第68話 いつかの空

いつかの空は

どこまでも青く広く、突き抜けていた


それを見ながら

こんな自分もどこまでも行ける、

そう信じていた


根拠のない自信、純粋で傲慢


そして今

どこまでも灰色の曇り空を眺める


鈍く広がる空の色

それはひどく重く、息苦しくて

下に在る私たちにのしかかるよう


それなのに私は

いつかの空の青を知ってしまっているから

雲の切れ間から覗くわずかな光を

救いの糸のように感じている


その先には必ず

あの青があると信じている

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