第46話 it'sデート

「おっせぇな。」

かれこれ待ち合わせの時間から20分は過ぎていると思う。

(公国の中央にある噴水の前で20分待つ身にもなってほしいぜ、まったく。)

俺は自分で言うのもなんだが整った容姿を持ってるためそれだけで周りの目を引くのだ。こんなどうでもいいとこでは目立ちたくないのでマジでやめてほしいなと思って空を見ていると、

「お待たせ、」

声がした方へと視線を落とす。そこには走ってきたのかわからないが少し息が切れているアリスがいた。

「待った?」

上目遣いでそう言ってくるアリスはいつもと違っていて、目を背けてしまう。何が違うかというと、制服姿とは打って変わって、胸元が見えそうになる白いトップスに膝下まである薄い青色のまるで透き通った海のようなロングスカート。極め付けはいつもはしない化粧をしてきていることだ。

(なんで、そんなに気合いが入ってんだよ。)

そこまで考えてふと気がつく。

(あれっ?これってデートでは?)

顔が赤くなっていくのを感じた。だからこそ冷静を装って

「いや、待ってない。それにしても服いいじゃん。似合ってるよ。」

とりあえず褒めてみることにする。

(とりあえず褒めろって前世で誰かが言ってたしな。うん、間違いない)

根拠のない自信を持ちながらアリスの方を振り返る。

「っし!いくか、」

俺は笑顔でアリスの方を見る。だが、アリスは顔を真っ赤にしながらモジモジしていた。間違いなく照れているのだ。

「ったく、さっさといくぞ。」

このままだと、いたたまれなかったのでさきに歩き始めてやるのだった。


「で?何買いたいんだ、なんでもいいぞ。金ならあるし。」

俺は金には全然困っていない。冒険者で稼ぎまくった金が死ぬほど余っているからだ。実際、家買って悠々自適に暮らせるほどの金がある。

「うーん、そうね。服買いたいかな。」

先を歩く俺との距離を詰め、少ししゃがみ上目遣いでそんなことを言ってくる。

(これで、勘違いする男が増えなきゃいいが、)

いつもツンツンはどこへいったのやらと少し呆れながらも服屋を目指して歩くことにする。



    キリアたちが歩いている少し後ろ

「お兄様、なんであんな女なんかと。」

「キリア、私というものがありながら。」

二人の女性が後ろからキリアを睨んでいた。

「ちょっと落ち着きなよ。リリア、セリアさん。」

「そうだ。大人気ないぞ二人とも。」

「落ち着けって二人とも、同部屋なんだから何もないわけないだろ。」

それを宥めるイロアス、アナスタシア、アレス。アレスに関しては宥めているのかさえもわからない。

「てか、聞き忘れてたけど。リリアはなんであの二人が買い物に出かけるのを知ってたの。」

イロアスが尋ねる。

「え?言ってなかったけ?私あの部屋に盗聴器仕込んでるから。」

爆弾を投下されたセリアを抜く3人は手に持って飲んでいたジュースを噴き出す。

「ゲホッ、ゲホッ、は?おまえ今なんて?」

アレスがむせながら再度聞き返す。

「だから、魔力水晶に魔力込めて録画できるようにしてお兄様にバレないように別空間から音だけ録ってるの。」

何か悪いことをしているっと言った感じのリリア。

「大切な人にはそれぐらい普通でしょ。」

隣からもセリアの同じような声が聞こえてくる。

「じゃあ、何であんたとアナスタシアさんが来てるんですか?」

アレスは睨みつけながらセリアに問いかける。

「私の術式が教えてくれたからよ」

「術式?」

全員が一斉に聞き返す。

「私の術式は未来予知なのよ。まぁ、ちょっとした心約もあるけど」

そう言いながらジュースを飲み出した。まるでこの話はここで終わりと言うように、

「まぁ、とりあえず今日は見守って終わりだ。それでいいな四人とも。」

全員が少し気まずくなったところでこの話を締めくくるアナスタシア。そして、四人は二人の後を密かにつけ始める。

「本当に妬ましい」

そんな言葉と一緒に

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