第81話 翼

どこまでも翔べるはずだった 


翼はいつしか奪われて

白い羽根が涙のように

足下にほろほろ落ちた


代わりに与えられたのは

重く錆びた長い鎖で

ぐるぐる巻きにされた体は

ついに自由を失った


雲間に覗く月明かりとか

窓から差し込むほのかな光とか

救いは記憶の遥かかなた

もう思い出すこともなくて


どこまでも翔べるはずだった

どこまでも


どこまでも


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