概要
自然と人間の定めた秩序に対して問いかける、シリアス・ハイ・ファンタジー。
主要登場人物
主人公:カエルム・ド・シレア 27歳
従者:ロス・プラエフェット 30歳
テハイザ国下男 クルックス
テハイザ国下女 スピカ
(あらすじ)
森に囲まれた平和な国、シレア国は、先ごろより先帝の崩御と母后の逝去が続いた。その王位継承者の一人、第一子第一王子、カエルムは、正式に即位し妹王女との共同統治を開始するにあたり、側近のロスを連れて近隣諸国へ表敬訪問のため外遊の最中である。
シレアの南方に位置するのは海に面した強国テハイザ。絶対中立を誓うシレアと、陸の豊かな資源を欲するテハイザの二国は、かねてより緊張関係にある。此度、カエルムは強固
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!陰謀と策略の間で若き王子が伝説の謎に迫る、美しく硬派なファンタジー
二つの隣り合う国があるとき、その関係はしばしば難しいものです。お互いに相手が持っているものを欲しいと願うのはある意味当然の望みかも知れません。しかしそれをどういう手段で手に入れるか、そこに国を治める者の器量が試されるのではないでしょうか。
かたや豊かな森の資源に恵まれたシレア国。かたや海の産物には事欠かないテハイザ国。
中立を願う国。搾取を狙う国。
物語の前提となっている二つの国の関係からしてすでに波乱を感じさせます。
密かに自国を狙うテハイザへ表敬訪問するシレア国の王子カエルムと、親友のような頼もしい従者ロス。陰謀と策略の渦巻く世界で、二人はけんもほろろな相手の対応に辟易しつつ、持ち前…続きを読む - ★★★ Excellent!!!安定感どっしりの主従をご所望の方。ここにぴったりの人たちがいますよ!
表敬訪問した隣国でとある事件に巻き込まれ、奮闘する王子様の物語です。詳しい内容は作品ページのあらすじ、及び他の方の素晴らしいレビューをご覧ください。今すぐに読んでみたくなること間違いなしですから。
「奮闘」と表現しましたが、この言葉を使うのは正しいのか?そう考え込むくらい、王子カエルムは終始落ち着き払った、冷静沈着な人物です。八方塞がりとも言える状況の中、着実に小さな何かを掴んでいく安心感がとても心地よく、いつのまにかどっぷりと物語に潜り込んでしまっていました。
中盤までは比較的淡々と語られるのですが、ある時点からガラリと雰囲気の変わるスピード感のある展開。映像で見ているかのように入り…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ココロときめくイケメン主従、ここにあります!
即位を前に、近隣諸国を表敬訪問しているシレアの王子・カエルムが、従者のロスとともに訪れたのは、緊張関係にある隣国・テハイザ。
しかしテハイザでは、国の宝であり〈標〉でもある『天球儀』に異変が起きており、王子たちは災禍の種として、王との謁見を拒まれてしまった。
テハイザに留まる王子の元には、自国からも異変を知らせる手紙が届き、急を要する中、ふたりを取り巻く状況も、次第にキナ臭くなっていく。
果たして、彼らとふたつの国の運命や如何に──。
美しい筆致で描かれる、異世界を舞台にした本格ファンタジー小説ですが、世界の異変と陰謀に挑む、若き王子と従者がとにかくカッコいいので、皆様ぜひお読み下さい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!縦糸と横糸で紡がれた大いなる世界の理 但し歩み進むなら自らの足にて
これぞハイファンタジーと呼ぶに相応しい、丁寧に織り上げられた壮大な物語です。
まず何よりも、描写の緻密さに驚かされました。見たこともない異世界の景色が、目の前に鮮やかに浮かび上がるのです。
そこに登場するのが主人公・美しき王子カエルム。
この殿下が、見た目だけでなく大変なイケメンです。読みながら何度ときめいたことか。
従者ロスと共に隣国へ訪問中のカエルムが、巻き込まれた陰謀と世界の異変。
緊迫した状況の中で散りばめられた謎に迫り、真実を解き明かしていく楽しさもあります。
姉妹編『時の迷い路』とのリンクが見事な構成です。
もちろん本作のみでも充分楽しめますが、併せて読むことで世界の奥行き…続きを読む - ★★ Very Good!!二つの国の宝に起こる異変と迫る刃。聡明な王子は悠然と立ち向かう。
物語は、主人公カエルムが隣国のテハイザを訪れるところからはじまります。
カエルムの国であるシレアと隣国のテハイザは、緊張関係にあります。
それを解決するために、カエルムは王子でありながらもテハイザ王に会いに来たのですが……そこで、テハイザそしてシレアに異変が起こり、カエルムは予期せぬ事態に巻き込まれていきます。
主人公のカエルムは好青年でとても好感が持てますし、彼に振り回されぎみな従者ロスも魅力的です。
さらに、明るい少女スピカや穏やかな青年クルックス。出てくるキャラがみんな印象に残ります。
それだけでなく、描写がとても美しいです。この物語で、カエルムはほとんどテハイザ城から出ないのです…続きを読む - ★★★ Excellent!!!がっつり腰を据えて読む、伝説を紐解くファンタジー作品。
読了済みです。
「異世界ファンタジー」ジャンルの作品ですが、魔法は出てきません。西洋風の世界が舞台です。
シレアとテハイザ、両国が所有する国宝に異変。
その前代未聞の事件を舞台に、テハイザに訪問・逗留しているシレアの王子カエルムが、この事件に挑む。
テハイザに伝わる伝説を交えた推理を含む、テハイザ城内を舞台にした作品です。
カエルム王子はイケメンで隙が無く、女たらしな上に何事にも完璧。強いて言うなら――ここは読んで頂いて確認してくださいませ。
作者さまがあとがきでも書かれておりましたが、こちらの作品は、元々同じ事件――シレアを舞台にした作品の派生だそうです。
※私はまだ当作品しか読んでお…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は標を求める
もしも今、宇宙の中に一人だけ放り出されたら?
想像したことがあるだろうか。
漆黒の闇。完全な無音。
四肢を伸ばしても、触れるものが何一つない空間。
上下も左右もわからず、地面もない。
そんなところに放り出されたら、私なら狂うのに何分とかからないだろう。
人はベース(標)となるものを求める。
それは地面だったり、時間だったり、我が家だったり、母の腕の中であったり、父の大きな手であったり、人によってまちまちかも知れない。
だが、確実に言えることは「標なしには自分を見失う」という事だ。
しかし、標は絶対的なものではない。
その大地がいつまでもあるとは限らない。
自分の考えていた時間と違う時間…続きを読む