第47話 赤色

どうしてか

己を取り巻く全てがやるせなく

ため息さえも出ない、そんな夜

なめらかなその肌を切り裂いて

あふれ出す血をただ見てる


そこに感情が伴えば

まだ救いがあったものを

何かを感じるわけでもなく

痛みを認識するでもなく

ひたすら見続けているだけで

何事もなく時は過ぎ


失われていく血の中で

薄ぼんやりなこの脳に

くっきり刻み込まれるのは

その鮮やかな赤色だけ

ただ赤色が広がっていくだけ

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