第6話 物語の終着点
「約束通り、魔の森に行こうか。」
お父様がそう言った。約束とは術式を与えられたら、魔の森へ連れて行ってもらえるというものだった。
「いいんですか?お父様、僕はなんの術式ももらえませんでした。」
そう泣きそうになりながら僕が言うと
「たとえ、術式を与えられずともキリアはキリアだ僕達の大切な息子だよ。」
僕を抱きしめながらお父様はそんな言葉をかけてくれた。僕は泣くことを我慢しながら
「ありがとうございます」
ただそう言うことしか出来なかった。
「行くと決まれば善は急げだ。今すぐに行くぞ!キリアすぐに支度しなさい。」
「はい」
そう言ってすぐに準備をし、セバスチャンとお父様が待っているところまで行き、お父様の馬の上へと乗ると、
「キリア、気おつけて行ってらっしゃい。」
「お兄様どうか無理をしないでくださいね。」
そう言って母様とリリアがお見送りに来てくれた。
「あぁ!行ってくる!」
そう気前よく言うと僕は家を後にして魔の森へと向かった。
この時のキリアはまだ知らなかった。自分が後にした家で母が膝から崩れ落ちて泣いているということを。
馬を1時間ほど走らせて魔の森へと着いた。
「キリア、降りなさい」
「しかし、お父様ここは、、」
「キリア様降りてください。」
お父様とセバスチャンがそんなことを言ってくるので馬から降りる。
(でも、ここって危険区域のヘルだよな。いきなりにしてはレベルが高すぎないか?)
そんなことを魔の森を見ながら考えていると後ろから
「すまない、キリア。家の顔に泥を塗るわけにはいかないんだ。死んでくれ」
そういって剣を抜き
[聖なる砲撃(ホーリバーン)]
僕に剣を突きつけてそう唱えた。すると、剣に光が集まり、一つのレーザーのようなものがキリア目掛けて一直線に飛んできた。それを感じた僕は一度後ろへと飛び無属性魔法の結界防御魔法を自分の体へと付与し防ごうとするが、防げるわけもなく木々を薙ぎ倒しながらヘルの最深部へとぶっ飛ばされてしまった。
「キリア、すまない」
最後にそんな声が聞こえて僕の意識は途絶えた。
(ん、なんだ意識が飛んでいたのか、何時間ぐらい寝ていた?)
そう思いながら体を起こそうとすると
(痛っ、チッ肋骨が2本ぐらいいってるか、まぁあれを受けてこれで済んだのは奇跡だな。)
そう考えながら、無属性回復魔法の細胞活性化を使って、痛みを少し和らげる。
(まぁ、術式がないってわかった時点でだいたいこうなることは少しは考えてからな、あんまりショックじゃないや。それにしてもなんで今まで神童と呼ばれていた僕に術式が......)
そんなことを考えていると転生前の神が言った言葉が頭をよぎった。
「術式は魂に型取られます。」
それを思い出すと同時に僕は、いや俺は笑いが抑えられなくなった。
「はっ、ははっ、そうか、そう言うことか。やってくれたな!あんの邪神め!前世で何も才能がなかった俺の魂には術式はありませんてか!舐めてんじゃねぇぞ!」
怒りを露骨に表しながら天高らかに叫んだ。そして俺は一つの誓いを立てる。
「殺してやる。必ずこの手で神、お前を殺してやる!」
すると、この殺意に当てられたのかそれともさっきの魔法に反応したのか、どちらかはわからないが、体長3メートルは超える熊のような化け物が木々を破壊しながら姿を現した。
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補充
ラインハルト=シューベルト
術式 [聖騎士(パラディン)]
光の力を使いながら戦い人を守るほど力がます術式、守るものが多いほど自身の身体能力や攻撃力、防御力が勝手に上昇する。
魔獣のランク
Sランク=2階級上位
Aランク=2階級中位〜3階級上位
Bランク=3階級中位〜3階級下位
Cランク=4階級
Dランク=5階級
Eランク=6階級
右は魔階級で現した時の大体のレベルです。
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