第4話 シューベルト家


中世ヨーロッパのような街並みの街灯のみで照らされている路地に1人の男が立って不敵な笑みを浮かべながら、こう言った。

「あの人が転生して3年ですか。あぁー今すぐにでも絶望の底に引きずり落としたい。いや、まだ早いですね今は幸せを満喫してもらいましょう。あなたの心が折れるその時までせいぜい足掻いてくださいね周斗さん......いや、キリア=シューベルトさん」





コンコンコン

「お父様、失礼します。」

「おぉ!キリアか一体何しにきたんだい?」

「はい、お父様の仕事の見学にきました。」

「見学って、もうそんな言葉を覚えたのかい、3歳にしては、早すぎるよキリア」

(そう言いながら僕の頭を優しく撫でているのは僕のお父さんラインハルト=シューベルトである。)

「本当にキリアは天才だな!」

(そう、僕は転生してからというもの神童として名を馳せているのである。なぜなら3歳で読み書きをマスターし、術式を媒体としない無属性魔法の全てを使えるからである。まぁ言語に関しては、産まれてから意識があって、この世界の言語も日本に近いから覚えられただけだけど)

「はい、僕は神童なので!」

「こら、少しは謙遜をしなさい」

とこんな他愛もない親子の話をしていると部屋にお母さん[ナタリー=シューベルト]が入ってきた。

「えぇ、確かにキリアは天才です。その調子のままリリアをしっかり守れるお兄さんになるんですよ。」

腕にまだ一才になったばかりの僕の妹であるリリア=シューベルトを抱はさながらそんなことを言ってきた。

「はい!当然です。悪い男がつかないように僕が全力で守ります!」

意気揚々と高らかにそんな小っ恥ずかしいことを宣言した。

(なぜって?当然やろリリアは天使のように可愛いんだよ。そんな妹がいたら必死で護るってもんがお兄ちゃんってもんだろ。)

とそんなオタク的脳をフル回転していると部屋で気配を消していた執事のセバスチャンが

「ハルト様、今日は昇級の儀ですよ。早く支度してください」

「おぉー!わかってるわかってる今すぐに用意する。」

そんなことを言って急いで用意しているお父様を見ていると

「はい!キリア様も今すぐに用意してください。今日はこれから魔法学の授業ですよ。キリア様は天才なんですから今日も頑張ってください。」

「はい、分かってます!」

と口ではこんなことを言ってはいるもののキリアの内心は

(僕、こいつ苦手なんだよなー。何かあればすぐ天才って言って、お父様にはあんな感じで厳しいのに基本的に僕は甘やかしてくるし、名前聞いても「セバスチャンはセバスチャンです」としか返してこないし、ちょっと気持ち悪いんだよな。まぁ別に悪い人じゃないんだけど。)

そんなことを思いながら部屋を出て魔法学の授業が行われる部屋に向かう。

(それにしても、魔法学、楽しくないんだよな。もう無属性魔法全部覚えたから覚えるものないし、

魔力操作もお父さんと同じくらいの練度でできるからなー。まぁ10歳になれば術式をもらえるし、それに向けて頑張るか!)

そんなことを考えているこの時のキリアは知る由もなかった。もう、既にこの幸せの歯車が狂っていっていることに

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