第56話 願い
求めるものはいつも遠くて
手を伸ばせば伸ばすほど
輪郭はぼやけて
それはあるの?
そこにあるの?
その存在は現実なの?
信じることが怖くなるくらい
何も見えない何も聞こえない
それでもまだ心は求めて
臆病な身体は逃げ出そうとして
欲しがりな気持ちだけが暴走する
この手が何かをつかむまで
この手に熱を感じるまで
足掻く私は惨めで滑稽で
それでもここに立ち続ける
それはきっと確かな願い
求めれば叶えられると
信じていたい愚かな願い
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