第77話 闇色
紺色の夜が
こぼれたインクみたいにじわじわと広がって
町も人も皆濃紺に飲み込まれた
吐き出す息も流す涙も
すべてが濃紺の空へと消えてゆく
初めから何もなかったように
何もない場所に
ひっそりと闇色の花が咲いた
揺らめいて舞散る花びらもまた
広がる紺色の中
ふわりふわりと消えていった
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