第37話 祈り

小さな命が失われたのは

やけに風が強かった日の

月さえ見えないそんな夜で

濡れた土を両手でかき分け

その体をそっと沈めた


もうここにはない魂は

一体どこへ行くのでしょうか


確かにここにある存在は

きっと形だけでしかなくて

思い出とか記憶とか

そんなふんわりしたものしか

命の証にならないなんて


それでもそんな曖昧なものが

あなたのくれたものなのでしょう


だからこそ私たちは

忘れないようにと願いながら

見えない姿にそっと目を閉じ

静かにこの手を合わせるのです

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