第36話 強さとは何か?

「よっ、キリア」

学校で1時間目が始まる前に寝そうだった俺のところに筋肉バカそうな男がきた。どこをとっても筋肉と言った男だ。

「試合見たぞ!お前強いんだな。」

「どうも、ありがとう。で、俺になんのよう?」

起こされて機嫌が悪かった俺は少し睨みを効かせながら質問する。

「いや、友達になりにきた。」

「は?」

「いや、だから友達になりにきた。」

意味がわからないと言った感じで聞き返す俺に対して真顔でそんなことを言ってきた。少し頭を抱えながらも別に断る理由はないと思い。

「あぁ、いいよ別に。」

そう前世含めてもはじめての男友達ができたのだった。

「おっしゃよろしくな。」

男前の赤髪の男がそう言った。

「あと、俺の名前はアレスだ。」

「OK、アレスね了解」

そんな会話をしていると、授業開始のチャイムがなった。全員が席について少ししてからある一人のエルフ?が入ってきた。

「よし、誰も私の授業に遅れてないな。」

(遅れたら殺されるからな。後、お前一人称ほんまは僕やろ。)

満場一致でそう思っただろう。なぜなら授業をするのは魔階級一級のクシフォスであるからだ。

「まぁ、最初の授業なんで気を抜いてね。」

そんな感じでニコニコしている。クシフォス

この人は魔法や剣術などの実技担当。まぁこの人向きだろ。教壇に荷物を持ち俺たちの方へと向き直る。

「じゃあ、最初に質問しようか。君たちにとって強さとはなんだい。」

クシフォスの雰囲気が変わる。それと同時に教室の空気がピリついた。

「じゃあ、アリスさん。」

アリスが指名されて立ち上がる。

「全てを守れる力を持ち、理不尽には屈しないことです。」

アリスらしい答えちゃ答えだなと思いながら聞く。

「うんうん、いいね。じゃあ次リリアさん。」

リリアも立ち上がり、

「どんな逆境でも立ち上がってくる力のことです。」

俺の方をチラチラ見ながら答えていた。

「わかるよ。わかる。じゃあ最後キリア。」

そう言われて俺は渋々立ち上がる。

「目標を死に物狂いで達成する力のことだ。」

そう返した。

「うん、ありがとう。まぁいくつか出たけど実際なんでもいいんだよ。そんなの」

それを聞いて教室がざわめく

「ただ、それを言い切って納得させれるだけの力が君たちにはあるかい。」

殺気を出しながら冷徹な目で俺らを見つめながら問い返す。それは、教室の空気を恐怖へと持っていくのは十分だった。

「俺はあるよ。」

しかし、その空気を俺が斬った。

「僕の弟子だからって図に乗るなよキリア。まだ、僕に勝てないくせに。」

「あっ?なんだ師匠。最後にやったの二年前だろ。そうか、俺に負けるのがそんなに怖いのか。」

クシフォスと俺の間に火花が散る。しかし、先に冷静になったのはクシフォスの方だった。

「やめておくよ。いまの君とやったら学園がもたない。」

そういうと同時に授業が終わるチャイムが鳴った。いつのまにか50分たっていたらしい。

「今日はここまで明日からは実戦も入れていくから気合を入れてくるように。」

クシフォスはそう言って教室を出て行った。出ていくと同時に

「「はぁー、」」

生徒全員から安堵の大きなため息がでる。俺を除いて。そして、アリスが俺の方を向いて

「何、一級に喧嘩売ってんのよ。てか、キリア、あなた、あの弟子を取らないで有名なクシフォスさんの弟子だったの?!」

近づきながらでかい声で驚愕の事実を突きつけられた主人公みたいなノリで言ってくる。

「あぁ、一年だけだがな。」

「やっぱりお兄様はすごいです。クシフォス様の弟子だなんて。」

リリアが嬉しそうに寄ってくる。そして、俺の腕にまとわりついてきた。

「ちょ、離れなさいよ。」

アリスが慌ててリリアを突き放す。

「別にいいじゃないですか、兄妹なんですから引っ付いても。なんです?ヤキモチ焼いてるんですか。」

「べっ、別にヤキモチなんて!」

顔を真っ赤にしてアリスは言い返していた。

「はは、モテモテだなキリア。」

「そう思うんなら助けてくれ。」

アレスとそんな会話をする。今までどんな日常も狂わされて来た。今度こそ俺は、この新しい日常を絶対に大事にしようと思った。すると、教室の扉が開き、

「「久しぶりね。キリア、」」

二人の女子生徒が俺の名前を呼んだのだ。この瞬間俺の日常の歯車がまた狂った音がした。

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