第40話 因縁

「ここにも結界かよ。まぁこの程度ならこじ開けれるが、」

学園の前まできて、結界にまたもや阻止されている。

「師匠も出れてないからな。俺らだけでどうにかするぞ。」

「わかってるわよ。」

2人で合図をして、俺が結界をこじ開ける。

「とりあえずアーティファクトのところまで急ぐぞ。」

アリスだけに聞こえる声で伝える。そして、学園の中へと入る。

「ひどいな。」

俺は生徒が倒れている惨状を見てそう呟く。

「誰がこんな、許せない。」

アリスが怒りの表情を露わにしていた。そして、奥の方からドーン!とでかい地響きが聞こえた。

そこから姿を現したのはボロボロになったシリルこと生徒会長だった。

「会長!?こんなとこで何してんだよ!」

俺が後ろから叫ぶ。

「あっ!キリアくんとアリスちゃん。ごめん、ちょっと手が離せないんだ。」

そう言いながら雷を纏った剣を握っている。その手は震え、頭や腕からは血を流していた。

「おいおい、もう終わりか、」

さらに奥から聞こえてきたのは聞き覚えのある、いや絶対に忘れない声だった。

「おっ?あん時の少年じゃん!久しいな。」

セリアを襲った青年の男が俺に対して言ってきた。

「あぁ、久しぶりだな。」

自分の中で込み上げてくる感情を押し出すように男に挨拶をする。

「そうだ、お前が相手してくれよ。お前の方が楽しめる。」

3年ぶりだ、今度こそボコボコにしてやろうと思って一歩前に足を出す。

「キリアくん、アーティファクト室に行って。理事長先生がどっかに飛ばされてあそこの警備がいないの。こいつはアリスさんと私で止める。だから、お願い。」

決意の固まった眼でそう告げられた。その眼は死を覚悟していた。

「あぁ、わかったよ。」

任せた俺は地を蹴り空中へとはね全速力で男の頭上を通る。

「おいおい、逃すかよ。」

男も飛んで追いかけてこようとするが

「無駄だよ。今の俺にお前は届かない。」

そう言って男を蹴り落とす。そして、俺は全力で目指すべきところを目指す。

「はは!あいつ強くなりすぎだろ。こりゃ隊長も危ういんじゃねぇのか!」

俺に蹴られて地面に埋まっていた男が立ち上がり馬鹿笑いをしている男。

「しゃあねえな、お前らで我慢するか。」

そう言われてアリスが眉をピクっと動かす

「何を言ってるの?あなたはここで死ぬのよ。」

そう言いながら氷で作った二つの短剣を握るのであった。

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