マスターシーン3:観察する者

 列車の屋根に跳び乗って逃亡した標的に、取り囲んでいたエージェント達は慌てふためいていた。

 しかし戦闘の様子を、逃亡の様子を、観察ていた男がいる。


「人形同士の寸劇というのも、たまには良いものだ。そうだろう? 指示とは違うが……何、構うまい。あの人形はどの道、”手元へと手繰り寄せられる”。好こうが好くまいが関係なく、な」


 男の口許が、冷酷に嗤う。


「加えてあの列車が向かう先はUGNのテリトリーが近い。事前に撒いた種も芽吹くだろう。だが……」


 視線は、ローレルへと向けられる。


「敗北した人形は再調整の必要がある。……計画に問題は、無い」


 金の髪を持つその男は、最早興味を失ったとばかりに去っていった──。

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