第17話 激戦
あの日、マリーゴールドをセリアと見に行った日、最後にセリアが言った言葉を俺は聞き逃していた。いや、聞き逃したのではない。あえて聞こえないようにしていたのかもしれない。しかし、ここにくる途中に思い出した。セリアはしっかりとSOSを出していたのだ。
"「守ってね」"と
「助けにきたよ。セリア、後ろに騎士がいるその人と逃げて」
そう言いながら男の拳を払い除ける。男は後ろへと撤退し、そして、フードが取れる。そこに現れたのは、日本人のような感じの若い青年だった。
「お前、結界や俺の部下をどうしてきた。」
「結界なら俺の得意分野だ。あれぐらいならすぐ解ける。お前の部下はここに一直線で来たから会ったやつは全員のした。」
そういうと男は「がははははー!」と高らかに笑い出した。そして、
「お前が、呪いを解いた人間か?」
「そうだと言ったら何かあるのか?」
「殺す!」
そういうと全力で突っ込んできた。キリアはそれ見て、[黒の泉]を発動させる。そして、
[黒刀"百式"]
黒の泉から100本の刀が出現し、男を自動で追尾する。
「ははっ!おもしれぇ、!」
男は自分の周りに真紅の球を作り出し、球から槍のような細く尖ったものを出し、刀を全て迎え撃った。
「ははっ!やるじゃねぇかお前!こんなに楽しいのはいつ以来だろうな!」
「そりゃどうも!」
[纏魔"速"]を発動しつつ瞬時に距離を詰め、そして、斬り掛かった。しかし、男はそれを見切り意図も容易く避けた。そして、瞬時に拳をキリアの腹めがけて放つ。速度に全部纏魔を振っていたキリアはそれを直に受けてしまった。そして、ダンスホールの舞台上まで飛ばされる。
「ガハッ!」
血反吐を吐くキリア、そして、男が
「お前、今ギリギリで後ろに飛んで威力を削いだろ。その年齢で戦闘慣れしすぎじゃね?」
キリアが立ち上がる。そして男に満身創痍になりながら問いかける。
「お前らは、何者だ?なにが目的だ?」
そういうと、男は少し笑って
「俺らの目的はあの嬢ちゃんを殺すことだ。」
「何のために?!」
「さぁ?上の命令だから知らないね。」
そういうと、キリアの方へと歩いてくる。
「俺はさ、相手が絶望するのが、それを見るのが好きなんだよ。でも、お前はまだ俺に勝てると思っている。だから、教えてやるよ。圧倒的な力ってやつをな!」
そう男が告げると男から禍々しい魔力が立ち昇った。そして、男の目が赤く光る。
(これは、俺の!)
そう思っている間に瞬時に間合いを詰められた。そして、魔力を纏った赤い手で顔面を殴られそうに、なるもギリギリのところで防御する。しかし、
「バキッ!」
そんな鈍い音がして、キリアは後ろへと下がる。
(っ!折れたか!今さっきぶっ飛ばされた時の傷はさっきの時間稼ぎの時に回復したが、これは厳しいな。)
そんなことを思っていると、体の内部から突き刺すような激しい痛みが襲った。
「あ!あぁー!」
地面をうめきながら転がり回るキリア。痛みを堪えつつ俺は男に問う。
「お前、一体何をした?!」
「あぁ、それか、それは俺の術式だ。俺の術式名は[血塊戦術]、要約すると、血液を自由に操れる。そして、この状態の俺は強化されて血の量に限界はない。お前には今さっき攻撃した時に入れた血を内部で暴れさせてんのさ。」
(まずいな。攻撃を受けすぎてる。どうする。)
話を聞きながら俺は痛みに耐えつつ少しずつ冷静さを取り戻す。
「じゃ、俺からも質問させてもらうけどお前の術式は?」
ここで嘘をついても仕方がないと思ったキリアは、
「ないよ。持ってない。」
そう告げると男が笑い出した。
「そうか、ならお前の弱さにも納得がいくな。術式を持ってないんじゃその奇妙な技もそれ以上強くならないよ。」
そう言われたキリアの怒りのボルテージは既に沸点を超えていた。
(だめだ。こいつは今殺さないと、俺の一年が、俺の全てが否定される!)
そう思ったキリアから禍々しい魔力が大量に放たれた。
「はっ!お前もこっち側の人間か!」
そう男が叫ぶがもうキリアには聞こえていなかった。キリアは、一人で何かを呟く
(殺せ、殺せ、殺せ、殺せ
「あぁ、殺すよ。」
(殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、
「俺の全てを持っていけ。」
(殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、
「俺に力をよこせ!」
そう言って、キリアの意識が途絶える。しかし、キリアは最後、どこからか声が聞こえた気がした。
(やはり、お前は俺だ。)
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