第22話 王立図書館(来たくはなかった)2

「でっか、屋敷じゃん。」

皇城の隣ある図書館を観ながら感嘆の声を漏らしてします。しかし、周りに人がいる中独り言を呟いてしまい少し恥ずかしかった。

「とりあえず入るか。」

切り替えて図書館の門を開けようとすると門番の二人の男に止められた。

「おい、坊主お前許可証は持ってるんだろうな。」

誰が坊主やとは思いながらも冒険者ライセンスを見せる。

「ほら、これでいいか?」

「Bランク冒険者か?よし通れ。」

門をくぐり抜けて中に入る。そこに広がっていた光景は

「これ、全部本かよ、」

そこらじゅうの棚の中に本が並べられ、どこを見ても本しかない。

「マジかよ。どうやって探すんだ?」

愚痴を呟きながらブラブラと歩いていると

「キリア様ですか?」

後ろから声をかけられた。誰だと思いながら振り返る。

「やっぱりキリア様ですね。」

そこには小さい金色の髪で黄色の眼をした小さい少女が立っていた。服装はまるで貴族だった。

(誰だこいつ、俺の知り合いにこんな奴いなかったぞ。)

記憶の中を模索するキリアだが、全然出てこなかった。というより、多分記憶の中にすらなかった。この時は、

「その顔は、覚えてないって顔ですね。まぁそうですよね。キリア様からすればあの時助けた一人に過ぎませんですしね。」

そう言われてハッとして、すぐに片膝をつけて謝罪する。

「すいません。今まで忘れていました。皇女様、どうか、寛大な心で許してもらえませんでしょうか。」

勢いよく謝罪をする。すると皇女様が笑いながら

「フフッ、ここは公共の場じゃないのでそんなのは不要です。だから私の名前はレミアと呼んでください。」

安堵しつつキリアは顔を上げる

「ありがとうございます。レミア様」

そうお礼を口にする。するとレミアが、

「キリア様はここに何を?私はお忍びで調べ物をしにきていますが。」

「あぁ、俺は、いえ、私は」

「俺でいいですよ。」

一人称を間違えてしまった俺は少し顔を赤くする。

「俺は、エルフに関してのことを探しにきたんだ。少しエルフに興味があってな。」

「なぜ、エルフなんですか。」

レミアから嫌悪の視線が向けられるのが瞬時に分かった。

(あぁ、そういうことか)

俺は瞬時に理解をする。エルフは奴隷にすれば高く売れる。捕らえるために調べにきているのではないかと疑われているのだ。

「いや、別に悪いことをしようとするわけじゃない。それは心約に誓うよ。」

俺はどんな言葉よりも重い心約と言った言葉を使って納得してもらう。

「そうですか。ならよかったです。」

笑顔に戻ったレミアが口元に手を置きながら考える表情をする。

「あぁー思い出しました。エルフに関しての本だったら向こうにありますよ。」

そう言って奥の方を指差す。

「おぉ、サンキューなレミア」

「はい!私はもう時間なので帰らなければならないので失礼させていただきます。」

そう言って別れを告げエルフの本がある場所に向かい、一つの本を手に取る。

「えーっと、エルフは人とは違う魔力を使う。それが何かはわかっていない。違う違う。気になるけどここじゃない。エルフの里、エルフ里、あっ!あった。」

そう言いながらページを捲る

「今まで、見た人間はいないが噂ではエルカディア王国の南にある魔の森のどこかにある。

ってこの本ちょっと適当すぎじゃね。」

そう一人でツッコむ。それから何冊か手に取って読んでみたがどれも同じようなことしか書いていなかった。

(まぁ、しゃあねぇか。どれ調べてもこれぐらいしか出てこなかったし、とりあえず行ってみるか。それにしても一回エルカディア通らなきゃいけないのか。やだなー。)

そう思いながら図書館を後にするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る