第9話 すんなり冒険者になるはずでした。

「おぉーここが冒険者ギルドか!エルカディアにもあったんだろうけど行ったことなかったからな。普通にでかいな。」

キリアの目の前にある冒険者ギルドは世界的見ても規模が大きいギルドである。横幅はサッカーコートの二面分程度の二階建てと言う形であった。

「よっしゃ、すぐに登録済ませますか!」

初めて入る場所にテンションが上がっていたキリアが勢いよく扉を開けると、

「クエストの受付はこちらでーす。」

「ほら、もっと飲め!」

「君、可愛いねうちのパーティーに入らない?」

と、こんな感じに賑やかさだった。

「はは、うるさっ」

そんなことをぼさっと呟きながらギルドの中にある酒場の横を通って受付に行こうとすると、

「おいガキー、ヒック、ここはお前みたいなやつが来るとこじゃないぜ」

後ろから酔っ払いに勢いよく肩をつかまれた。男は上機嫌のような高い声で

「君、みたいな子供は今すぐ帰っておねんねしてな。」

そういうと周りが一斉に笑い出した。それを聴きながらキリアは酔っ払いにだけ聞こえる小さな声で、

「今すぐ、その手を退けろ。どけないなら容赦はしない。」

そう言って睨みつける。すると、

「お前、みたいなガキに何ができる。」

そう酔っ払いが言った次の瞬間、

「ボキッ」

そんな鈍い音がギルド中に響き渡った。


「なんだ、うるせぇな。」

ギルドの2階で仕事をしていた俺にまで聞こえてくるほどの笑い声が下で鳴っている。

「ちょっとうるさすぎるな。はぁ〜少し注意するか。」

ドアを開け、階段を降りる。そこで俺は有り得ないものを目にした。Bランク冒険者である、ケリアの腕が10歳ぐらいのガキに握りつぶされる瞬間だった。潰されたケリアは「イテェ、イテェよー」と言いながら地面をのたうち回っている。周りはというものの何が起こったかもわからずに静かにその場を離れていった。

(ほーん、あいつ、面白い。)

そう思いながら、

「おい、そこのガキ上にこい!」

そう怒鳴ってみるのだった。

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