自他共に認める猟奇スト様が放つ、〈異端の書〉にして最高の青春小説です。
友達との歓談、部活のひととき、家庭での些細なやり取り、気になる人への眼差し、揺れ動く心……思春期の瑞々しさ溢れる描写のその眩しさ! もう作風関係なく没入は必至。
眼前に拡がるのは、懐かしくも面映ゆく、何より誇らしい青春の日々です。
のみならず、あの頃特有の鬱屈したドロドロを仮借なく書き切っているのも見逃せません。途中、これでもかと襲いかかる鬱展開の連続には、「あ〜あ、やっちゃったよ」「おいおいあんまりだよそりゃ」「うわ〜、うわ〜……」「……(絶句)」と、往年の大映ドラマを観るようなやる瀬ない気分に。
それでも心許せる仲間や理解ある友人のおかげで、度重なる悪意の壁を乗り越え、前を見据え着実に歩んでいく主人公ちゃん。感情移入というより、最早我が子を見守る親御さんの心境ですわ。よく頑張ったね……!(´Д⊂ヽ。
そしてラスト。多くは語りませんが、とある評論家がとある小説を評した際に使った表現を、うろ覚えながら拝借させていただきます。
「アクロバティックな着地ではなく、いかに美しく着地できるかを目指した作品」
今作の鮮やかな着地に、どうか惜しみない喝采を。
物静かで控えめ、少し引っ込み思案。けれど、その奥にひたむきで真っ直ぐな心を持つ女子高生、奈々咲めぐり。
彼女が心の中で大切に育むさまざまな思いを、非常に瑞々しく感性豊かな筆致で描き出す、澄み切った水のように深く胸に染み込む物語です。
父を早くに失い、母と慎ましく暮らすめぐり。贅沢は自ら遠ざけ、大好きな読書に没頭する彼女は、やがて自分自身も物語を書くことに興味を持ち、創作の世界へと強く引き込まれていきます。
クラスメイトへの、密かで一途な恋心。めぐりを好ましく思わない女子達からの嫌がらせ。それにより孤立する彼女を暖かく囲む友人たちとの明るいやりとり。心を打ち明けられる親友との温かな会話。——どのシーンにも、高校時代という大人への過渡期の甘酸っぱさや苦さ、そして瑞々しく輝く煌めきがぎっしりと詰まっています。
やがて彼女はペンを取り、初めての自分自身の物語を綴り始め——。
どんなことがあっても、誠実に、ひたむきに。深く、強く思い続けること。恋でも、叶えたい夢でも、大切な人たちとの絆でも。
そういう心が、やがて人を明るい方へと導くのだ——読み終えた後に、そんな強いメッセージがしっかりと心に残ることを感じます。自らの日々についても、何か初心に立ち返ってもう一度考えてみたくなるような……そんな清々しく澄み切った余韻が、いつまでも胸に残ります。
心が洗われるような深い誠実さに満ちた、素晴らしい物語です。
とても美しい長編恋愛小説です。
クラスでも目立たない女子高生の淡いけれど切ない恋心がせつせつと綴られます。
彼女には大好きな男の子がいるけれど告白なんてとてもできません。
そこで彼女が溢れる恋心を表現するために使った方法は……。
滑らかな文章を追うにつれ読み手のワタシたちはこの女の子に共感し、誰もが彼女に共感し、彼女の恋と彼女の夢を応援しはじめると思います。
おそらくこういうエンディングを迎えるんだろうな。
こういう展開になってほしいな。
そんなワタシたちの願いを叶えつつもあっと驚く演出の数々は作者さまの筆力と演出力のなせる業だと思います。
美しい情景描写。
主人公に感情移入させる心理描写。
そして登場人物たちのわかりやすいキャラクター設定。
「ラノベ」では味わえない文藝ものの恋愛小説です。
これぞ恋愛小説。
純粋に物語を楽しみたい読み手のみなさんにも、恋愛小説を書いている書き手のみなさんにもすべての皆さまにオススメします。
星3つでは足りません。
ワタシのつたない筆力ではこの物語の素晴らしさは語り尽くせません。
どうかお手にとってみてください。
心震わせる美しい物語がここにあります。
小説を読むのが大好きな地味な女の子が主人公。
彼女が思いを寄せるのは小学校の時からの同級生なのだけれど、思いを伝えるなんて大それたことなどできるわけがない。
クラスメイトとはあまりなじめないけれど、父を亡くしてから女手ひとつで自分を育ててくれた母親と、日々ささやかな幸せを共有しながら生活している。
奇想天外なキャラが出てくることも、壮大なスケールの舞台が用意されていることもありません。
ですが、そこには読む人をのめり込ませるドラマがあります。
目頭が熱くなる家族の絆があり、不条理なトラブルに直面する憤りを感じ、青春時代のみずみずしい感性に触れ、純粋でひたむきな思いに心が洗われます。
小説投稿サイトの闇を物語のスパイスにもってくるあたり、カクヨムを利用している読者の共感をさらに呼ぶことになりそうですし、作者様の経験談を織り交ぜることで風刺の要素も感じます。
けれども、本作を通して私が最も強く感じたものは、作者様ご本人の優しさと澄んだ心でした。
主人公のめぐりはとても可愛らしくて素直な良い子なのに、控えめで不器用な性格も災いして嫌な仕打ちを受けたりします。
めぐりとシンクロしている読者としては非常に許し難い気持ちになりますが、事件の顛末には溜飲が下がると共に、作者様の優しさが滲み出ていると感じ、穏やかな気持ちになれました。
また、片思いの孝蔵を思うめぐりの気持ち、めぐりに注がれる両親の愛情の深さ、小説を書くことを志すめぐりのひたむきさ、それを応援する親友の快活さ。
物語を通して人の思いの美しさが散りばめられており、読み進めるほどに心が洗われていくような気持ちになるのは、ひとえに作者様の真っ直ぐで純粋な人柄が物語の根幹にあるからなのだろうと感じました。
作者様の繰り出す突き抜けたキャラクターも、痛快なアクション活劇ももちろんおすすめなのですが、どこまでも純粋で美しい本作は、心の浄化にもってこいの読書体験を与えてくれる、珠玉の一品だと思います!
人を好きになることは、日常の些細な出来事が多いと思います。
地球滅亡の危機とか、過激な刺激の中ではなく、日々送る生活の中にある出来事の中で自然と芽生えるものが多いと思います。そんな地味で小さい切欠こそが、あなたの人生を変える。変わったことさえも認識できない現実。
本作は小説を書くという事を題材の中で本質は上記にあると思いました。
私達が過ごしている日常にこそ物語はあり、幸福もそこにあるような気がします。
主人公の「めぐり」はとても真摯な女性です。
彼女の生い立ちを読んでいくと、その純真な心に惹かれるでしょう。
11万字には詰めきれない、家族の愛情や友達などの大切さ。
そこにある誠実さ。
その一途で一心な想いが、美しく丁寧に描かれていました。
どのエピソードもストレスフリーなスラスラとした書き方は、作者様の技量に震えます。さらに、視点変更や一人称と三人称が混在している文章。なのに読みやすい。どのキャラクラーがどう感じているのか。どう思っているのか。まるで作者様の手の平で踊っているような感覚にさせ感じました。
創作物というのは、作者が経験したこと。それと、どう向き合っていくのか。
私はそう感じました。
あなた、どうでしょうか?
純愛を貫き通した本作。
主人公の想いに涙するはず。
真っ直ぐに生きていく。それがとても大事なんだと思いました。
どうぞ、一読推奨作品です。
世の中を斜め45度からしか見ることの出来ない自分のような人間には、この物語の主人公のめぐりさんは眩しすぎて直視出来ないほど純粋な女の子です。
読み進めるにつれて、めぐりさんが幸せになって欲しいと祈りながら拝読致しました。
まさかの結末には、令和を祝うように爽やかな皐月に吹く一陣の風を浴びたような気持ちにさせて頂きました。
また、筆者様の作調を知らずに拝読させて頂いたのですが、素敵な恋のお話だけでなくこの業界?の闇のような部分にもさらっとメスを入れている辺りが実力のある書き手さんなんだなと感じます。
お勧めの読者層としましては、例えばお花屋さんに並んでいる数ある華やかさ主張する花ではなく、カスミソウのような素朴な可愛らしさに惹かれる方はご一読頂くと心だけでも良き日になれるかもしれません。
素敵な物語をありがとうございました。
幼い頃から本を読むのが好きだった主人公の少女、めぐりちゃんが小説を書くことに出会い、友達に励まされたり、トラブルに巻き込まれながらも自分の人生を生きる物語です。
万事につき引っ込み思案で自分のことより周囲のことを優先して、モブキャラとして生きてきためぐりちゃんですが、小説を書くことについては自分の生きたい道を通しました。そこには亡き父の夢と自分の夢が詰まった世界がありました。やがて小説家になった彼女に待っていた奇跡とは何か!? それは最後まで読むと涙が出てしまいそうな奇跡が待っていました。タイトルの意味が分かるラスト! 本当に素敵です、ぜひ一度最後までお読み下さい!