第28話 学園に行くか!

キィィーン、キィィーン、

森中に剣がぶつかり合う音が響き合う。そして、片方の長く伸びた黒髪を持つ少年がその音を止めるように相手の剣を弾き飛ばす。それと同時に黄色の髪を持つ青年が尻もちをつく。

「はは、ついに僕をも圧倒するか。」

座り込みボロボロになっている精霊王はそう言った。

「3年もかかっちまったけどな。」

そう言いながら、背が伸び、15歳になった俺は手を差し出す。

「で、これからどうするんだい?」

手をとって立ち上がりながら精霊王は尋ねる。

「は?知ってるだろ。わざわざこの前入試を受けに行ったんだから、まぁ合格はしてたけど。」

「じゃあ行くんだね。確か入学式は明日だったけ?」

「あぁ、行ってくるよ。ディアボロス英雄学園へ。」

俺は長く伸びた髪を黒刀で短く斬ってその日のうちに俺はエルフのみんなに挨拶を済ませた。そのあとに一人でディアボロス公国へと向かう。この学園は世界各国から強い奴を集めて育成する機関である。この国は今俺がいる魔の森のさらに南にある国だ。

「もうそろそろ着くか。」

呟きながら森を駆ける。そして、目の少し先にでかい城が見えた。

「ここか!でかいな。さすが大陸で1番栄えてる国だな。」

城を横目で見ながら城壁の門へと向かう。時刻はちょうど夕方ぐらいだった。門で衛兵に尋ねられた。

「通行証は?」

「ほれ、」

そう言って冒険者ライセンスを見せる。

「通っていいぞ。」

ゆっくりと門を通り中へと入る。そこにあったのは、中世ヨーロッパの中でも特に栄えていた、イギリスを思い出させる場所だった。

「ここまで進んでるのか、」

独り言を言いながら街を歩く。

(そういや、今頃の時間だったら入試の順位が発表されてんじゃねぇかな?見に行くか!)

駆け足で学園へと向かう。

学園へとたどり着くと、順位を見た人たちが帰っていくところだった。順位とは学力試験と実技試験(まぁ魔法を見せる試験だ)がある。これの総合点において順位が決まる。

(学力落ちまくってたからな。)

ここにきて嫌なことを思い出してしまった。小さい頃はめちゃくちゃ勉強できたが修行ばかりで勉強を全くしていなかったのであまり気が進まないものの、重い足取りで順位を見に行く。その途中で

「今年の首席は飛び級してきた2個下のやつらしぞ。」

「2席のやつもだろ。」

そんな声がチラホラしてきた。

(なるほどな、とりあえず首席と二席はないと。)

そして、張り出されている紙の前で止まる。

(えーっと、俺の名前はっと、お!3席か!実技の方だけでよく頑張ったな。上のやつの名前も見とくか。)

上の名前を見るとそこにはあってほしくなかった名前があった。心には嬉しさ半分いや、悲しさが、8割ぐらいを占める感情が押し寄せた。

「そうか。俺はお前に何かを背負わせてしまっていたのか。」

そこにあったのは、リリア=シューベルトという名だった。

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