第10話 対ギルドマスター戦(なんで俺が?)

(えぇー、初のギルドで呼び出しですか?はぁ、ついてない。俺なんか悪いことしたか。)

そう言って2階の部屋に案内され、高そうなソファーに座らされた。そして、机を挟んで反対側にハゲで厳つすぎるおじさんが座った。

「すまねぇな。急に呼び出して、」

「いえ、全然大丈夫です。で?俺が呼び出された理由はなんですか?」

「あぁ〜、特に理由がないがあのままお前があそこにいたらめんどくさいことになってたからな。」

そう言いながら、タバコに火をつける。

「それにしてもお前、強いな。初めてだよ。お前みてぇなつえぇーガキ」

「まぁ、それなりに強い自信はありますけど。これでも、まだまだ足りません。」

そう思いながらあの憎たらしい神の顔を思い出す。

「おっと、自己紹介が遅れたな。俺の名前はオーラルだ。ここのギルドマスターをしているものだ。」

「やっぱり、ギルマスだったんですね。俺の名前は、キリア、ただのキリアです。」

(シューベルトをつけると、後々めんどくさいことになるからなこっちの方がいいや。)

そんなことを考えていると、オーラルさんが身を乗り出して、こう言ってきた。

「ところでキリアはお前は強くなりたいんだろ。だったら、俺と一戦勝負をしないか。お前が勝ったら通常は異例なCランクからのスタートを約束しよう。」

「あの、すいません。いい話なのはわかるんだけど、ランクってなんですか?魔階級じゃないんですか?」

すると、オーラルさんが少し驚いたような顔をした。

「お前、冒険者ランクってのを知らないのか、ランクってのを、持っていればそれに応じての魔階級の権限を使えるんだ。」

「そういうことですか。」

(多分Cランクってのはそれなりに上の方だろう。受けても損はないが戦うのはだるいな。)

めんどくささが勝ちそうなキリアにオーラルは間髪いれずに聞いてきた。

「どうする?やるか。」

少し悩んだ末、

「やりましょう!」

「若いやつはそうこなくっちゃな。よっしゃそうと決まれば訓練場に移動するぞ!」



なんやかんやあって、ギルドの裏にある訓練場へときた。

「勝負の形式は、どちらが降参するか、戦闘不能とそこの受付の嬢ちゃんに判断されるまでだ。なんか質問はあるか?」

「じゃ、一つ。オーラルさんのランクはなんなんですか。」

「ん?俺か、俺は元Aランクだな。魔階級に直すなら、2階級下位てどこか。」

キリアはそれを聞いて渋い顔になる。

(しっかりバケモンやんけ!まぁやるしかないか。)

「じゃ、始めるか。」

「はい!」

俺が返事をした瞬間、全速力で大剣を持ったオーラルさんが突っ込んでき、全力で大剣を振り下ろしてきた。それを先に作っておいた黒刀でふせぐ。

(おっも!)

「やっぱり、お前やるな!」

「っ、そりゃどうも!」

刀を思いっきり振り払いオーラルを吹き飛ばす。吹き飛ばされたオーラルは崩れた体制を直しながら着地する。

(こりゃ、あんまり手を抜いてられないな。)

そう思いながら、呟いた。

[黒の泉]

すると、キリアを中心に真っ黒な泉が広がりそれは、訓練場の地面全てを飲み込んだ。

「これが、お前の術式か?」

「いえ、俺は術式を持っていません。これは一般的にいう結界術と魔力の操作を応用したものです。」

俺の黒の泉の説明を聞いてオーラルは驚いた顔をしたかと思えば、急に笑い出した。

「やっぱりお前は面白い!さぁ続きをやろうか。」

そう言いながら、臨戦体制をとるオーラル。それを見ながらキリアは呟く、

[纏魔]

続けて

[黒鎖]

オーラルの膝上あたりのところまで泉から出てきた鎖が巻き付き動きを封じた。キリアの体はと言うと、黒い魔力によって覆われていた。その纏っている魔力量は通常の身体強化とは比にならない量だった

「じゃ、行きます。」

今度はオーラルよりも速いスピードで突っ込む。そしてオーラルを斬ろうとするが、

「ふんっ!」

そう言って鎖を引きちぎったオーラルが応戦してきた。

(バケモンかよこいつ!この鎖Bランクの魔物でも縛れるんだけど!)

そう思いながら応戦しつつ、オーラルとの距離をとる。

(しゃーない。あれで行くか。)

[纏魔"速"]

そういうと体を覆っていた魔力が足に集中していった。その瞬間にキリアの姿が消える。

(あの、やろうどこに行った?)

すると次の瞬間オーラルの目の前に颯爽と現れた。そこでキリアはさらに呟く。

[纏魔"力"]

今度は魔力が腕に集中した。そして、そのままオーラル目掛けて斬り上げる。勝負あったと誰もが思った。しかし、オーラルは本能的な超人反応を見せ、それを大剣で防ぐ。しかし、オーラルは壁まで吹き飛ばされ、そこにぶつかり砂煙が舞う。

(マジか、今の対応するか、これまぁまぁ必勝パターンなんだけど、)

驚きを隠せないキリアに対して、砂煙の中から立ち上がったオーラルは頭から血を流し既にボロボロだった。そうにもかかわらずこう言った。

「お前、やっぱり強いわ。これ本気出さないと失礼なやつだな!じゃ、行かせてもらうぜ。」

[狂戦士(バーサーカ)]

そう呟くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る