概要
高校二年生のめぐりは、同級生の孝蔵に恋をして六年目の春を迎えた。高校の弓道場で矢を射る姿を、自転車置き場からそっと応援するだけの恋。
「それだけで、もう充分です。あなたの姿を瞳に映すことができて、わたしは幸せなのです」
めぐりは長いまつ毛をふせ、大きな目に蕾から花が咲くような笑みを浮かべる。
母とふたりで団地に暮らすめぐりは、スマホもパソコンも持っていない。幼いころから通い続ける図書館で一冊の本と巡り合った。これがめぐりの人生を大きく変えていくことになる。
恋をすることの喜びと哀しみを描きました。登場人物、舞台などはすべて架空であり、実際とは異なります。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!若者の全てが詰まった、青春小説の大傑作……!!
自他共に認める猟奇スト様が放つ、〈異端の書〉にして最高の青春小説です。
友達との歓談、部活のひととき、家庭での些細なやり取り、気になる人への眼差し、揺れ動く心……思春期の瑞々しさ溢れる描写のその眩しさ! もう作風関係なく没入は必至。
眼前に拡がるのは、懐かしくも面映ゆく、何より誇らしい青春の日々です。
のみならず、あの頃特有の鬱屈したドロドロを仮借なく書き切っているのも見逃せません。途中、これでもかと襲いかかる鬱展開の連続には、「あ〜あ、やっちゃったよ」「おいおいあんまりだよそりゃ」「うわ〜、うわ〜……」「……(絶句)」と、往年の大映ドラマを観るようなやる瀬ない気分に。
それでも心許せる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誠実に、ひたむきに。深く、強く思い続ける。そのことの大切さ。
物静かで控えめ、少し引っ込み思案。けれど、その奥にひたむきで真っ直ぐな心を持つ女子高生、奈々咲めぐり。
彼女が心の中で大切に育むさまざまな思いを、非常に瑞々しく感性豊かな筆致で描き出す、澄み切った水のように深く胸に染み込む物語です。
父を早くに失い、母と慎ましく暮らすめぐり。贅沢は自ら遠ざけ、大好きな読書に没頭する彼女は、やがて自分自身も物語を書くことに興味を持ち、創作の世界へと強く引き込まれていきます。
クラスメイトへの、密かで一途な恋心。めぐりを好ましく思わない女子達からの嫌がらせ。それにより孤立する彼女を暖かく囲む友人たちとの明るいやりとり。心を打ち明けられる親友との温かな会話。——…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しい恋愛小説はいかがですか?
とても美しい長編恋愛小説です。
クラスでも目立たない女子高生の淡いけれど切ない恋心がせつせつと綴られます。
彼女には大好きな男の子がいるけれど告白なんてとてもできません。
そこで彼女が溢れる恋心を表現するために使った方法は……。
滑らかな文章を追うにつれ読み手のワタシたちはこの女の子に共感し、誰もが彼女に共感し、彼女の恋と彼女の夢を応援しはじめると思います。
おそらくこういうエンディングを迎えるんだろうな。
こういう展開になってほしいな。
そんなワタシたちの願いを叶えつつもあっと驚く演出の数々は作者さまの筆力と演出力のなせる業だと思います。
美しい情景描写。
主人公に感情移入させる心…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひたむきで純粋で優しさにあふれた物語に、心がスッキリと洗われます!
小説を読むのが大好きな地味な女の子が主人公。
彼女が思いを寄せるのは小学校の時からの同級生なのだけれど、思いを伝えるなんて大それたことなどできるわけがない。
クラスメイトとはあまりなじめないけれど、父を亡くしてから女手ひとつで自分を育ててくれた母親と、日々ささやかな幸せを共有しながら生活している。
奇想天外なキャラが出てくることも、壮大なスケールの舞台が用意されていることもありません。
ですが、そこには読む人をのめり込ませるドラマがあります。
目頭が熱くなる家族の絆があり、不条理なトラブルに直面する憤りを感じ、青春時代のみずみずしい感性に触れ、純粋でひたむきな思いに心が洗われます。
小説…続きを読む - ★★★ Excellent!!!純粋で一途な恋愛。人は過去があるから今がある。
人を好きになることは、日常の些細な出来事が多いと思います。
地球滅亡の危機とか、過激な刺激の中ではなく、日々送る生活の中にある出来事の中で自然と芽生えるものが多いと思います。そんな地味で小さい切欠こそが、あなたの人生を変える。変わったことさえも認識できない現実。
本作は小説を書くという事を題材の中で本質は上記にあると思いました。
私達が過ごしている日常にこそ物語はあり、幸福もそこにあるような気がします。
主人公の「めぐり」はとても真摯な女性です。
彼女の生い立ちを読んでいくと、その純真な心に惹かれるでしょう。
11万字には詰めきれない、家族の愛情や友達などの大切さ。
そこにある誠…続きを読む - ★★★ Excellent!!!尊い淡い想いがめぐり
世の中を斜め45度からしか見ることの出来ない自分のような人間には、この物語の主人公のめぐりさんは眩しすぎて直視出来ないほど純粋な女の子です。
読み進めるにつれて、めぐりさんが幸せになって欲しいと祈りながら拝読致しました。
まさかの結末には、令和を祝うように爽やかな皐月に吹く一陣の風を浴びたような気持ちにさせて頂きました。
また、筆者様の作調を知らずに拝読させて頂いたのですが、素敵な恋のお話だけでなくこの業界?の闇のような部分にもさらっとメスを入れている辺りが実力のある書き手さんなんだなと感じます。
お勧めの読者層としましては、例えばお花屋さんに並んでいる数ある華やかさ主張する花ではな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幼い頃からの恋心を大切に守ってきたもの同士の素敵な恋物語です!
幼い頃から本を読むのが好きだった主人公の少女、めぐりちゃんが小説を書くことに出会い、友達に励まされたり、トラブルに巻き込まれながらも自分の人生を生きる物語です。
万事につき引っ込み思案で自分のことより周囲のことを優先して、モブキャラとして生きてきためぐりちゃんですが、小説を書くことについては自分の生きたい道を通しました。そこには亡き父の夢と自分の夢が詰まった世界がありました。やがて小説家になった彼女に待っていた奇跡とは何か!? それは最後まで読むと涙が出てしまいそうな奇跡が待っていました。タイトルの意味が分かるラスト! 本当に素敵です、ぜひ一度最後までお読み下さい!