第74話 ゆるやかな残酷

これが悪夢ならどれだけよかったか、

なんて思ってみても容赦なく現実は続いて

日が暮れ、月がのぼり、夜が進み、朝が来る

そんな当然の営みさえも

どうしてか苦しくてたまらない、なんて


もう壊れてしまっているのだろう

このゆるやかな残酷に


壊れることだけを夢見ているのに

この手を下すことはどうしてもできなくて

逃げ出してしまいたい衝動を抱えたまま

それでもなお足はまっすぐペダルを踏んだ


どうしようもなくバカだ

手の施しようもないほどに


吹き付ける風にひどく冷えきった耳が

かすかな時の流れを聞いた

静かに進む朝からはぐれてしまいそう

それが怖くて仕方なくて

でも身を任せてしまいたくて


ただ無言で転がり続ける

この矛盾の塊を抱いて

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