第51話 夜襲

「神ってのはいると思うか?」

教室で寝ようと思っていたところにアレスが突然聞いてきた。

「どうした急に。」

頭大丈夫か?と言いたげな顔で聞き返す。

「いや、最近、街でワルプルギス以外のことが話題になっててな。それがこれだよ。」

そう言ってこっちにきてはじめての新聞を見せられた。前世とあまり変わらない感じの新聞だが、少し魔力が付与されていた。

「この神仰聖団とか言う奴らだよ。道端で演説しているのが邪魔とかでよく取り上げられてるんだ。」

「へぇー、」

世間のことが全く興味のない俺は軽く受け流していた。

「なんか、人こそが神になり得るのだ。とかなんとか言ってるらしいわ。」

「アホなんかそいつら。」

二人で笑い合ってその話は終わった。


「疲れたー」

「おつかれ」

アリスが珍しく弱音を吐いていた。今日もこっぴどくクシフォスにやられたらしい。たまたま帰りが一緒になったので一緒に帰宅している最中だ。

「てか、キリアは今日どこに行ってたのよ授業に顔を出さないで」

「ん?俺か?理事長のところに行ってたんだよ」

「なんで?」

怪訝そうに聞いてくる。

「ちょっと聞きたいことがあってな。」

言葉を濁しながら伝える。アリスには話して大丈夫だが、今は言えない理由があった。あまり巻き込みたくはなかったからだ。

(まぁ今は考えるのをやめるか)

「おい。いつまでコソコソしてるつもりだ。殺してやるから出てこいよ。」

並木道を歩きながら大きな声で叫ぶ。すると、後ろの方から人影が現れた。

「術式を持たないくせに私の術式をみやぶるか。」

木の陰からひとりのやつれた中年が出てきた。こいつは学園を出てからずっと付けてやがったのだ。

「あいにく魔眼持ちなんでね。」

目をさしながらそう笑ってやる。

「アリス、お前は帰ってろ。こんな小物ぐらい一人でどうにかできる」

俺は小声でアリスに伝える。アリスはすぐにその場から姿を消して去っていった。

「なぁ、お前はワルプルギスの人間か?なぜ俺をつける」

とりあえず聞き出したいことを質問する。今は一つでもワルプルギスの情報が欲しい。

「あんなものと私たち神仰聖団を一緒にするな!」

男はそう言って姿を消して俺に襲いかかってくる。

「学習しねぇのな」

俺はそれを避けて顔面に一撃クリーンヒットの蹴りをお見舞いする。

「かはっ、」

男は鼻血を出しながらゆっくりと膝をついて倒れた。俺はそれを見た後に黒鎖を使って瞬時に男を縛る。

「さてと、いろいろ聞こうか。」

俺は縛った男に対して話を聞こうとする。

「まず最初になぜ俺を狙った?」

「貴様が術式を持っていないからだ」

それなりに素直に答えるんだと思いつつ次の質問をする。

「お前らは何もんだ?」

「これ以上は話せない。、、、、、けひゃ、けひゃけひゃひゃしひゃひゃひゃは」

急に高らかにそれも異様に笑い出した。

(まずい!)

俺は瞬時にその場を離れる。

「これで私も神になれる。」

男はそう言い残して魔力が暴発して爆散して死んだ。

「こいつ、何して、」

肉片となった男に近づき、妙な魔力反応がないか確認する。

(何もない、じゃあなぜ急に)

「なんなんだこいつらは。」

ただ、疑問だけが募るばかりだった。

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