第12話 呪い解いてみるか
「で、聴こうかお前に何があったのか?」
そう言って、戦う前に話していた場所で問いかけられる。
「なんも、ないですよ。あの力も、たまたまですよ。」
そう言ってはぐらかすが
「術式がねぇやつがあんなに強いはずがねぇ。しかもテメェーみてえなガキがだ。安心しろ。お前の事情は必ず誰にも話さなねぇ。」
(まぁ、もうはぐらかしても無駄だろうし、この人なら大丈夫だろう。)
「わかりました。話しましょう。僕の11年間を、」
そう言ってキリアは、自分の過去を話し始めた。そしてウォーターベアーの話が終わったぐらいで
「ひっぐ、おまぇー。ひどい人生送ってきたんだなー、ひっぐ!」
そんなふうにオーラルは泣き出した。そして、泣き止むまでに少し時間を費やし、鼻水を啜ったオーラルが話し出す。
「そこまでは、わかった。問題はお前のあの奥の手がどう発動したのかだ。初めて使ったのはいつだ?」
「初めて使ったのは、Aランク魔獣と戦った時ですね。死にかけになって、全力で逃げ回ったのはいいですが、ボロボロになったところを捕まって今にも喰われるってところで初めて使えました。」
「そん時はどうだった?」
そう、興味があるように身を乗り出して聞いてくる。
「その時ですか、.................................あんまり、ていうかなんも覚えてないんですよ。気がついたら周りの木が全部なくなっていて、目の前にあるのは魔獣の死体と、血まみれになった自分でした。」
「そうか、
何はともあれ、あの力は使うなよ。危険すぎる、本当に自分の命が危機に陥った時か、大切な人を守る時のみにしろ。」
そう言われて、キリアが申し訳なさそうに
「はい、わかりました。」
それを聞くと、オーラルが笑顔になり、
「おっし、てことでこれがライセンスだ!」
そう言って机の上に魔術で作られた俺の写真が貼ってある銀のプレートのようなものが置かれた。
「これが、お前のライセンスだ!もちろんちゃんとCランクにしてあるぜ!」
嬉しそうにキリアが受け取りながら
「ありがとうございます!」
「おう!ところで急に話を変えるが、お前、金はあるか、それと衣食は?」
「金もありませんし、衣服はこれ一着ですし、食うもんなんてなんも。」
そういうとオーラルの表情が笑顔から神妙な面持ちに変わる。
「お前に、極秘クエストをやって欲しいんだ。ちなみに金はめっちゃでる。」
「極秘クエスト?内容はどんなですか?」
そう不思議そうに聞くキリア
「ああ、実はな、この国にはシンベリア家って伯爵家があってな。そこの一人娘の子が1年間寝たきり眼を覚まさないんだ。」
「それって、」
キリアの面持ちが険しいものになる。
「あぁ、呪いだよ。それも多分高度な。今まで何人か腕のいい冒険者たちを送ってきたがダメだった。でも、お前は他の人間とは違う。もしかしたらお前ならっと思ったんだ。」
「そうですか、わかりました。受けましょう。できるかはわかりませんが、」
「そうか、ありがとう。今日はここに泊まって明日いけ。だが、その前に金をやるからその、ボサボサになってる髪と衣服もうちょいマシなん買ってこい!」
そう言ってギルドを追い出された。
翌日
昨日オーラルから言われた通り朝早くに伯爵家の屋敷へと来ていた。昨日、美容室に行ったので、髪はしっかりと整えられており、服装は中にスーツのようなものをきて、薄いオーバーコートの用なものを羽織っている。そして、門から入ろうとすると衛兵に止められる。
「何しにきた。」
「ギルドの紹介できた。ほら、ライセンスもある。」
そういうと、
「通れ。」
そう言ってとおされて長い庭を歩きながら屋敷まで着くと一人のメイドが待っていた。
「キリア様ですね。旦那様がお待ちです。執務室まで案内させれもらいます。」
そう言われて、キリアは素直にメイドについていく。そしてメイドが執務室の扉を叩く
「旦那様、キリア様が参りました。」
すると中から
「入りなさい」
と優しそうなそれでいてどこか厳しい声が聞こえてきて、キリアだけが中に案内される。
そして、シンベリア家当主である前で昔に習った礼儀作法をもとにあいさつをする。
「お初にお目にかかります。冒険者ギルドからきた、キリアと申します。」
「キリアくんか、いきなりで申し訳ない!娘を、娘を助けてくれ。」
「はい!そのためにきました。」
そう威勢よく返事をし、娘さんの部屋へと案内される。そして、扉を開けると、そこにいたのは寝たきりで点滴をうっている少女がいた。
(このレベルまでは医療も進歩してるのか)
点滴を見ながらそんなことを思う。
「じゃみさせてもらいます。」
そう言って少女の横に座り、少女の手を触る。そして、微力の魔力を流し呪いを探す。
(あった!これがそうか、えげつねぇ悪意。まぁ関係ないけど)
そう思いながら、微力の魔力を大量の魔力へと変化させ、少女の体から呪いを直接引き剥がした。すると、出てきたのは骨の形をした悪意の塊だった。
「ゴラァーー」
呪いが叫び始めた。
(さぁ来るんだったら来い!)
黒刀を作り、臨戦態勢をとる。しかし、その呪いは窓をすり抜けてどこかに飛び去ってしまった。
「は?」
どういうことと思いながら、まぁいいやと思ったキリアは少女の方に目線を移す。そこにはちょうど目を覚ました少女がいた
「セリア、セリア、」
そう言いながら抱きしめる当主様、どうやらこの少女の名前はセリアというらしい、そして銀髪の髪を靡かせた、お人形さんみたいなその子は紫色の瞳で俺を見つめて
「王子様?」
変なボタンを踏んでしまった気がする。
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