第44話 憤怒対無限
[キリア、アリス戦闘時同刻]
「私をこんな異空間に呼び出して何のようかな。」
何もない空間に飛ばされた私、プリメーラは目の前で座っている1人の黒髪が腰ぐらいまであるどこか見覚えのある少年に問いかける。
「お前の足止め。っても、俺とお前が本気でやったところで決着つかないだろうからただの雑談で済まそうと思ってるが。」
あくびをしながらそう答える少年。その姿はあからさまに殺る気はなかった。
「それはそうだね。」
私もそう言いながら腰を下ろす。一眼見た時から私はこの子が強いことはわかっていた。
「君たちの目的は何なんだい?」
私はそう尋ねる。この子はなぜか初めて会った気がしなかったが故かいきなりの爆弾投下だ。
「俺たちの目的はアーティファクトだよ。それを取るために今は怠惰が向かっている」
「そうか、やっぱり君たちは七大悪魔の力を借りているんだね」
「術式だけだけどね」
少年は遠くを見つめながら笑っている。やはり、この笑顔もどこかで見たことがある。
「で、私はいつになったら解放してくれるの?」
「さぁ、怠惰が持って帰ってくるか、キリアがかつかのどっちかじゃね」
「キリア少年の名前を知っているのは気になるが、今は置いておこう。君はどっちだと思う?」
興味本位でどっちが勝つか聞いてみる
「キリアだろ」
即答で返してきた。その眼は絶対に間違っていないと言った自信を感じた。
「負けるはずがない」
まるで未来を知っているかのような口ぶりだった。
「じゃあもう一つ君は何の悪魔の力を借りているんだい。」
「憤怒」
「返事が淡白だね」
私は苦笑いをしながら少年を見つめる
(やっぱりどこかで)
「おっ、決着がついたみたいだな。」
少年は私の視線から逃げるように重そうな腰をあげる。
「どっちが勝ったの?」
「キリア」
少年は声のテンションが上がっていて少し嬉しそうに思えた。
「じゃあ、おれはこれで」
「簡単に逃すとでも」
はなから逃す気がなかった私はそう言いながら無限を付与した魔力弾を少年めがけて撃つ
「無駄だよ」
少年は一歩も動かずに魔力弾をかき消した。
そして、私に少し頭を下げて
「あいつを、キリアをよろしくお願いします。ちゃんと見といてやってください。じゃないといつか、壊れちまうから」
少年は私にそう伝えて、いや、言い残して去っていった。
「一体、何者なのかな」
私は元いた理事長室へと飛ばされた。あの少年は何だったのかという疑問ばかりがつのる。
「さてと、救援に行きますか。」
今回は紛れもなく自分の責任なので、急いで理事長室をでて、みんなを助けに向かうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます