PC2紹介

GM:なんて火力だ、気を確かに持たなくては……。続いてPC2の自己紹介、頼みます!

イズミユキ(以下、ハイド):了解だ。ただし……お行儀のいい自己紹介なんて期待してくれるなよ?


 これは本編が始まるより前、いつかの『統制機関』内部での出来事だ。

 廊下で時間を気にしつつ待っている男の前へ、少年は菓子袋を片手に歩いてきた。


ハイド:「よ、アンタが新入りだな? 同じ隠密能力者として世話役を命じられた。よろしく頼む。

 んじゃまあ一応、自己紹介と行こうか。俺はハイド。”ファントムヘイズ”、ハイド・バレンウォートだ」


 初対面の新入りを前に、彼は大きな溜息を吐く。


ハイド:「俺がこの統制機関に拾われて、何だかんだと11年か。よくまあ、この退屈な毎日に耐えてきたもんだよ」


 自嘲気味に鼻で笑う。新入りに聞かせるような話では到底無いだろう。それを気遣ったのか、それとも。


ハイド:「……いや悪い、今のはこっちの話だ。話を戻そう。

 さっきも言った通り、俺の能力はアンタと同じ隠密型だ。シンドロームはノイマン×エンジェルハィロゥのクロスブリード。

 姿を消して、不意打ちで仕留めるのが得意だな」


 新入りは僅かに身じろぐと、疑問を口にした。


ハイド:「俺が統制機関に拾われた理由? ああ……俺の父親──ルシサスって名前だが、それはまあいい。とにかく、ソイツが機関に盗みに入ってな。下手を打って殺されたのさ。

 そうして寄る辺の無くなった俺を拾ったのがセルリーダー……管理者オーソリティの奴だった。ただそれだけの話だよ」


 馬鹿な父親だ、とハイドは一笑に付した。


ハイド:「ともかく、それ以来ここで飼われて働いてるって訳だ。例えば、裏切り者の始末とかな? ……ん、どうした急にそわそわして」


 言葉に詰まる新入りに、彼は明るい声で同情する。


ハイド:「ああ……そりゃそうか。懐にこんなブツを隠してりゃ、緊張するよな」



「なあ──裏切り者の新入りさん?」


 新入りが盗み出し懐に隠していた筈のデータチップを、ハイドは指先で挑発的に弄ぶ。


ハイド:「あん? なんで隠密行動がバレたのか?」


 間抜けな質問に、呆れるように肩を竦める。


ハイド:「俺の能力は遺産由来の特別製でね。アンタの一挙手一投足、全部見えてんだよ。

 まあ、盗みは下手だが仕事熱心なのだけは関心だ。だから俺もたまには真面目に仕事をしないとな?」


 ハイドの姿が空中に溶けるように掻き消え──次の瞬間、裏切り者は断末魔を上げる時間すら無く崩れ落ち絶命した。

 死体のこめかみには、銃を接射した際に出来る特有の焦げ跡が残っている。

 再び姿を現した彼は物憂げに目を伏せ、溜息をひとつ。

 ポツリと、小さく呟いた声が、やけに響いた。


ハイド:「はぁ……つまんねぇの」


 最後に死体を一瞥いちべつすると踵を返し、名も知らぬ同僚から盗んだ菓子を摘まみながら歩き去る。


 血と硝煙に彩られた退屈。昨日も今日もそうだった。明日もきっと、変わらない。

 それが、ハイド・バレンウォートの”日常”だった──少なくとも、あの日までは。




▼ハイド・バレンウォート 18歳 男性


「――お前を誘拐する。望み通り、広い世界まで」


コードネーム:”ファントムヘイズ”

シンドローム:ノイマン×エンジェルハィロゥ


Dロイス:遺産継承者”レガシー”:夜の小鳥

RDロイス:■■■■■”■■■■■■”

ワークス / カヴァー:FHチルドレンB / 裏切りの誘拐者

出自:犯罪者の子(父親:ルシサス・バレンウォート)/ FHに盗みに入って殺された、馬鹿な父親だ。

経験:FHへの畏怖(管理者オーソリティ)/ 一応の上司ってヤツ。正直、悪趣味な男だ。

欲望:自由(諦観)/ まあ、そんなもん夢のまた夢だろうけどな……。

覚醒 / 衝動:忘却 / 破壊

基本侵蝕値:47


能力値:肉体1 / 感覚5 / 精神4 / 社会1

主な技能:射撃5 / 調達4 / 芸術:窃盗2 / 情報:FH1 / 情報:統制機関1 / 情報:共犯者2 等

主なエフェクト:《陽炎の衣》《マルチウェポン》《光芒の疾走》《鏡の盾》《ラストアクション》《生き字引》《光と闇の眼》《ブラックマーケット》《構造看破》《雑踏の王》 等

使用武器:『サイレントシーカー』×2

主なアイテム:『夜の小鳥』



外見情報:

 後で小さく三つ編みにした金髪に、鋭い碧眼を持つ少年。

 18歳の平均程の身長である173cmだが、体重はやや痩せ型。

 Yシャツの上に、膝丈程ある黒いコートを羽織っており、どこか死神を思わせる。コートにはベルト状の装飾品も。

 左手首に頑丈なブレスレットを付けている。

 武器は黒く大きめのハンドガン2丁。銃声が大きいため、隠密には適さない筈だが……?

 苗字のバレンウォートはイカリソウを意味しており、花言葉は「君を離さない」「旅立ち」。



備考:

 隠密状態時に判定ダイスと攻撃力が底上げされる、トリッキーな射撃アタッカー。

 Dロイスの効果で『夜の小鳥』と《陽炎の衣》《光と闇の眼》を自動取得しており、それと武器の効果を合わせる事で、ミドル戦闘から攻撃固定値の20点に加え4Dの火力が上乗せされる。

 また《鏡の盾》で敵へダメージを反射させたり、《ラストアクション》を使用して追加行動をしたりと、攻撃回数が多い。

 しかし『夜の小鳥』の効果により財産Pを使用する事が出来ず、RP上でも盗みを推奨される代償が付与されている。それゆえに不得手となりやすい情報収集は《生き字引》で解消する算段。

 RDロイスの名称と効果は、例によって伏せておく事とする。こちらも本編で使用されたタイミングで適宜紹介していくつもりだ。


GM:お……隠密ビルドだとぅ!? しかもほとんど常時で火力が+4Dも!

ハイド:アイリスは瞬間火力に特化してるが、こっちは安定した火力が出せるって訳だ。

GM:ミドルに空いた穴を埋めに来たな……これは手強いコンビだ。

アイリス:ハイドのRDロイスも気になるね。隠しているのはお互い様だけど。

ハイド:そうだな。……俺の選択肢にあったRDロイスはどっちも美味そうだったが、フレーバーも考慮した、とだけ。

アイリス:良いと思う。私の方も中々面白い性能が揃っていたよ。

ハイド:なるほどな。これは本編も楽しみだな。──なあ、GMさん?



 そこには青ざめたまま薄ら笑いを返すGMの姿があった。

 なんだ、この二人……”RDロイスとの折り合いの付け方が上手過ぎる”ぞ!

 どっちもオリジナルデータだった筈なのに、ビルドとも設定とも噛み合って──


 ──これは、愉しくなりそうだ!


 薄ら笑いは、いつの間にか愉悦の笑みへと変貌していた……。

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