天と時の標、両の標の歪みと陰謀が、若き王子に迫る!
蜜柑桜
タイトル:天空の標(てんくうのしるべ) 作者:蜜柑桜(みかんさくら)
自然と人間の定めた秩序に対して問いかける、シリアス・ハイ・ファンタジー。
主要登場人物
主人公:カエルム・ド・シレア 27歳
従者:ロス・プラエフェット 30歳
テハイザ国下男 クルックス
テハイザ国下女 スピカ
(あらすじ)
森に囲まれた平和な国、シレア国は、先ごろより先帝の崩御と母后の逝去が続いた。その王位継承者の一人、第一子第一王子、カエルムは、正式に即位し妹王女との共同統治を開始するにあたり、側近のロスを連れて近隣諸国へ表敬訪問のため外遊の最中である。
シレアの南方に位置するのは海に面した強国テハイザ。絶対中立を誓うシレアと、陸の豊かな資源を欲するテハイザの二国は、かねてより緊張関係にある。此度、カエルムは強固な友好条約を結ぼうと、外遊の最終訪問国としてテハイザを訪れる。
しかしテハイザ国の宝であり、止まることなく天体の動きを示す「天球儀」が、カエルムたちの訪問と時を同じくして停止した。隣国の王子は災禍の種として、王との謁見を阻まれる。
一方、その頃のシレア本国では、国で「時間」を知らせ、けしてその刻みを止めない唯一の「時計台」が止まった。さらに連綿と流れるシレア城地下の水までが流れを止めてしまう。
一刻も早くの帰国が要される。カエルムは持ち前の頭脳を生かし、テハイザ側の思惑を探りながら窮状打破を計る。下男のクルックスと下女のスピカの案内で、テハイザ城の内部などを探った。城を巡る中、カエルムは王の肖像画が並ぶ部屋や、夜間に光り続ける水面を見せてもらう。説明によれば船乗りが必ず帰還できるよう、方角の目印にする光であり、不思議なことに夜にしか光らないという。露台でその光を見ていたとき、階下の部屋の灯火がつくが、クルックスはカエルムの気をその部屋から逸らすような素振りを見せる。
翌日も謁見を阻まれた二人だが、交換条件としてカエルムは城内部の見学許可を得る。クルックスとスピカが二人の供についた。カエルムの希望で一同は城の図書室にいき、カエルムはロスとともに古い書物を紐解いて真相解明に努める。その中で、カエルムは次第にテハイザ側の思惑を読み解いていく。
ようやく二人に謁見が許されたと思いきや、王はまだ真面目な交渉に入ろうとしない。城にとどまるよう言い渡されてその晩は退出を命じられる。
しかしその夜、カエルムは客間で命を狙われる。しかし賊を撃退したカエルムはむしろ暗殺計画を逆手に取って、一気にことを片付ける算段に出た。
二度目の謁見で、カエルムは王城内部を回って得た知識によりテハイザ側の偽りを暴くと、隣国の王城で剣が抜かれた。しかし思わぬ加勢に助けられ、難を脱する。ことの真相とテハイザ王の真意を聞いたカエルムは、王の信を託され、ロスを残して国に戻る。
攻め入ったテハイザはシレアの敵ではない。帰城したカエルムは王から授かった宝を用い、図書室で読んだ古い歴史書と伝説から得た教えに従って全ての秩序を元に戻すのだった。
二つの国の友誼は、ここに蘇る。
(あらすじ 38字×36行)
シリーズ作品ですが、独立した長編としても楽しめる作品にしています。
こちらと同じ時間軸で進む姉妹作は「時の迷い路」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889868322
どちらも単独でも読める作品として書いています(多くの読者さまが「天空」からです)。…続きを読む