第32話 兄妹の再会
「おっ!3日目にして、ようやくついて来れたか。やるな!」
後ろを見ると、息を切らしながらヘロヘロになって走ってくるアリスの姿があった
「死ぬ、死んじゃう。もう、ダメ。」
そう言い残してバタッという効果音と共に倒れてしまった。
「ちょっと待ってろ。水を持ってきてやるから」
駆け足で近くのベンチに置いてある水筒を取りに行く。
なぜアリスがあんな状態になってるかだって?それは、俺のトレーニングについてきたからだ。俺は毎朝魔力使用を無しで10キロを20分で走る。それについてこようと3日前から頑張って今日初めてタイムに入れたのだ。本当に大したものだ
「ほれ、買ってきてやったぞ。」
そう言って座り込んでいるアリスに水を渡す。
「ありがとぅ、」
そう小さく言って小動物のように水を飲み始める。
「今日から学校か、お前と同じクラスだったからな。面白くなりそうだよ。」
「そうね、楽しみだわ。」
学校の支度をすべく二人足取りを合わせて一旦寮へと帰るのであった。
「おい、早くいくぞ。」
「ちょ、まって。」
玄関でそんなことをしながら、二人並んで登校する。学校まで周りのヒソヒソ声がうるさいような気がしたが全部むしした。
「俺らは、1年A組か、」
「ええ、そうね。」
学校の玄関で靴を脱ぎ、教室まで歩く。教室の前まできて、俺が意を決して扉を開ける。俺らは少し遅れていたので全員が俺らの方を向いた。振り向いた一つの顔を見てキリアは驚いた。自分の母親と瓜二つの薄い金髪の少女がいたからだ。俺が緊張してた理由はこいつと会いたくなかったからだ。
「お兄様?」
驚いた顔でこちらを見てそう呟く少女。見間違うはずもない黒髪と言うだけで珍しいのに。それにいやでも元家族の顔だ。忘れてはいなかったようだ。俺はバレてしまっては仕方がないと思い。
「やぁ、リリア久しぶりだね。」
声が嬉しさで声が少し裏返ったような気がしたがそのまま貫く。しかしリリアは大きな声を出してまるで現実を否定するように
「違う!お兄様は死んだ。あなたは誰なんですか!」
「正真正銘俺がキリアだけど。」
まだ、生きているという現実を受け止められないリリア
「違う、違う、お兄様はあの森で死んだの。もうこの世にはいない。いないの!」
自分を肯定するかのように一人で呟いた後に俺に対して殺気を飛ばしながら怒る。
「どんだけ言っても俺は俺だ。」
そんな妹否定するように俺は告げる。
「なら、証明してください。」
「なにを?」
俺は疑問形でもう一度返す。
「もしあなたが本当にお兄様なら、わたしより強いはずです。私と、私と勝負してください!」
喧嘩を挑まれた。俺はこんなことは初めてだなと思いクスッと笑って
「あぁ!いいぜ。初めての兄妹喧嘩と行こうか!」
楽しげな声で喧嘩を受けるのであった。
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