヒロ一家のみんな】ってことでいいんじゃないか? 別にライバルだからって是が非でも白黒はっきりさせる勝負なんてする必要ないんだしさ♪』


『ピキュ! だったらウルとヒロさんは【隅田川コナンと怪盗ギットギト】ピキュ~♪ 誰もが安心して見ていられる和気藹々とした切磋琢磨をするピキュ♪』


『……そーだね、そーしよう♪』


『ならひーたんは【イヤン・ウォンリーとライオンハート・フォン・ローエングラマラス】がいいのです! チチサマ、もとい、イヤン、予以外の者の手にかかるとは…… キルヒ17アイスとヴァルハラで仲良くしてやってくれ…… 予もいずれ逝こう……』


『………………』


『あたしは【ジョルジョルとデオデオ】にするぜ! もちろんプーがデオデオなっ♪ オラッ! ロードローラーなんて無駄だっちゅーにー!』


『………………』


《あの、ヒロ様、そろそろ役場へ向かったほうがいいのでは?》


『あっ! …………た、助かったよ~アルロライエちゃ~ん。キミは救いの女神だ♪』


《はいぃ~ですですぅ~~♡ ちなみにアルは【ル~パンオジサマとクラリンス】みたいな関係をリクエストしたいのですが、ヒロ様が【不二峰子】的なものをお望みとあらば、一肌脱ぐのもニ肌脱ぎ散らすのもやぶさかでないという想いも無きにしもあらずですですぅ~♡》


『さ、そろそろ行くぞ~。ヒメは大丈夫だよな?』


『……下僕のヒロロギくんに教えてあげるわ。私は正義の味方じゃない。悪の華よ。ボードレール産なのよ』


『……ヒメータス、お前もか~。まったくもう、やれやれトホホのまいっちんぐ溜息だぜ~~』


 かくしてヒロは深く大きなため息とともにさっさと腰を上げ、ラビ子を伴い、センタルス役場へと向かうのだった。




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