第18話 高すぎる壁
皇城から、人のものとは思えない、禍々しい魔力が二つ立ち上がった。
(キリア?死ぬの?)
セリアは立ち止まる。セリアの術式は[未来予知]未来を見ることが出来る術式だ。そして、今見た未来はキリアが死体として、眼の前に返ってくるというものだった。
(戻らなきゃ)
そう思いながら、止めようとする騎士を押し退けて、全力で皇城の中へと走る。
(走りずらい)
スカートをちぎってヒールを脱ぎ全力でキリアの元へと、向かう。そして、たどり着いたダンスホールで見たものは、
「うぁぁー!」
「はは!こいつしっかり化け物じゃねえか!なんちゅうデタラメな魔力量と悪意だよ。」
意識を失い破壊の衝動のまま、暴れ回るキリアと血まみれになった私を襲ってきた男だった。その男が私に気づいた。
「おい!嬢ちゃんこれお前の彼氏か、だったらやめとけ。これは人間じゃねぇ!」
そう笑いながらいう男それもそのはずである。今のキリアの姿は目が赤く光り、禍々しい魔力を纏っていた。一言で表すなら、
「悪魔、」
それ以外は敬称出来なかった。それを見て、セリアは後ろへとたじろぐ。でも、セリアはわかっていた。このまま戦い続ければキリアは死ぬと、
(だから、逃げるわけにはいかない。)
すると、こちら側にキリアが吹き飛ばされてきた。
「うぅ、うぁぁー!」
そううめきながら立ち上がる。セリアはそれを見逃さずに正面から抱きしめる。
「キリア、落ち着いて!あなたは優しい人。そんな悪意に呑み込まれる人じゃない!キリア、ねぇキリア、お願い帰ってきて。」
キリアの精神世界
キリアの精神は深い海のようなところにあった。
(セリアがなんか言ってるな。なんでもいい、さっさっと退いてくれ。あいつを殺さなきゃいけないんだ。そうじゃないと俺は、)
消え入りそうな自我の精神でそんなことを言っている。
そんな中ずっとセリアの声が小さく聞こえる
「 キリア、ねぇキリア、あなたはもう一人じゃない。あなたが死ねば悲しむ人はたくさんいる!冒険者の方々やオーラルさん、それにお父様も、何より、私がもうあなたなしじゃ無理なの!それに、あなたはこんな力を使ってこいつに勝って満足なの?!違うでしょ。言ったじゃないあなた、神を殺すってそのためにこんなとこで負けていいの?死んでいいの?!だから、お願い帰ってきて!」
泣きながら訴えるセリアが精神世界から見える。
(あぁ、情けねぇ。助けにきた女の子をこんなに泣かせて、それにまだ、死ねねぇ!あのクソ邪神に一発ぶち込むまでは絶対に!)
そして、何かを決意して、
「もういい、体を返せ。」
皇城ダンスホール
「なんだ、二人まとめて殺されてぇのか?」
そう言いながら距離を詰めてくる男、
「水刺すなや、せっかく楽しかったのに。」
セリアはそれを聞き男を睨みつける。
「そうか、ならお望みどうり殺してやるよ!」
全力で拳を下ろす。セリアは眼を瞑る
[黒鎖]
男の拳の動きが一瞬止まったと同時に、男の腹に鈍い痛みが走り後ろに飛ばされる。
「ちっ、戻っちまったか、」
男が見つめる先には、意識を取り戻したキリアがセリアを抱き上げて立っていた。
「あぁ、ただいま。」
男に対してこれからが本番だというように再び挨拶をする。
そして、男がもう一度殴りかかろうとするが急に動きが止まる。
「はい、なんですか、はい、え?帰ってこい。もうどうでいい?あっ、はいわかりました。」
そんな独り言を呟く。すると後ろの黒い歪んだ空間が現れた。
「じゃあな。それなりに楽しかったぜ。後、最後だから教えといてやる。俺らの名は悪魔の祭典(ワルプルギス)、覚えときな。」
そう言い残して、姿を消す。
「おい、待て!」
キリアのそんな声が何も残ってないダンスホールに響いて、キリアの意識はまた途絶え、地面へと倒れる。
「え、キリア!キリア!」
セリアが死ぬほど慌てるのであった
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