若者の全てが詰まった、青春小説の大傑作……!!

自他共に認める猟奇スト様が放つ、〈異端の書〉にして最高の青春小説です。

友達との歓談、部活のひととき、家庭での些細なやり取り、気になる人への眼差し、揺れ動く心……思春期の瑞々しさ溢れる描写のその眩しさ! もう作風関係なく没入は必至。
眼前に拡がるのは、懐かしくも面映ゆく、何より誇らしい青春の日々です。

のみならず、あの頃特有の鬱屈したドロドロを仮借なく書き切っているのも見逃せません。途中、これでもかと襲いかかる鬱展開の連続には、「あ〜あ、やっちゃったよ」「おいおいあんまりだよそりゃ」「うわ〜、うわ〜……」「……(絶句)」と、往年の大映ドラマを観るようなやる瀬ない気分に。
それでも心許せる仲間や理解ある友人のおかげで、度重なる悪意の壁を乗り越え、前を見据え着実に歩んでいく主人公ちゃん。感情移入というより、最早我が子を見守る親御さんの心境ですわ。よく頑張ったね……!(´Д⊂ヽ。

そしてラスト。多くは語りませんが、とある評論家がとある小説を評した際に使った表現を、うろ覚えながら拝借させていただきます。
「アクロバティックな着地ではなく、いかに美しく着地できるかを目指した作品」

今作の鮮やかな着地に、どうか惜しみない喝采を。

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