第65話 正夢

夢を見たんだ


夢の中僕は一匹の魚で

ぬらぬらとした虹色を

そのヒレでかき分けながら

前へ泳ごうとしていた


絡み付く液体

なんとも言えない苦しさに

もがくように尾を震わせ

それでもその川に浮かんで


逃げればいいのに。

他人事のように思うけれど

この脂ぎった水を泳ぐ

愚かな魚はまさしく僕だ


ああなんて、窮屈な夢だ

ああなんて、現実的な夢だ




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