第52話 月のウサギ
月のウサギが泣いている
もう会えないと泣いている
涙を拭えぬこの距離を
憂いてわたしも泣いている
ふくらむ月に比例して
涙の数も増えてゆき
とうとう溢れたその水は
夜に降り注ぐ雨となる
雨が降ってはその月が
雲に隠れてしまうので
必死に涙をこらえては
ウサギの姿を見つめてる
月のウサギが泣いている
会いたいよと泣いている
その涙でにじんだ月が
雲の合間に浮かんでる
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