第45話 戦いの後
コンコンコン
「おい、アリス生きてるかー」
アリスの部屋に許可ももらわず入る。体を起こして、少し不満そうな顔をしていた。
「なんで、あんたの方が酷かったのにもうピンピンしてんのよ!」
メシを持ってきてやった俺に対してそんなことを威嚇しながら言ってくる。
「だって、おれ神聖力で治せるし」
治りきった体を見せながら少し自慢げに言ってやった。俺たちは戦い終わった後、両者ともボロボロだった。俺は神聖力で治していたがアリスはもう少し遅かったら本当に危なかったらしい。運がいいのか悪いのか
「てか、3日も経ってんだからお前もう治ってんだろいつまで寝てるつもりだ。」
すると肩をビクッと震わせて驚いた猫のような反応をした。これがアニメとかならギクっという効果音でも着きそうなものだ
「なんの、こと?、」
目を逸らしながら詰まり詰まりに答えるアリス、
「はぁ、」
俺は少しため息をついて、アリスをジーと睨む。
「そうよ!悪かったわね仮病の振りして!」
逆ギレのように俺に突っかかってくる。こんな姿も今なら可愛いものだと思える。最初はツンではなく、トゲだったのだから。
「でも、お前本当にあいつに勝ったんだな。」
俺はあの血をつかう男の顔を浮かべながら尋ねる。実際あいつはマジで強かった。
「えぇ、そうね。」
「お前、すごいよ。俺はあいつに一度完敗してるしな」
皇城でのことを思い出しながらアリスに話す。
「ふふーんそうでしょ。何かご褒美をくれてもいいのよ。」
人よりも大きい胸をそらしながら自信ありげに俺を見てくる。俺は少し考えたが、いい案が思いつかなかったので
「はぁー、じゃあ買い物でも行くか。2人で。そこで好きなもの買えよ。奢ってやるから。」
「えっ!それって、ううん、それで、いい、です」
耳を真っ赤にしながらモジモジ答えるアリスは一言で言えばすごく可愛かった。だが、何故そこまで照れているのかがわからなかった
「おっけ!じゃあ、明日な。」
そう伝えてアリスの部屋を後にするのだった。
<アリスside>
キリアがいなくなった後
「んんっー!」
私は枕に顔を埋め声にならない叫びを上げる。
(2人でって、それってデートじゃん。私がキリアとだよね。)
そんなことを考えているとまた顔が熱くなってくる。わかっている。私はキリアのことが好きだ。あの負けた日からキリアとは仲良くなった。色々事情がある中で人には優しくするとてもいい人だ。男の人にいい思い出がない私が好きになってしまうほどに、
「ねぇ、キリア、あなたはセリアが好きなの?」
私はふとそんな言葉を溢す。きっとキリアにとってセリアは大切な人なんだろう。だからリリアちゃんと一緒でくっつかれても無理やり引き剥がそうとはしない。こんな気持ちがキリアと一緒にいるといつも渦巻いてしまう。だからこそ、明日のデートはキリアを独り占めにすると今決めた。
「服あるかな。」
デートで1番大切なことを思い出し慌ててクローゼットを確認する。白いワンピースやおヘソがでる短めの服など順番に着ていくが中々決まらない。
(キリアはどんなのが好きなの?)
わからない、わからない、といったことだけが頭の中を埋めていく。
「どうしよ〜!」
私は頭を抱えて崩れ落ちるのであった。
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