第25話 許嫁
ビオレッタさんと30分程度お話をし、魔の森へ向かおうとギルマス室をでて、階段を降りる。なにやら下が騒がしかった。その中心にいたのは、赤色の長い髪を揺らし、綺麗な赤い眼をもつ少女だった。それを見た俺は瞬時にフードを被るが少し遅かった。
「キリア!キリアなのか?!」
駆け足で近づいてくる少女、俺はそれに対して、
「誰ですか?あなた。」
そう雑に返しその場を後にしようとする。
「忘れたとは言わせないぞ。私の名前はアナスタシア=サングリアお前の、」
「はい!失礼しまーす。」
アナスタシアの口を抑えて、引きずりながらギルドを後にするのだった。
「何をするのだ!キリア。」
路地裏に引きずって来たアナスタシアがそう言う。
「何度も言うが忘れたとは、」
「忘れるわけないだろ。自分の元許嫁を、」
キリアが話を遮ってそう言った。それを聞いたクレハは、
「えっ、許嫁ー!」
でかい声で驚いた。
「というか、やはり生きていたのだな。良かった。本当によかった。」
俺の胸に顔を埋めながら泣いている。
(そうだよな。俺は死んだことになってるんだもんな。)
そして、俺はアナスタシア自身の胸から離す
「もういいか?俺たちは行くところがある。じゃあな。」
あまり長居したくないというのとこいつといると面倒くなくなるので路地を早く後にしようとする。すると驚いた顔をしたアナスタシアが
「えっ、家族に会っていかないのか?」
その言葉を聞いた俺は冷たい眼でアナスタシアみつめる。
「何も知らないのに、それ以上俺に深入りしようとするなよ。」
「どういうことだ。何があったんだ。教えてくれ!」
アナスタシアは必死に俺の袖を掴んで答えを求める。
「いいぜ。教えてやる、一年半前俺に何があったか。」
そう言ってクレハとアナスタシアに自分の過去のことを話し始めた。
聴き終わったアナスタシアは頭を下げた。
「キリア、申し訳なかった。本当に何があったかも知らずに君の心を傷つけた。本当に申し訳ない。」
「いいよ。別に怒ってない。」
「本当に怒ってないのか?」
「あぁ、」
「そうか、」
安堵したような表情をしているアナスタシア、その隣で下を見つめていたクレハが顔を上げて、
「キリア、もう行こう。」
そう言って俺の服を引っ張ってくるクレハ
「あっ、ちょっ
アナ、すまん。今度もし会えたらちゃんと話すから、俺が生きてるってことは黙っといてくれ。」
そう言い残して、路地裏を後にした。
(アナスタシアside)
(なんなのよ、キリア。久しぶりに会ったと思ったら、一人称も俺に変わってて、まぁカッコいいからいいけど。)
空を見つめながら考える。自分の顔が熱を帯びていくのがはっきりとわかる。
(キリアにそんなことがあったなんて知らなかった。何も力になれなかった。)
そう自分の無力さを痛感する。
(でも、キリアもキリアよ。あんな可愛い女の子連れてるなんて、私と言う許嫁がいながらも。まぁもう解消されちゃったけど。でも、それでもまけない。最後にキリアの横に立つのは私。)
そう静かに誰に決められるのではなく決意を固めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます