マスターシーン2:血染めの純白 "ギルティドレス”

 先程のシーンと同時刻。艶の無い金髪に、マスクで口元を覆った女性幹部エージェントは一人、無感情な瞳で『治療区画』を歩んでいた。

 身を包む純白だっただろう衣装は端の方が焼け焦げているなど戦闘痕が残っている。華奢な手には身の丈に合わない大振りな剣。それを無造作に引き摺りながら、いくつもの医療ポッドが横たわる冷たい部屋を進む。

 彼女に気付いた医療スタッフの女性が心配そうな声音で話しかける。


医療スタッフ:「ローレルさん、まだ安静にしていないと……! 貴女は任務から帰還したばかりじゃないですか。まだ”工程”が済んで──」


 ローレルと呼ばれたその幹部エージェントはしかし、歩みを止めない。医療スタッフの言葉を遮るように肩を押し退け、静かに告げる。


ローレル:「構わない。元より私達は廃棄される存在だ」

医療スタッフ:「でも──」

ローレル:「二度は言わない。お前も自覚を持つべきだ、”No.Fエフ”」


 その言葉に医療スタッフ──"No.F"はうつむき、押し黙る。

 引き摺られる剣が残す傷跡は、迷う事無く貨物エレベーターへと伸びていく──。

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