第54話 アリス初陣
「勝ってきたぜ」
俺はアリスがいる控室を開けて開口一番にそういってピースをする。
「見てたわよ。やっぱりキリアはつよいね」
「だろ、」
少し笑いながら俺はアリスに対してそう返す。それを見てアリスは安心したのか、俺と同じように少し笑って、
「じゃ、行ってくる」
自信のある顔で控室を後にするのだった。俺はアリスの最後に見せたあの笑顔にドキッとしたのはきっと気のせいだろう。
「今さっきの一戦目はとてつもなくすごい戦いになりましたが、気を取り直して次の試合に行きましょう。こちらの山は大本命の副会長がいる山です。」
それを聞いて観客が盛り上がる。あの人そこまで人気あんのかと思いつつ、セリアとかに取ってもらっている観客席へと俺は向かう。
「ナイスですお兄様!」
「さすがはキリアね。」
「カッコよかったぞ。」
女性陣3人が俺のことを褒めてくれる。だが、そんなことはどうでもいいので俺は試合が始まる方へと目線を移す。
「美少女3人には目もくれないのか?」
そんな俺の隣にそっとアレスが腰を落とした。
「どうでもいいだろ。もしかしたら次の試合はおもしれーもんが観れるかもだしな」
「次ってアリスちゃんだろ。どうだかねー」
アレスが半信半疑と言った感じで決闘場へと目線と意識を移す。そこにはもうすでに二人の出場者が出揃っていた。
「さてと、どうでる。アリス、」
アリス視点
「よし、」
深く息を吐いた後にそんな言葉をこぼす。私はなにがあっても負けられない。絶対に、
相手は女の人か、なら手加減はいらないな。
「ちょっとすかしてないで早くかかってきなさいよ。」
相手の女が煽ってくる。だがそんなことははなから全て無視する。はずだった
「なんですか、相手を煽るってビビってるんですか?」
こんなとこで負けず嫌いが出るとは自分自身でも想像がつかなかったのだ。だが、もう引けない。
「そう、そんなに死にたいなら死ねばいいわ」
女は真っ直ぐ、剣を持って突っ込んでくる。
「凍せ」
私は瞬間にそう呟く。すると、私のまわりから大量の冷気が溢れ出す。視界が全て滲む。次の瞬間、女は私の眼の前で氷像と化していた。
「終わりです」
私は一言そう言い残して、会場を去るのだった。
キリア視点
「はは、さすがー」
俺は賞賛の声を上げる。
「なんか、めちゃくちゃ強くなってねアリス」
アレスが隣で驚愕の表情を上げていた。その顔は見てて気持ちのいいものだった。
「まぁ、めちゃくちゃしごいたからな」
俺は悪い表情でアレスにそう言う。すると、アレスが
「なんかしたのか?」
俺に対してそう尋ねる。俺は天を見ながら、
「あいつが神聖力を使えるのがわかったからな。色々教えたんだよ。あれが本当のあいつの力だよ。」
俺は帰っていくアリスを見つめながら、小さく笑みを浮かべているのがわかった。
(あぁ、そうか。これが弟子の成長の嬉しさか)
俺は少し師匠の気持ちがわかった気がした。
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