天空の標——シレア国史 天の章

蜜柑桜

旅のはじまり

 一定不変のしるべあり。


 いちきざまれる時であり、その流れること清き水の如し。

 一は星示す方位であり、その確かなこと動かぬ地平線の如し。


 されども標は眼に見えず、

 触れることすらかなわぬは、

 まことに在りきと思えども、

 が言わん、それをうつつだと。



 ——『古伝万有譚』より——

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