第26話 精霊王との会合
「娘を連れて来てくれてありがとう。」
エルフの長であるクレハの厳格そうな父と美魔女という言葉がふさわしいクレハの母が頭を下げてきた。俺はあの後、里に案内された。里は藁でできた家だらけでまるで縄文時代などの時代をイメージさせる感じだった。すぐに、ここに案内され今に至る。
「いえ、顔を上げてください。元は自分達人間がしたことです。」
人間側に非があることを伝えて顔を上げてもらう。
「そうか、君は優しい人なんだな。」
今さっきまでの鬼気迫る表情とは打って変わって優しい笑顔になりながらそう言うクレハの父、
「っと、自己紹介がまだだったな。私の名前はコクバだ。そしてこっちが妻のトウハだ。」
「俺の名前はキリアです。」
互いに自己紹介を交わす。
「そういえば先程は我らの民がすまなかった。我らは人間に対して、強い敵対心を持っておるから、許してやってくれんか?」
俺はなんのことかわからずに首を90度に傾けて考えた後に、何かがわかったように首を戻すと、
「そんなこともありましたね。もうどうでもいいですよ。クレハから話は聞いていたんでなんとなくわかってましたし。」
この時、クレハの家族は全員同時に思った。
(今あったことなんだけどな!)
全力で心の中で突っ込んだ。
「少しすいません。」
トウハが席を外し少し後ろに下がる。その後、急になにかと会話し始めた。
「はい、えっ、あ、わかりました。はい、すぐに行かせます。」
会話が終わったかと思えばすぐに俺の方を向き
「どうやら、精霊王がキリアさんに会いたがっているそうなの。キリアさん、あの世界樹ところまで行ってきてくれないかしら。」
すると、それを聞いたクレハが
「精霊王?!」
急にでかい声を上げて立ち上がる。
「なんだ?すげーのか?」
俺はクレハの行動に少し引きながらも尋ねる。
「すごいなんてものじゃないわよ。この森を守っている人よ。私も成人した時しか会ってないんだから。それが直々に会いたいだなんて、あり得ない。」
(成人してんだなこいつ。今何歳だよ。)
そんな思考を脳から払って俺は体をグッと伸ばしてた。
「わかりました。行ってきます。」
そう言い残して世界樹に向かった。
(ほんとここ、魔力が濃いな。でもな、なんか違うんだよな。)
空気に充満している魔力を感じかながら道中そんなことを考えていた。そして、世界樹の下まで歩いてきた。どこからでも見えるのですぐに道はわかった。世界樹というのはまぁ簡単に言えばでかい木だ。
「まじ、でかいな。」
そんな言葉をこぼすと、
「そうだろ、」
そうどこから声が聞こえてきた。すると世界樹の中から黄色の短い髪が特徴の優しい笑顔を浮かべた青年が出てきた。
「誰だ?あんた、」
俺は敵意を向けながら尋ねる。
「僕かい?僕が精霊王だよ。」
俺はそれに納得して、用意していた黒刀を消す。
「あぁ、お前がそうか。どおりで魔力が多いわけだ。で、俺になんのよう。」
さっさと終わらしたかった俺は早急に答えを求める。
「君にお礼が言いたくてね。あの子を連れてきてくれてありがとう。あの子はいい子なんだよ。つぎの長だ。だから、君にお礼がしたくてよんだんだ。」
別になんもしてないしなとは思いつつも、精霊王のお礼ということで少し期待をする。
「で、何をくれるんだ?」
「そうだね、今君が1番欲しいのは力だろ、違うかい。まぁ、その顔を見るにあっているんだろうけど。」
心を読まれたことを瞬時に悟った俺は敵意を少し剥き出す。
「だったら、そうだね。魔眼なんてどうだい?」
「魔眼?」
敵意よりも興味が勝ったのでさらに問い返す。
「あぁ。魔眼って言うのは相手の魔力の流れや術式を見たりすることが出来る眼のことだ。術式がない君にはぴったりだと思うよ。」
少し考えた後、俺は
「あぁ、それでいい。」
快諾をする。それを聞いた精霊王が俺の方を指差して何かを唱えた。すると、
「いっつ!」
両目に鋭い痛みが走る。俺は眼を抑えてうずくまる。痛みを堪えること数十秒、
「はあ、はぁ、はぁ、」
荒い息を吐きながらゆっくり立ち上がって眼を開く、
「なんだこれ。」
見えたのはいろんな色や太さのの線だった。
「見えたようだね。それが魔力だよ。今まで感じてたものが見えるって新鮮だろ。」
そう言いながら笑っている精霊王
「こんなに大気中にも魔力があるのか、知らなかった。」
「まぁ、人間には関係ないからね。」
何かに引っかかりを感じた俺は精霊王の方へと振り返る。
「どういうことだ?」
「人間とねエルフとは魔力の根源が全然違うんだ。人間は感情から魔力を作る。主に負の感情だね。でも、エルフは違う。大気中の魔力を精霊を通して使用している。いわゆる自然の魔法をね。」
色んな魔力が見えるようになった俺はなんとなくだがこいつが言っていることを理解することができた。
「この、ふわふわしてるのが精霊か?」
魔眼を手に入れたことで見えている変な浮遊物を指差す。
「あぁ、そうだよ。本来精霊は至る所にいるんだよ。人間が感じられないだけでね。術式に頼っちゃてるから。実際僕も魔力の塊の精霊だしね。」
「そうか、」
「でも君は違う。」
初めて俺に敵意を向けたのだ精霊王が俺に
「君は術式を持たない。それゆえにエルフに近い存在だが、君のその魔力量は異常だよ。下手をしたら僕よりも潜在魔力が高い。どれだけの闇を持ち続けているのかは僕は知らない、けれど、君は一体何を成し遂げたい?そこまで力を求めてなにをしたいんだ君は?」
そんなものは決まっている。これ目当てで力を手に入れてきたのだから、俺は一つの答えを返す。
「自称神を称してるゴミ野郎の顔面に一発この拳をぶち込むことだよ。」
心をよめる精霊王が俺が今思い浮かべているやつのことを見たのか、少し間を置いて
「もしかしたら、そいつは、」
ドーーン
そこまで言いかけてエルフの里の方からでかい爆発音がした。
「なんだ?!」
俺は反射的に声を上げる。
「少し厄介なやつがきたね。はやく向かおう。少しまずい。」
精霊王がそう告げ二人は全力で里に戻るのだった。
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