第24話 故郷に帰る2
馬車に揺られること約2日ヘルを迂回したからいつもより時間がかかった。
「久しぶりにきたな。一年と半年ぶりか、」
心の底から湧き出そうなものを抑えて冷静な表情で馬車を降りる。
「まず、どこへ行くの?」
ここはどこといった感じで質問してくるクレハに対して軽く返す。
「とりあえず、冒険者ギルドにいくか。オーラルも行けって言ってたし。」
オーラルから向こうの「ギルマスとは知り合いなんだ顔見せとけ。」と言われていたので冒険者ギルドを目指すことにした二人は街中を歩いていた。
「本当に懐かしい。」
景色を見ながら哀愁に浸ってそう言葉をこぼす。ここが自分の住んでいた場所でかけがいなかったのは間違いない。
30分ほど歩き冒険者ギルドに辿り着いた俺たちは扉を忍足であける。そして、受付嬢のところへと気づかれないように歩いて行く。
「すいません。これをギルマスに渡してくれませんか?」
そう言ってオーラルから受け取った手紙をわたす。
「はい、わかりました。」
中へと消えて行く受付嬢。いつもこの手際の良さはどこからくるのだろうと感心する。すると、待っているクレハのいる方向から
「ちょっと離してよ!」
「いいじゃねぇか嬢ちゃん一緒に遊ぼうぜ。」
こんな感じでつるまれていた。
(めんどくせえ。まぁエルフってバレてないだけマシか。)
そして、小太りの男の手を掴む。
「今すぐ退けよ。じゃねぇと握り潰すぞ。」
軽く脅してやった。すると、場の空気が凍りつき、周りの賑やかな声が全て消えていた。
「はいっ、すみませんでしたー。」
そう言って涙目になりながらそそくさと消えて行く男。
(軽く睨みつけて脅しただけなんだかな。)
そして、クレハの方を見ると、右手を口に添えて、足を震わせ顔には恐怖の表情があった。
「あなた、だれ?」
今にも泣き出しそうなクレハがキリアに尋ねる。
「俺は、俺だが?」
何を言っているのかわからないと言った感じで聞き返す。すると、クレハが安心いや、安堵したように、
「そうよ。そうよね!」
そう言った。すると、ギルドの階段方面から
「そこの、お二人上にきなさい。」
紫色髪をもち紫眼を持った綺麗なお姉さんに呼び出されて、少しテンションは上がったもののすぐに呼び出しだとわかり渋々上に行くのであった。
「で、なんで呼び出したんですか?」
椅子に座ったキリアが開口一番尋ねる。
「えぇ、そうね。まずは、オーラルの紹介だからと言うべきでしょうね。」
「オーラルさんと知り合いなんですか?」
クレハが食い気味に質問する、お姉さんは首を傾げた後笑って、
「フフッ、何も伝えてないのねあの人。自己紹介がまだだったわね。私はビオレッタ、オーラルの妻よ。」
「「はー!?」」
クレハとキリアは立ち上がり同時に声を上げる。
そして、先に冷静になったキリアが質問をする。
「すいません。取り乱しました。あいつの妻ということはわかりました。意外というかなんというか。」
「似合わない?」
「失礼ながら」
「まぁ、それはそうよね。周りから見たらあの人戦闘狂だものね。」
クスッと笑って俺を見つめる。美人だなと再度認識する。それから、ティーカップを手に取り
「エルフの里に行くのよね。私はしらないけど本当にあるらしいから気おつけていってらっしゃい。」
紅茶を飲みながら送り出そうとするビオレッタ
「はい。気をつけて行ってきます。それと最後にいいですか?あいつ、オーラルとの馴れ初めはなんだったんですか?」
そう興味があるように尋ねる。いや、逆に真実を聞いた時からずっと聞きたかったことを満を辞して尋ねる。ビオレッタは少し口元を緩めながら
「昔、パーティが一緒で、私が口説かれちゃったって言う感じかしらね。」
笑いながらそう言った。
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