伝説 そして新たなはじまり

「国事史


 月海暦げっかいれき 千四百九十八年 盛秋新月せいしゅうしんげつ


 天の標が失われ、蛮族、城内に厄をもたらす。

 海より炎立ち昇り、王都災禍に見舞われし。

 国の主、いにしえの祖に倣いて、石に四方を尋ねん。

 天の球と国の宝、天空のことわりらしめたり。


 時の標失いし友の国、止水、人を惑わす。

 あるじの住まいに、我が国の至宝投じられし。

 都を潤す大河、海の命と輝きに、己が道の導きを得る。

 時のとともに、とどまりし流れ解き放たれたり。



 両国の宝、再びしるしを示して迷うところなし。

 

 かくして海の民と森の民、その友誼ゆうぎ新たに誓いたる」




 完

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