第20話 また面倒ごとだよ

「いやー、久しぶりにこいつ狩ったぜ!これでBランクかチョロいな。」

ウォーターベアーを引きずりながらヘルの奥地を歩く。

(あの皇城襲撃から2ヶ月かサーマル様いい仕事してくれたな。)

セリアが一切会いに来ていないのを見てそう思う。

えっ、今なぜ、ヘルにいるかってそれは1日前に遡る


「おい、早くBランクに上がれ。」

そうオーラルから言われたのがきっかけだった。

ギルマス室のソファーでゴロゴロしていた俺は、

「なったらなんかあんの?」

そう問い返す。

「あぁ、色々できるようになるぞ。まず、交通機関が全て無料になる+王立図書館に入るのに許可が要らなくなる。」

それを聞いた俺は、

「えっ?別にいら、

言い終わる前にオーラルに顔面を殴られる。

「いった!」

俺がそう叫ぶと、

「さっさとなってこい!」

そう言われてギルマス室を追い出された。


そして、現在に至る。

「それにしても、あの俺が大量に積み上げた魔獣の死骸の山はどこに行ったんだ?」

それがあったであろう場所を見つめ呟く。この時のキリアは知らなかった。自分のそれのせいでエルカディアが大慌てになっていることを。

「まぁ、いっか」

熊の首を引きずりながらあるく。すると、俺のところに変な魔力が流れてきた。

(人の魔力?こんな奥地から?しかも一人じゃないな。)

そう思いながら、魔力がする方へと向かう。そして、だんだん近づくにつれ、

(さっきの魔力とは違うな。これ人のか?)

人の魔力とも違うし、あの血の男や自分が使う禍々しい魔力とも違う魔力があるのがわかった。

そんなことを考えながらも、場所へと向かう。そして、その場所にたどり着くがすぐには助けに行かずに"断魔"を発動する。これは、魔力操作の応用で自分から放つ魔力を0にし、気配を消し切ると言ったものだ。

(手遅れか、)

馬車で移動していた男3人は無様にも殺されていた。

(まだ中に一人いるか。)

そう思いながら、馬車に飛びつこうとする、狼型の魔獣を黒穹で撃ち殺す。馬車のところへと駆け足でいく。そして、馬車の荷台のところを見てみると、

(エルフなのか?)

そこにいたのは耳が尖っていて、薄い黄色の髪と銀色の目を持つ少女であった。そして、この状況を見るにつれ去られてきたのだろう。少女の手には手錠が付けられていた。その手錠を見ようと近づくが後退りされた。

(警戒心剥き出しだな。まぁ当然か攫われてきたんだろうからな。)

「俺は君に害をなさない。君のその手錠を外したい。だめかい?」

そう問いかける。しかし、少女は怒り狂ったように叫び出す。

「人間は皆そう言って我らに近づく、そして殺戮や誘拐そんなことばかりをしてくる。信用できないんだ!貴方達人間は。」

そう言い放った。俺はもう既に戦闘でそれなりに疲れていたのでとっとと帰って寝たかったのだ。おれは髪をガシャガシャしながら、

「めんどくせぇな!黒鎖!」

そう告げると鎖が少女の手錠へと巻きつく。

(これぐらいなら、行けるか。でもめんどくさいなこれ。魔力を使えなくする手錠か。外からは介入可能っと。)

そんなことを思いながら、手錠を鎖で破壊した。

「ほれ、これで行けるだろ。」

そういってその場を後にしようとするキリア、何かめんどくさい気がしたのだ。

「ちょっと待って!」

そう後ろから呼びかけられる。いやいや後ろに振り向く。

「なんだよ。」

そう返すと、少女はモジモジしながら

「あの、おこがましいのはわかっているのですが、私をエルフの里に連れて行ってください!」

ほら見ろ、めんどくさい。

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