第7話 全ての始まり

まぁ簡潔的に言おうでかい熊が目の前に木々を倒しながら現れた。そいつは俺を見るなり、でかい声で空へと咆哮を飛ばした。

それはキリアの緊張感をMAXまで引き上げるのには十分すぎた。

それを聞いた俺はすぐにその魔獣から距離を取る。

(こいつ、本で見たことあるぞ。確かBランクの魔物だったよな。今の俺で勝てるのか、いや愚問だな、倒せなきゃ死ぬんだ。やるしかねぇだろ!)

そう思ったと同時に魔力を練り上げ右手に魔力で瞬時に作った刀を持つ。そのまま、自身へは身体能力強化を施す。そして、一瞬で魔獣との距離を詰め跳躍し、剣を大きく振りかぶった。だがそれこそが悪手だった。

「グハァ!」

お腹にボウリング玉が当たったような鈍い痛みが走り、後方へと飛ばされる。

(痛った!身体能力強化使ってなかったら死んでたな。マジで。あのクソジジイから貰ったダメージも回復してねぇてのに、   てか忘れてたな。そういやこいつ水の魔法を使うウォーターベアーって言う魔獣だったわ。厄介だな。       だが、近接戦闘をしたくねぇだったらその遠距離勝負付き合ってやるよ。)

「黒槍」

そう言って魔力で作られた槍を大量に作った。すると、このクソ熊も大量の水の玉を作り出した。

「さぁやろうか!」

大量の槍をこいつ目掛けて放つ。しかし、全ての槍を相殺され、それどころかまだ大量の水の玉が自分に向かって飛んできた。

「チッ、これが術式との差か!」

とそんな悪態をつきながらも全力で避け続ける。

すると、急に水の玉の攻撃が止む、

(魔力切れか?)

すぐに攻撃へと反転しようとすると、目の前に熊が現れた。

(はっや、)

熊の右手でキリアは吹き飛ばされる。木々を2本ほど倒して、木にぶつかって頭から血を流しながら、倒れ込む。

「グギャ♪」

熊が嬉しそうにキリアの所へと歩み寄り、キリアを右手でキリアを掴み、長い舌でキリアの血を舐めとった。そして、そのまま頭から丸呑みにしようとした。しかし、

「黒薔薇」

そうキリアが言った瞬間、熊の右腕が鮮血と共に宙を舞った。そして熊が右腕を抑えながら後ろへと下がった。キリアの体からは魔力でできた棘のある薔薇が咲いていた。それを何が起こったかわからずに見ている熊に対して、キリアはこう告げた。

「なぁ、俺は昔から疑問でしょうがなかったんだ。なんで身体能力強化魔法って言う大層な名前が付いているのかが、だって、ただ魔力を纏っているだけだぜ。その時に思ったんだ。もしかして、纏ってる魔力も変形できるかも知れねぇてな。そしたらビンゴ、やっぱり変形できた。それがこれだよ。わかったか?バカ熊」

それを聞いた熊の目が変わる。今まで獲物を見ていた目から敵を見る目へと変わり、キリア目掛けて一直線に突っ込んできた。

「もう、遅ぇよ」

[黒槍]

そういうと熊の体の内側から無数の黒い槍が突き出てきた。そして、熊の動きが止まる。

「血にも魔力を纏わせてんだよ。バカが、まぁもう聞こえてねぇか。」

そう言いながら熊のところへと近寄る。

(この森、こんなのがうじゃうじゃいんのか。


フッ、おもしれぇ!修行するにはちょうどいい場所だぜ。)

「待ってろよ邪神。いつか絶対お前の首をとってやる!」

そう言いながら熊の死骸を後にした。







        




         一年後

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