トレーラー&ハンドアウト

 シナリオの修正が完了してから少し。私とPL達はセッション部屋に集まっていた。


だみ(以下、GM):この前は意見くれてありがとうね。おかげで修正が終わったぜ。

イズミユキ:構わないよ。それより、良い物は書けたかい?

GM:うむ。引っ掛かる感覚も無くなった。

misto:それは何よりだね。シナリオも書けたとなれば――

GM:ああ! トレーラーとハンドアウトの公開だ!



▼トレーラー


 昨日と同じ今日、今日と同じ明日。そんな退屈は反吐が出る。

 腐り切った“日常”を棄て、まだ見ぬ“非日常”へと少年少女は足を踏み入れた。


 見る物全てに、目を輝かせる少女。

 周囲の存在に、目を光らせる少年。

 二人の心は些細ささいな事からすれ違う。


 所詮は、目的が一致していただけの共犯者に過ぎないのだろうか。

 日常からの逃避という目的を達すれば砕ける、薄汚れた絆なのか。


 わだかまる心を抱えた二人に、怨讐おんしゅうの過日が牙を剥く――。



 ダブルクロスThe3rdEdition

 キャンペーン『In just for AI』

 第二話「試される絆」


 ダブルクロス――それは、裏切りを意味する言葉。



▼ハンドアウト


●PC1:アイリス

 シナリオロイス:メイと名乗る少女 P:興味 / N:任意


 統制機関の外へと初めて足を踏み入れた君は、目に映る全てが輝いて見える。

 今のところ、追手が迫る様子も無い。

 だというのに、隣にいるハイドはやけに気が立っているようだ。

 このままでは楽しめる物も楽しめないだろう。

 そう結論した君は、ハイドが寝ている隙に夜の街へと繰り出すことにした。


 ハイドの目を逃れた君は、浮かない表情をした白い服の少女と出会う。

 メイと名乗ったその少女は葬式なる会合に向かうらしい。

 FHのデータには無かったその会合に、君は共に行くことを提案する――。




●PC2:ハイド・バレンウォート

 シナリオロイス:黒いUGNチルドレン P:任意 / N:警戒


 統制機関の外へと改めて足を踏み入れた君は、見るもの全てを警戒している。

 いつ敵が襲ってきても不思議では無い。

 だというのに、隣にいるアイリスは少し浮かれているようだ。

 このままでは虚を突かれて襲撃を受けるだろう。

 しかし、あろうことか寝ている僅かな隙に彼女はどこかへと行ってしまった。


 アイリスを探す君は黒い服の少女を見かけ、隠れる。

 つい先日、管理者オーソリティの指示で暗殺したUGN官僚の護衛をしていたチルドレンだ。

 嫌な予感がした君は、急いでいる様子の少女を尾行することにした――。



イズミユキ:これ……これ――1話のEXシーンで殺したUGN官僚の護衛だ!?


 UGN官僚……名前は猫宮サイ。彼は1話のEXシーン2『垣間見た“非日常”』に登場しており、ハイドによって暗殺されている。詳しく知りたい方は、そちらを参照していただければ幸いだ。


misto:GMも人が悪いなぁ。ノリノリで暗殺の描写させておいてから、このハンドアウト渡してくるとか――。

misto&イズミユキ:人の心が無いよね!

GM:ある、ありまーす! 人の心ちゃんと持ってます! それに殺したのはハイド、君じゃないかね?

イズミユキ:それは確かにそうだけど、やらせたのはGMじゃないか。


 『やらせたのはGM』、その言葉を待っていた……!


GM:いや? 命令したのは管理者オーソリティさ。そうだろう?

イズミユキ:ま、まあ確かにそう、か……?

misto:それを操ったのはGMでしょうに。

イズミユキ:それはそう。騙されんぞ!


 こうして責任転嫁は失敗に終わった。とはいえ我ながら人の心が無いシナリオだとは思うので、ここは話を逸らすとしよう。


GM:まあこんなトレーラーとハンドアウトな訳で。UGN官僚、猫宮サイの護衛二人がシナリオに絡んでくる事になるよ。

misto:そのようだね、楽しみだ。しかしハイド、随分警戒してるね?

イズミユキ:まあ、ね。そこら辺もきっと本編で明かすんじゃないかな。

misto:どうやらハイドにスポットが当たるみたいだし、これは期待大だね。

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