幕間1:友達から借りたセーブデータ

 オープニングシーンを終え、私達は小休憩を取った。この幕間は、その間に繰り広げられたGMだみと見学者えるみんの会話である。


だみ:くぁーっ、オープニングなのにエモいな!

えるみん:濃い描写がたっぷりだったねー!


 ひとしきりエモいエモいと言い合った後、ふと、えるみんが顎に人差し指を当てた。


だみ:お、珍しくなんか考えてる?

えるみん:珍しくないしーいつもちゃんと考えてるしー!


 パチこくでねぇ! と口をついて出そうになるも、ぐっと堪え。


だみ:で、何か分かりにくい部分でもあったかい。

えるみん:ううん、そうじゃなくって。このシナリオ、友達から借りたセーブデータだなーって!

だみ:友達から……それってどういう意味だ?


 たまにコイツの発想が面白いのは、RDロイスやこれまでの経験から知っている。だからもう少し踏み込んで聞きたくなった私の気持ちを、誰が咎められよう。


えるみん:ふっふっふー、教えて進ぜようー! 友達がプレイした部分が導入なんだよ!

だみ:なんでドヤ顔……しかも結局、通訳判定しなきゃじゃん……。


 しばらく、考える。説明ちゃんと出来た、とばかりに得意気な表情を浮かべるこの女が何を言いたいのか。何故そう思ったのか。

 絞り出した答えはこうだ。


だみ:……つまり、オープニングまでの話より前に、物語がある。

 それを知る術は今のところ無いが、登場人物はそれを前提に話している、と。こんな感じ?

えるみん:うん、そう言ってるじゃん!

だみ:言ってねぇからね!?


 ツッコミを入れつつ、私は内心でガッツポーズをしていた。

 というのも、えるみんが感じた事は大まかに正しい認識だからだ。このシナリオには、PLにも明かしていない前日譚が存在する。

 物語としてSSに書き起こしたりはしていないが、本編より先に起きた出来事が用意されており、その内容は今後のシナリオ内で明らかになるだろう。


えるみん:なんかニヤニヤしてるけど、良い事あったー?

だみ:いや。TRPGは楽しいなって思ってたのさ。

えるみん:いきなりどうしたのさ……あ、二人が休憩から帰ってきたよ! 続き続きー!


 促されるままに私もパソコンの前に座る。次のシーンは……と手元のシナリオシートを確認すると──。


えるみん:次はどんなシーン?

だみ:ミドル1、情報収集だ!

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