マスターシーン:昏い灯火

「計画は上々、といった所か。存分に、この腐った世界を感じるが良い」


 管理者オーソリティと近しい声で、心底詰まらないとばかりに口にするオディウス。


「だが随分と遠くへ向かうな。この方角と距離から察するに、“あの港町”が目的地か。……数奇なものだ。亡霊に導かれでもしているのか」


 視界に収まらない距離にいる少年の現在地と移動先を、正確に捉えて離さない。


「だがこちらもようやく“追加物資”が届く。精々記録を蓄えるが良い。いずれにせよ、私の目的は――果たされるのだから」


 オディウスは近付いてくる列車の音に、ゆっくりと口許を歪ませた……。

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