幕間2:どこまでも上れる階段!

だみ:エモかった……なんでセッションって終わっちゃうんだろうな――あともうマスターシーンしか残ってないよ……。

えるみん:マジかー! じゃあアイリスとハイド、今回の出番は終わりなのー?

だみ:ああ、そうだけど。なんか言いたそうだな、とりあえず言ってみなよ。

えるみん:んとねー。結局、今回の話は誰が勝ったのー?


 あ゛? 何言ってんだ、アイリスとハイドがクライマックス戦闘で勝ったのを見てなかったのかよ。エモかったよな。そうだろ、えるみん太郎?


えるみん:目が怖いー。

だみ:ああいや、すまん。でもそんな目にもなるさ。二人が勝利を掴んだ時、めっちゃ泣いてたのはお前じゃん。

えるみん:泣いてないしーっ! ちょっとティッシュが必要だっただけですーー!

 でもさ、その後メイがファントムヘイズ倒してるし。そのメイはアイリスに。アイリスは――

だみ:クライマックスで倒れたな……言われてみれば、誰が勝者なんだ?


 うーん、と頭を悩ませる双子。思いついたかのように、えるみんは口にした。


えるみん:これアレだよね。どこまでも上れる階段!


 余計に分からなくなったぞ、どうしてくれるんだ!?

 どこまでも……? そんな階段がある訳――、いや、あったわ。


だみ:騙し絵か。『ペンローズの階段』って奴だな。どこまで階段を上がっても高い場所に行けない、不可能図形とかってwikiには書いてあるな。

えるみん:名前は知らないけど多分それー。あれも、どれも一番高いって言えるよね!

だみ:……つまり全員が勝者って事か。確かにそれなら納得出来る。


 ドヤ顔するえるみんを尻目に、メイの行動を改めて思い返す。


だみ:視点を変えればPC1のメイが、ラスボスのファントムヘイズをゆるす話でもあるよな。

えるみん:あー! なるほどね、それはそれで――

だみ&えるみん:エモいじゃんっ!


 口が揃った事に笑いながら、私は次のマスターシーンを演出するべく、シナリオシートへ目を落とす。内容は短いながらも、次回以降への布石を打つ大事なシーンだ。

 あと少しで今回のセッションは完結する。だからこそ――


だみ:――気合入れていくか!

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