リプレイ『In just for AI』

だみ

プリプレイ編

まえがき


えるみん:リバディーシステムっ!


 後のGMこと、だみの寝室のドアを勢いよく開け放ち叫ばれた第一声である。

 時計を見るんだ……まだ午前4時だぞ。これが双子の関係でなければ張り倒してるやもしれん。


だみ:で……そのリバディーなんたらってのは?

えるみん:ふふん、よくぞ聞いてくれました!

だみ:いいから早く話してくれ。

えるみん:ならば聞くがいいー! リバディーシステムとは!

 『リバースDロイス』の事なのだー!


 ……体感でたっぷり数秒の間、沈黙が部屋を支配した気がした。


だみ:ええと、ちょっと通訳判定してみると……つまり、こういうことか。


 サプリ『ユニバーサルガーディアン』に掲載されているダブルハンドアウトルールには、通常のハンドアウトとは別に、他のPLには非公開で配られる『リバースハンドアウト』というシステムがある。

 自分のPCだけに渡される秘密情報にGM指定のDロイスを付ける。


だみ:要約するとこんな感じか?

えるみん:ふっふっふぅ……大体あってるけど、私のリバディーシステムはもっと先を行くのだ! なんと!

 付けるDロイスをオリジナルDロイスにしちゃおうって作戦なのです!


 オリジナルDロイス付きのリバースハンドアウト。それはつまり、他のPL、PCには隠した力と秘密を持った存在に仕上がるわけで──。


だみ:……確か一度、トレーラーとハンドアウト書いたけど没にしたシナリオあったな。あれに組み込んだら──


 予感がするんだ。きっと、いや確実に面白くてエモいシナリオになる。

 ざらつく衝動のような想いを胸に、私はベッドから這い出た。


だみ:良いアイデアだ、えるみん。早速シナリオに組み込んで書き直してくる。それと──リバディーシステムの、システムって単語どこ行ったんだ?


 えるみん特有の気が抜けてしまう「どっか行ったー」の声に、笑いながらも礼を言って私は共用パソコンの前に腰を据えた。



 そうして出来上がったのが、本作『In just for AI』だ。訳すなら『ただアイのために』といった所か。

 様々なアイをテーマに掲げつつ、それぞれに秘密を抱えた少年少女が協力して”逃避行”をするキャンペーンシナリオだ。



 シリアスな場面も多々あるだろう。どうしようもない閉塞感が漂う時だってあるだろう。

 それでも良ければ、立ち向かうのではなく逃げる事を選択した二人の行く末を、どうか見守って欲しい──。

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