第137話 雨になる



立ち込める雲は重く

窓をたたく風は強く

踏み出した街は

強い雨の匂いがした


歩き始めた僕は

傘も持たないままで

湿り気を帯びた空気

胸いっぱいに吸い込んだ


今日が最後なのか

それとも今日が始まりなのか

まだ分からないけれど

きっとこの瞬間を

この景色を忘れないから


落ちてくる雫はやがて

激しい雨に変わる

渇いていたはずのTシャツが

濡れて体に張り付いて

僕はそのまま雨になる


雨の匂いをまといながら

ただ一歩、また一歩

足を進めながら

雨になる

雨になる


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