第41話 怠惰

「派手に壊されてんな。」

俺はアーティファクト室の門の壊され方を見て感嘆の声を上げる。門は粉粉に壊され、門を守っていたであろう魔力でできたゴーレムもボロボロだった。流石に今回は気合いを入れるかと思いつつ、ゆっくりとアーティファクトがある部屋に足を踏み入れる。

「魔力、濃っ!」

アーティファクトのせいかわからないが異様なほどに魔力が濃かった。あちこちに魔力の線、というか塊のようなものがあるのが魔眼でわかった。

「テロリストはここに用はないのか?もっと奥か、」

剣や弓などの武器を横目に見ながら奥へと進む。また、さらに大きい門がありその前に一つの人影があった。

「お前がそうか?」

俺は殺気を含みながら問いかける。

「何、あんた?」

振り向いた男はキャンディを加えた緑色の髪に赤い眼を持った幼い少年だった。

(何で、こんな幼い子が?せいぜい10歳とかだろ。)

しかし、敵であることには変わりはない。

「まぁ、どうでもいいや、」

俺は距離を一瞬にして詰めて空中から少年目掛けて蹴りを入れる。だが、

「!?!?」

蹴りは見えない壁によって弾かれた。反撃を警戒した俺はそのまま距離をとる。

「いいスピードあるね。お兄さん、だけど僕には届かないよ。じゃあ、僕の番だ。ぶっ飛べ。」

キャンディで俺を指し微笑しながらそういった。その瞬間に何かしらのものが自分の右腕目掛けて飛んできた。それは俺の白繭をいともたやすく突き破ってくる。それを魔眼で認知し瞬時に避け切る。

「あれ?見えてるの。」

驚いた表情を映し出す。普通の眼にはやはりいまのは映らないのだろう。

「俺の眼は特別製だからな。」

自分の眼を指差しながら微笑し返す。そんな余裕を見せるが状況的にはなかなかにやばい。

(とは、言ってもこいつに攻撃届かないからな。さて、どうするか)

策を練っていると

「じゃあこれは?」

少年が手を前に出すと剣が何本も現れた。それは俺を追尾するように追ってくる。

「受けて立ってやるよ。」

[黒刀"百式"]

大量の刀で全てを相討ちにした。

はずだった。3本程度が俺の体を貫き相手の刀も一切相殺できずにまだ俺に向かって飛んできている。

「ちっ、」

結界を発動し全て防ぎ切る。

(何で、白繭で防ぎきれねぇのに結界で防げんだよ。間違い無いな。こいつは、)

「お前、術式二つ持ってるだろ。」

この眼で確認もとってあるためほとんど間違いなかった。全く違う術式が発動されていたのだから。

「よく気づいたね。そうだよ僕は二つ持ってる。七大悪魔の怠惰の術式と剣製の術式だよ。後者が僕の方だよ。」

「悪魔?心魔とは何か違うのか?」

疑問に思い聞き返す。

「さぁ、どうだろうね。とりあえず避けなきゃ死ぬよ。」

怠惰で作った空気の圧らしきものと剣製によって造られた剣が同時に襲ってくる。

「くっ、」

瞬時に取り出した周斗で全てを斬り落とす。今さっきの攻撃を受けただけならまだしも突破口がない俺は既に満身創痍だった。

「いつまで持つかな。」

俺を嘲笑う少年は間違いなく悪魔そのものだった。

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